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本当にあった、なんだそりゃ!?な話。1


これは、知人の”トシ”が体験した、一風変わったお話。

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トシは関西生まれ、関西育ちの根っからの関西人。
好奇心旺盛で、思い立ったら誰にも何も告げず、リュック一つで海外に行くような性格。
そんな性格もあって、初対面の人間とも比較的容易にコミュニケーションをとり、短時間で仲良くなる、所謂コミュ力の高い人物だ。

そんなトシが、ひょんな事から東北地方の旅館で住み込みのアルバイトをしていた時のこと。

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「初めまして!関西から来ました坂田と言います!下の名前がトシオなんで、気軽にトシと呼んでください!」

他所から来たノリの良い若造に対して、あまり良く思ってない先輩方もいたが、オープン当初から旅館を支えてきた姐さん達の反応は、悪くなかった。

まず案内されたのは、旅館から徒歩1分の場所にある寮。
地方から来た従業員は、皆そこで住み込みとして働いている。

平成も終わりに近いこの時代に、まだ存在したのかと言わんばかりの昭和な佇まい。
例えるなら、漫画やドラマで出てくるような”〇〇荘”のよう。

4階建ての建物にエレベーターなんてものはなく、階段は、どれだけ気をつけても上り降りしているのがすぐわかるほど音がよく響く。

簡易的な自炊が出来そうな共同パントリー。
その角には、元の色が分からないほど日焼けした二層式の洗濯機。
あまり大きくはなく、冷凍室には常に霜がはっている冷蔵庫。
各階の踊り場には、旅館と繋がっている内線用の黒電話。
共同トイレは勿論ウォッシュレットなどはついていない、ザ・ジャパニーズスタイル(和式)。

免疫のない人にとってはこの時点でギブアップしそうだが、トシは数度の海外滞在経験で、見ず知らずの人間との共同生活には何の抵抗もなかった。
海外に行く時はホテルには滞在せず、“バッパー”と呼ばれるようなホステルに泊まることが多かったので、慣れていたのだ。

強く引けば鍵の意味など無さそうな木製の扉を開けると、そこは従業員達唯一のプライベート空間。
六畳の和室と押し入れのみのシンプルな空間に、部屋の色味とマッチした、茶色い縦型の窓用エアコン。

欲を言えばキリがないが、生活する上で必要最低限の設備はしっかりと整っている。


お気づきかと思うが、この寮には通常の家にはある”あの場所”がない。


その通り、浴室である。

これは旅館での住み込みあるあるらしいが、お風呂に関しては通常の仕事よりも、ある意味高待遇と言える。


旅館の温泉が使えるのだ。

但し、宿泊客の邪魔にならないように、夜は9時〜11時の間、朝は6時から7時の間のみとなっていて、それ以外の時間の入浴は禁止されている。

また、朝は仕事の開始が6時半からなので、実質夜の2時間のみが入浴可能時間だ。

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簡易的な資料と制服を受け取り、業務開始の夕方まで荷物の整理をしていると

(コン、コン!)

「今日来たの?ぼく隣の部屋の山本です!わからん事あったら何でも聞いてな!」

通常、住み込みバイト組みは3ヶ月程で皆よその現場に移るそうで、このお隣さんも3週間前に来たばかりで、挨拶にきてくれた。

なぜか皆そのお隣さんのことを“ホトさん”と呼んでいた。
後日知ることになるが、地元北陸を飛び出し、派遣アルバイトで全国の寺社仏閣をまわっている+全く怒らない姿から仏(ホトケ)のホトだそうだ。

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どこの職場も同じだが、働く現場では各部署ごとに役割が分かれている。

お客を出迎える旅館の看板である、フロント。
フロント裏の事務所で、電話対応や売上管理など行う事務。
お客が出た後や来る前の清掃、食事中に布団の用意などをする内務。
旅館の醍醐味の一つである、食事を用意する調理場。
ホトさんはこの調理場で、盛り付けなどを担当する調理補助をしていた。

