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おとなのためのワクチン

ワクチンは誰のためもの?

大人がワクチン?と不思議に思われるかもしれませんが、
ワクチンは感染症のリスクに備えるためのものですので、大人だから重要度が高いワクチンもあります。

すべての年代の人が、それぞれのリスクに備えるために、ワクチンを使用できます。

目録‥

齢を重ねるほど上がってしまうリスクに備えるためのワクチンとして
①水痘・帯状疱疹ワクチン
②インフルエンザワクチン
③肺炎球菌ワクチン

2021年現在、20代以上の方が、十分な免疫を持っていない可能性がある風しんに対するワクチン
④風しんワクチン  を

大人のためのワクチンとしてご紹介します。

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①水痘・帯状疱疹ワクチン

水痘(水ぼうそう)も、帯状疱疹も、同じウイルスが原因で発症します。

水痘ワクチンも帯状疱疹ワクチンも、同じウイルスに対するワクチンです。

はじめての感染・発症では、発熱の後に続き、皮疹、水膨れが多数できます(水痘)。

症状が治まったあとも、ウイルスが神経に潜伏し、免疫が弱くなってきたころに再燃してしまうことがあります(帯状疱疹)。
神経に添って増殖し、帯状に発疹ができます。
どんな神経を傷つけるかによって、神経の痛みの他、視力手の低下、難聴、麻痺等多彩な合併症がでることがあります。

また、これらの症状は後遺症として残ってしまうことがあります。
このリスクは、齢を重ねるほど、あがります。

帯状疱疹発症の年齢分布をみると50代~70代で発症した方が多いです。

水痘・帯状疱疹ワクチンを接種することで、50代以上の方に特に増える帯状疱疹発症のリスクに備えることができます。

②インフルエンザワクチン
③肺炎球菌ワクチン

インフルエンザワクチンも肺炎球菌も肺炎による死亡のリスクに備えるために重要なワクチンです。

肺炎は、日本人の死亡要因第4位です。毎年10万人前後の人がなくなっています。▲

そして、インフルエンザに関連する死亡者数は年間約1万人と推計されています(世界保健機関(WHO)が推奨する「超過死亡」という概念から推計されたものです)。

インフルエンザは多くのタイプがあります。流行する型にあわせて、インフルエンザワクチンを作られるので、毎年接種する意味があると考えます。
肺炎球菌ワクチンは一度接種したら5年程度は有効性が続くといわれています。

※インフルエンザにかかると細菌性肺炎を合併しやすくなるメカニズムの論文(PMID: 34061598)が、今年発表されました。
非常にわくわくする話ですが、身体のメカニズムの解明から、薬の実用化までには、時間がかかりますし、
まだ数年は販売されないだろう薬を、現在の問題への対策として考慮することはできません。

今現在はワクチンが、感染症による肺炎死の予防に最も役立つと思います。

④風しんワクチン 

風疹は、発症すると発疹や発熱、リンパの腫れなどの症状が出ます。風しんの感染力は、はしかほどではありませんが、インフルエンザより高いです。妊婦さんを通じて、おなかの中の赤ちゃんに感染すると、赤ちゃんに障害が残る場合や、流産や早産の原因になる場合があります。
これを予防するため、妊婦さんが風しんに感染しないように、社会で、風しんに対する免疫をもつことが大切だといわれています。
それで、妊娠を希望する女性やその夫となる人に対して風しんの抗体価検査、ワクチン接種にかかる費用を助成してくれる自治体もあります。

ここまで書くと、風しんは、社会のためのワクチンと思われるかもしれませんが、個人のための利益もあります。

大人が風しんを発症すると、子どもに比べて発症期間が長く、関節痛等の症状も重くなることが多いとされています。
また、まれに脳炎などの重篤な合併症が発生することもあります。
ですので、風しんに対する抗体価が不十分な可能性がある年代の方は、
助成制度が利用できるうちに検査等を行うことをおすすめします。

40~50代の男性が、無料で風しん抗体価検査、予防接種を受けられる助成制度が、2022年3月末(後半年)で終了予定なので、間に合うとよいなと思います。

明日以降利用できる知識として…
ワクチンは、リスクに備えるためのものです。
ご紹介したワクチンは、助成成制度を利用できる場合があります。
ご関心の方は ご利用の医療機関、最寄りの保健所・役所などにお問い合せください。




▲今回の記事は10月1日にFacebookページに投稿した記事 大人のためのワクチンをもとにしています

▲死因別死亡者数などは、人口動態統計などに掲載されています

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