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swing fish

薄べったい風が吹いている汗っかきの五月
ジグザグ運転で転げ落ちた夢見がちな魔法使い
アイボリーの雲も色褪せず祈っていた
あの木陰のシロツメクサが待ちぼうけしている
はるか彼方の夢を編んだよ
固結びの悲しみも一緒にね
疲れ顔の君の泪のエンドロールを探していた
同じ名前が流れてきたらきっと叶うはず
届きそうで届かない引っかかった風船
よじ登って取ろうとしたら
飛んでいってしまうみたいに

何処までも
広がってゆく
何処までも
澄んでゆく
彩る青を内側に秘めた
この胸に泳ぐ魚を見てた

落とし物を探しに空色の自転車でぐんぐん上った坂
びゅんびゅん吹き飛ぶ木洩れ日を見上げながら
なぜかかなしくって無数のひかりの泡が
キーンと耳鳴りになってゆくのを感じた
脳裏に透明な神さまがタクトを振っている
静かにはだけた僕のともしびがもうじき
溶けて消えてしまいそうだ
風を待っている
とおくとおくの魚の群れが弱々しく
スィングしている

何処までも
広がってゆく
何処までも
澄んでゆく
彩る青を内側に秘めた
この胸に泳ぐ魚を見てた


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