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道草花植物図鑑No.18「ヒガンバナ」

先日、奈良県宇陀市にある薬草園「森野旧薬園」に行ってきました。

たくさんの植物が見れてとても楽しかったのですが、中でも綺麗に咲いていたのがヒガンバナ!

たくさんのヒガンバナフォトが撮れました。
大満足。

そういえば子どもの頃、
「ヒガンバナは怖い」
という印象を持っていたなということを思い出しました。
なんでだっけ?

周りの大人から、
「毒があるから触っちゃダメだよ」と言われていたから、というのが大きな理由かもしれません。

お彼岸の時期に一斉に真っ赤な花を咲かせるというのも、なんだか縁起が悪いような印象を受けます。
周囲の人たちがあまり歓迎していない様子をみて、なんとなく良くないものなんだと思っていたのでしょう。

図鑑でヒガンバナを調べると、「死人花」「幽霊花」「地獄花」「捨て子花」など恐ろしい別名がごろごろでてきます。

実際にヒガンバナは、植物体すべてに「リコリン」という有毒成分が含まれており、食べると中毒を起こします。
よく畔などに植えられているのは、田畑を荒らす虫や動物を寄せ付けないようにする目的だそうです。

触るだけなら問題ないようですが、口に入れるのは絶対にダメ!汁がついたらちゃんと手を洗う!が鉄則です。
子どもが誤って口にしないよう、大人たちは「触っちゃダメだ」と注意するんですね。

また、ヒガンバナ最大の不思議な特徴は、一斉に開花するということ。
真っ赤で印象的な花が一面に開くので、よりそのミステリアスさが際立ちます。

ヒガンバナはとても綺麗な花を咲かせますが、種子はつくれません。
地下の鱗茎で栄養繁殖をします。
つまり、クローンで増えていくということです。
もともとは中国から伝来したわずかな株が、クローンで日本全国に広がったそうです。
双子、三つ子どころの騒ぎではありません。
日本全国に同じ遺伝子の個体が広がっているのです。

遺伝的に同じものなので、開花する時期も同じ。
結果的に一斉に開花するという現象がおこるそう。
じゃあ、花が咲くきっかけはなんなのかというと、土の中の温度変化を感知しているらしいです。

ヒガンバナ、面白い!

けれど、白い花を咲かせるヒガンバナもいますよね。
調べるとピンクや黄色の花を咲かせるものもいるそうです!見てみたい〜!

突然変異なのかなと思ったら、そもそも品種が違うそうです。
最近は日本でも、園芸用品種として「リコリス」という名前で親しまれています。

また、先程毒があると書いたのですが飢饉の際は鱗茎を水に晒して毒抜し、食べていたそうです!!
美味しいのかな?食べてみたいけど、ちょっと怖い。
救荒植物としての役割もあり、日本全国あちこちに植えられた背景があるということですね。

ヒトに忌み嫌われているにも関わらず、ヒトによって日本中に広げられたというのが興味深い。

さらに、いろいろと恐ろしい別名がありましたが、一番よく聞く別名「曼珠沙華」はサンスクリット語で「紅い花」という意味です。
仏教の経典「法華経」を釈迦が説いたのを祝って、天から降ってきたと言われており、おめでたい兆しとして天から降ってくると言われてもいるそう。

色々調べていく中で「ヒガンバナ=怖い」というイメージが、少し払拭されました。
ヒトとともに歩む歴史が長く、調べれば調べるほど新たな発見が発掘されていきそうで、とても面白いですね!


後日、お家の近所で実がついたヒガンバナを見つけました!

中の種は熟さずに、萎れてしまうそうです。


ヒガンバナ
Lycoris radiata
ヒガンバナ科ヒガンバナ属

中国原産多年草
花時期 : 9月
生育地 : 田畑の畔


出典 : 身近な雑草の愉快な生き方/稲垣栄洋・
        三上修
   散歩が楽しくなる雑草手帳/稲垣栄洋
   季節の生きもの観察手帖/
   NPO法人自然観察大学
   散歩で見かける草木花の雑学図鑑/
   金田洋一郎

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