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After駐在員のリアル〜駐在を終え、日本で過ごした3年間〜

こんにちは、よしです。3年前、東南アジアで約8年間の駐在を終えて日本に戻りました。その後、日本での3年間の勤務を経て、この2024年4月からフランスのパリで新たな駐在生活を始めました。新たな駐在生活を開始する前に、日本で過ごした過去3年間を「After駐在員」として振り返る機会を持ちたいと思います。

「After駐在員」とは、駐在任務を終えて日本に帰任した人々のことを指す

✔️ズバリ、日本帰国は良かったか?

ズバリ、日本への帰任が良かったか悪かったかについてですが、私にとっては200%良かったと言えます!この結果は、タイから帰国した際には想像もしていませんでした。当時コロナの流行、娘の高校受験、息子の中学受験という3つの大きなタイミングが重なり、私からも会社に対して帰任希望を伝えていました。これらの状況がなければ、私自身から帰国を望むことはなく、会社からの呼び戻しを待つつもりでした。

海外での仕事の魅力については、これまで何度もnoteで述べていますが、簡単に言うと次のような点が挙げられます:

  • チャレンジングな仕事に挑戦できること

  • 裁量権を持ち、自分で意思決定できること

  • 異文化に触れることにより、自身の視野が広がり、視座が高まること

  • 日本では出会うことのない人々と出会えること

もちろん、異文化の環境下では多くの困難に直面しますが、それにもまして得られるものは大きいのです。

一方で日本に帰国することには、私自身いくつかの先入観を持っていました。具体的には、「煩雑な仕事の根回しや忖度に時間を取られ、大企業内でのマネジャーとしても持てる裁量権が限られ、細かい雑務に追われ、本来取り組むべきチャレンジングな仕事に専念できない」というものです。恐らく現在も海外にいる多くの駐在員が同様の考えを持っているのではないでしょうか。

日本への帰国後、実際の結果はどうだったかと言うと、確かに多くの面で煩雑でした(笑)。私が予想していた通り、面倒な忖度や既定の働き方が残っていたことは否定できません。その他にもAfter駐在員として特に感じたポイントに関しては、帰国して1年半が過ぎたあたりで、以下のnoteを書きました。

このnoteを通じて、何人かの現役駐在員やAfter駐在員の方々から共感の言葉も頂きましたが、重要な点は「なぜこの環境で私にとって帰国が200%良かったのか」ということです。帰国が私にとってどのように有益だったか、仕事とプライベートの両面で良かった点を具体的に挙げて説明したいと思います。

✔️仕事①:アウトプットからインプットへのシフト

これはAfter駐在員全員に当てはまるとは限りませんが、駐在員はある程度自分の専門領域でアウトプットを創出する事を前提に海外で働いています。駐在期間も決まっているので、その限られた期間内でアウトプットを常に求められます。東南アジア(特に私が携わっていた生産・製造領域)では「日本の手法やベストプラクティスを展開する」という考えもまだ強く残っており、どちらかというと自分の知識・経験をGiveし続けながら、アウトプットを出し続けていました。勿論インプットの機会もありますが、比率はアウトプット8割、インプット2割程度だったように思います。インプットしようにも海外駐在中は、特定のプロジェクトや任務に集中するあまり、新たな知識の吸収に必要な時間とリソースを確保することが難しいこともありました。

日本はどうだったか?勿論ビジネスなのでアウトプットが同様に求められますが、新たなインプットの機会が圧倒的に多かったです。これは企業にもよるかもしれませんが、私の場合、日本へ帰国して全く経験のない領域も担当することが出来ました。「アップスキリング」や「リスキリング」がバズワードとして世に知られていますが、転職しなくてもそれが出来る環境でした。この3年間で駐在していた時には叶わなかった「アップスキリング」と「リスキリング」を実現する事が出来たのです。日本に戻ってからは、より多くのインプットを意識的に取り入れることができ、それが大きな成長につながりました。

✔️仕事②:人的ネットワークのアップデート

もう一つ大きなポイントが「人的ネットワークのアップデート」です。海外駐在を経験した人達は日本では得られない人的ネットワークが海外で構築できたと思います。一方、海外経験が長くなればなる程、日本での(特に社内での)人的ネットワークが希薄となり、まさに「浦島太郎」として帰国する事になると思います。日本帰国して所属した部署で私を知る人はほぼいなく、人脈ゼロからの再スタートでした。言い換えると「新たな人的ネットワーク創出の機会」であり、この3年間で想像もしていなかった広範な人的ネットワークを社内外に構築する事が出来ました。

この新たなネットワークの構築は、多くの新しい視点やアイデア、さらには専門知識を持つ人々との交流を可能にし、私の仕事だけでなく個人的な成長にも大きく寄与しました。また、この経験は、今後のキャリアにおいても、多様なリソースを活用し、より効果的なアプローチを取るための基盤になると確信しています。

✔️プライベート:生活、教育、人の良さなど、日本の素晴らしさを改めて体感

プライベートでは、日本の生活の多くの利点を再確認しました。確かに、円安や物価の低さ、オーバーツーリズムへの対応の遅れ、政治機能の問題など、日本が直面している課題は少なくありません。しかし、それにもかかわらず、日本での生活は極めて快適で安全であり、日常生活においてほぼストレスを感じることがありませんでした。交通の遅延がほぼない確実な交通機関、どこにでもある便利なコンビニ、他国にはない独特の風情や四季の美しさなど、挙げればきりがないほどです。

このような環境が、私の子供たちにとっても非常に良い影響を与えました。彼らはこれまで東南アジア各地を私と共に転々としていたため、一つの学校で入学から卒業までの経験がありませんでした。しかし、今回、娘は高校3年間、息子は中学3年間を日本で過ごし、無事に卒業することができました。海外のインターナショナルスクールでの経験も貴重でしたが、日本の学校での生活は彼らにとっても楽しく、良い友人に恵まれたことが、親として見ていても非常に嬉しく感じられました。

国内外の両面を経験することで、日本の良い面と悪い面をより正確に理解することができ、新たに海外へ挑戦を臨む際も、「日本人としての芯」を持ち続け、現地でバリューを発揮することができると思うのです。

✔️2024年4月からのフランス(パリ)での駐在について

そして、2024年4月から始まったフランス(パリ)での駐在に関し、この3年間の日本での経験を活かし、仕事に取り組むと同時に、折角なのでパリを含むヨーロッパ全体の生活&異文化も楽しみたいと思います。東南アジアとは異なる文化のため、多くの困難に直面することが予想されますが(既に直面していますが)、それらを乗り越えながら、新たな異文化への対応を学び、着実に成果を挙げていきたいと考えています。またnoteへも様々な記録を残し発信していきたいと思います。その過程を「悠々として急げ」という心持ちで、バランスを取りながら進めていくつもりです。頑張ります!

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