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気候変動のバックキャスティング?

最近、「カーボンニュートラル(炭素中立)云々」というシンポジウムに参加した。このてのシンポジウムやセミナーには、多くの参加者が集まるようである。

登壇者のおひとりと懇親会の場で話をしたが、「炭素中立などは無理筋な話ですから...」と仰っていた。立場上、ストレートに言うわけにもいかないので、パネルディスカッションではうまく説明されていたが...

また、環境活動を行っている人の手法として、「バックキャスティング」というものがあるが、それについて今からどういう対策を取るべきなのかという議論をする先生もいた。バックキャスティングは、2050年の世界をイメージしながら、それを現在に逆外挿して、いまなすべきこと、2050年までに何をすべきかを議論すべしと説明していた。

さて、2050年の世界のイメージ、この作業の原点になるわけだが、それについては、CO2については、現在と同等レベル(430ppm程度)に抑えることだと説明していた。多分、国連やIPCC、IEAなどが発信する情報を、大した精査をすることもなく、そのまま受け入れているのであろう。

国連などが発信する情報は、気候モデル/シミュレーションに基づくものだが、この問題は、現実の気温/実測値を反映していないことだ。以下の図にみられるように、多くのモデルから計算して得られた気温のチャート(赤線)は、2000年辺りから上方に大きくずれており、青線や緑線などで示される実測値との一致が悪い。赤線をこのまま2030年、2050年まで外挿すれば、
かなりの気温上昇につながることになる。

気温の実測値とシムレーション結果による比較

まともな科学技術のアプローチとしては、この気候モデルは実測値とは一致しない、かなりのギャップがあるのだから、モデル化のやり直し、数学モデルの書き直し、条件の見直しを行った後、シミュレーションを行い、実測値との誤差を見て、それがある範囲内に収まっているようであれば、そのモデルは使用できると考える。

こういうアプローチを取れば、2010年以降も、実測値との誤差は小さく、2050年までの気温の推移は違ったものになるはずである。気候異常事態は、
なくなるのであろう。

バックキャスティングを行う前に、2050年の世界のイメージ、その根拠となる気候モデル、シミュレーションなどについて疑問を持ち、学者や専門家として真偽を追求すべきではなかろうか!

日米の学者や専門家の発信を見ていると、米国は、気候変動の原理や基本、真偽などを議論したりセミナーで大勢の聴衆に説明したり、この運動を批判していることが多いが、日本では、そちらの議論は少なく、どちらかというと、応用的な話、再エネやEVの話、炭素中立の具体的な取り組みの内容について発信していることが多いように思う。

技術開発がうまくいき、日本の技術が海外に移転され普及すれば嬉しいことだが、技術開発はうまくいかないことの方が多いので、バラ色の眼鏡をかけ将来を見ない方がよかろう。気候変動土台が揺らいでしまっては、日本が進めていることは崩壊してしまうかもしれない。砂上の楼閣とならないよう、そういう心配をしている。


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