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途上国ベンチャーで働いてみた:渋滞と車酔い、そして生産性について(通算135日目)

2019年11月。バングラ生活が4ヶ月を過ぎても、慣れることのできなかったもの。それは、

交通渋滞!

10kmの距離かつ直通の一本道が走っている地点間でさえ、下手をすると片道3時間かかる。道路が空いてさえいれば、30分以内に到着する距離だ。

たとえば、一日に数件営業回りをしようと思うと、道路が空いている朝7時半に自宅を出たとして一件目のアポが午前8時半、次のアポまで移動時間に鑑みて2時間は空けたいので午前11時に二件目、その後ランチタイムが午後2時~3時ころにはいるので、三件目のアポは午後3時以降、オフィスが午後5時で終了するしっかりした企業の場合は5時以降会えないので、アポ入れはここまでとなる。

一日に回れる営業先が最大たったの3件。それも、時間通りに着いたからといって相手が時間通りに現れるとは限らない。1時間、ときには2時間待たされることもなくはない。「渋滞がひどくて・・」というのはもはや遅刻した時に使う定型文句である。さらにお昼どきに差し掛かってしまえば、「一緒にランチを食べましょう!」という流れになり、断れずに同じ場所に3時間近く留まることになる場合だってある。

移動中に仕事がはかどればまだ良いのだが、激しい渋滞に巻き込まれると、車が動いては止まり、動いては止まり。すっかり酔ってしまってパソコンを開いて仕事ができるような環境ではない(私はスマホの画面さえまともに見ることができない)。

この渋滞さえなければ、この国の生産性はどれだけあがるのか・・・!

と毎度毎度道路を埋め尽くすバスと大型トラックを呪う。

ちなみに、2020年にコロナ騒動が始るまでは、うちには社用車がなかった。正確には今でもないが、コロナの騒ぎが始まってからは社員の安全のためにも常時レンタカーを利用している。が、当時は節約のため、社用車どころかレンタカー利用もほぼ無く、日本人スタッフはUberかリキシャかバス、現地スタッフはバス移動が基本だった。

それにしても、バングラのUberははっきり言ってストレスしかたまらない。ドライバーがアプリを使えず地図も読めないので、予約ボタンをタップしてから待機場所に車が来るまでの間に3-4回は電話でドライバーとやり取りしなければならない。そして、一度では場所を理解してくれず、まったく逆の方向に爆走していってくれたりするので、繰り返し住所を伝え、5分で来るはずの車を20分待つ羽目になったりする。

よっぽどリキシャの方がましということで、私はしばらく銀行とオフィス間の行き来にもリキシャを利用していたが、それはそれでストレスがたまった。もともと5分程度の距離であれば20タカ(≒25円)、10分程度であれば30タカ(≒35円)で乗せてもらえる相場でも、日本人とみると50タカ、100タカと高値をふっかけてくるリキシャプラー(リキシャ引きのおじさん)と毎回喧嘩しなければならない。それに、やはり同じルートを頻繁に使っているとその一帯のリキシャプラーに顔が知れて、私が銀行に行っていることがわかれば身の危険にも合うかもしれない。

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だんだん不安になった私は、市が運営する固定運賃のバスを使うことにした。多くの民営バスはエアコンも無く常に満員で綺麗とはいいがたい車内だったが、街の中心部を一部だけ走っている市運営のバスは、エアコンも座席もしっかりしていて小ぎれいで、それでいて10分~15分の距離を15タカで乗せてくれるので、路線が限られるとはいえリキシャよりもずっとお得感がある。
しかし、ローカルスタッフたちは私がバスを使うことをあまりお薦めしなかった。バスだと、バスジャックなどのテロに巻き込まれたときに逃げ場がないし、狙われやすいと。

一周回って、多少コストが嵩もうと、はじめから終日レンタカーを借りておいて利用するのが精神衛生上一番よく、渋滞のせいでもともと低い業務生産性をそれ以上低くしないための一番の方法である、と今では心底思っている。

(続)



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