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さみしがり屋の編み物


まるまった背中で
まあるい老眼をかけている
豊麗な陽射しが燦々と降り注ぐ
植物だらけ部屋の隅
ちょこん、と椅子に腰をかけて
さみしがり屋は編み物をしている
ひと編み
ひと編み
柔らかな毛糸の花模様を編んでいる
ひと編み
ひと編み
彼女の日々のこころが編み込まれてゆく
さみしさや愛おしさ
なみだや不安
少しの怒りや皮肉さ
ゆっくりゆっくり編み込まれてゆく彼女の想い
わたしは彼女の
毛糸で編み込まれた孤独で優しい花畑へ
行ってみたいと思う
きっとそこには
夢のような花が咲き
なみだの雨が虹を作るのだろう

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