うそつき

うそつき / Liar ...  文章と写真

うそつき

うそつき / Liar ...  文章と写真

マガジン

最近の記事

  • 固定された記事

焦心

周りと自分を比べる癖がある 比べて、自分の小ささを自覚する 無力感が不安に引火する 消したくても胸いっぱいに燃え広がって焦げた臭いが鼻を突く 目から溢れる雫は、きっとこの煙が染みたのだと思いたいのに

    • また来年だね

      つもり積もる時間が重なって濃い紅に色づく 春は終わる

      • 突然なんかじゃない。 雪のようにしんしんと降り積もっていった先で、私の心をすっかり覆い尽くしてしまった。 真白く、何も無い場所に自分がいるとわかった時に初めて、もうやめよう、と思ったのだ。

        • 透明

          久しぶりに、本当に久しぶりに声をあげて泣いた。 喉の奥に突っかえていた石ころを吐き出すように。 ずっと泣きたかった。 そうして出てきたのは石ころなんかじゃなくて、飴玉のように透明で透き通っていると知った。 すごく綺麗だったから安心したんだ。 今はそれでいいと思えた。

        マガジン

        • 作品たち
          21本

        記事

          見上げる先は空

          大人が空を見上げるのは、子供の頃の名残りなのだと思う。 でも今では、首が痛くなるほど見上げても、見えるのはただ流れる雲なのだ。散りゆく桜なのだ。あるいは夜の闇に溺れる月なのだ。 見上げた時、私達はそこに見えたはずの顔を脳内に思い浮かべる。 月が綺麗だよと、誰かに教えたくなる。

          見上げる先は空

          あなたの幸福を願う

          世界には私よりも不幸な人がいるのでしょう なら全人類の幸福を願います そうしたら自分の不幸を嘆けるから そんな気持ちで生きるのは許されないのでしょうか

          あなたの幸福を願う

          足跡

          少しの失望が積み重なって、とうとう体が諦めてしまった。 まだ続けなくては行けないと知っているのに。 まだ外は雪が残っていて、空気が冷たい。 太陽は柔らかいのに凍てつくような風がおりてきて、手先の熱を奪っていく。 日陰で今も溶けない雪だるまと、目が合った。

          花冷え

          脱衣所で、SNSを開いて暖かい言葉を探していたら、いつのまにか体も心も冷えきっていた。 くしゃみをして気がついた。

          早朝、小声でお喋りをする雀。 気が付かない振りをして足早に通り過ぎる人たち。 私も同じように、知らん振りで通り過ぎる。 一瞬視線を向けると、ふくふくと膨らんだ羽毛が見えた。 寒い中身を寄せあっている。 かくれんぼを楽しむ幼子のような、小さな笑い声が聞こえた気がした。

          深層

          息を殺すように生きている 誰かの生活を邪魔せぬように それでいて誰かに理解されたいと願ってしま 大勢じゃなくていい 誰かひとりでいい 私のことを全部知ってくれる人がいればいい

          オブラート

          もやもやを言葉にしても、自分から離れないのを見たら、オブラートに包んで、ココアと一緒に飲みこんでしまおう お薬みたいに、いつか、いつか、私の心を癒す時が来るまで、溶けずに私のお腹に隠れていてね ココアを飲むたび、思い出せるように

          オブラート

          「どうせ」無しに生きることが、こんなにも難しい

          「どうせ」無しに生きることが、こんなにも難しい

          春の予感

          風が心地よい温度だったから散歩に行こうと思い立った。 近所の団地にある公園の滑り台が変わってた。寂れた団地に似合わないくらいピカピカだった。 いや、変わってたことは知ってたけど、それでもこんなんだったっけ、って思いながら青いジャングルジムに登った。 子供の気配は無かった。 手から錆の匂いがする。

          霖雨

          私が誰かの無意識に気が付かないフリで笑っているから、貴方も私が泣きそうなことに気が付かないフリをしているのでしょうか いっそ大胆に私に刃を向けてくれれば、諦めだって苦しみだって痛みだって全部私が決められる 傷つけられたのだと言える 今のままでは、私が勝手に傷ついたのだからと、忘れることしか出来ないでは無いですか この虚しさは私のためなのでしょうか

          交換日記

          過去と未来の自分との交換日記を今も続けている。 こんな自分を、みんなはどう思うだろうか。 美しい景色も、脚色した思い出も、悲観した人生も、全部自分を救うためだと言ったら。作品であると言ったら。 いたいのいたいのとんでゆけ、と、張り詰めた冬の朝に溶かした。

          味気ない

          死にたさとか、そんなのどうにもならないんだ 立つタイミングを逃したエンドロールみたいに、終わりを待っている 味のしないポップコーンの残り粒と指の味で退屈を凌いで、眺めるだけの人の名前、たくさんいるんだな、生きている人が、と そう、ただ、そう思う そして死んでいるみたいな自分がこのまま消えればいいのにと思って、ずっと続くエンドロールがそれを叶えてくれるように思えてきて、急に味覚が戻ってきたように安心するけれど、ふと視力も戻っていることに気がついて、終わりを知る。 そう