そしてトシが働く部署である、案内・接客係。
お客に施設の案内をしながら部屋に通し、夕・朝食の時間の確認、食事処での配膳などが主な仕事だ。

ここの旅館は追加料金で部屋食に変更も可能だが、基本的には食事処や広間での食事となる。

旅館は3棟に分かれていて、食事処も3ヶ所ある。


1泊2食付き1人3万円〜の棟は全室シービュー室内露天風呂付き、食事処は各席ごとに扉がある個室タイプ。
2万円〜のお客の棟はマウンテンビュー、食事処は扉はないが半個室タイプ。
そして、1万円〜の棟は、、、特筆すべき点はなく、食事場所も畳の大広間で、各部屋毎に等間隔にテーブルが置かれている。
団体での利用などに良く利用されるそうだ。

前日にお客の人数や料理の種類によって、その日の担当の棟・食事場所が変わる。

面白いのが、仕事中にミスをした際の反応が、お客のいる棟によって異なる点。

同じようなミスでも、露天風呂付きの棟のお客はあまりキレたり大声を出したりということをしないらしい。

一番気をつけないといけないのは大広間のお客。

特に団体の場合は、お酒が入ると特に注意が必要だそうだ。

そういった点も踏まえて、どの姐さん、またはその下につく従業員を誰にするか、といったバランスを見て当日の担当が割り振られる。

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学生時代にファミレスでアルバイトをしていた経験と、持ち前の人当たりの良さから、周りからのトシの評価は高かった。

また、1〜2週間に数組来る外国人観光客の対応も、海外渡航経験を活かし、お世辞にも上手いとは言えない英語を使いながら、一生懸命もてなしていたので支配人や女将も一目置いていた。

特に現場を取り仕切る姐さん達とは見事な連携っぷりで、どの食事処でも難なくこなしていた。

通常のレストランは、お客はいつ来るかわからないも何を頼むかもわからないのが当たり前だが、旅館はそうではない。

チェックイン時の確認で、何時に夕食を取るのか、またその際のメニューもあらかじめ決まっているので、飲食経験者にはさほど難しくはない。

お酒などのドリンクの提供と、他のお客の邪魔にならないよう片付けができれば後は簡単だ。

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「トシ、あんた細いんだからこれ食べな!持って帰って寮の冷蔵庫に入れときなさい!」

お客の朝食が済む朝9時過ぎ頃から、調理場の奥の従業員食堂で、各々が遅めの朝ごはんを食べていて、その際にいつも姐さん達からのお裾分けがある。

食事に関しては、昼と夜は毎日業者から仕入れている弁当(おかずのみ)があり、ご飯は炊き出し現場のような大きな炊飯器から各自自由によそって食べる。

休みの日など、外で食べる予定がある場合は事前にキャンセルをしておかないといけない。

朝ごはんはコンロに味噌汁があるので、基本ご飯と味噌汁のみだが、姐さん達に気に入られると自前の納豆、卵、海苔、漬物など、よりどりみどりだ。

皆が皆そうではない為、前日の晩に出たお弁当のおかずを残して翌朝食べるなど、色々と工夫をしていた。

入ってきて間もない若い男性従業員は、比較的気に入られることが多いようだ。
年齢的に自身の孫のような感覚なのかもしれない。

通常の世間一般の仕事は朝〜夕で一括りだが、旅館の場合は宿泊客と同じリズムなので、チェックイン前の午後〜翌日チェックイン後の昼前までで一日のシフトになる。

その為休みは朝10時過ぎ頃から翌日の昼3時前頃までとなる。

なのでこの朝ご飯タイムは、OLさん達の終業後のロッカーと同じだ。
その日のお客の話や、従業員の話などで常に賑やかだ。

「こないだ入った派遣さんもう辞めちゃったらしいじゃないさ!またマッチがグルグルしてそっから体調崩して実家帰ったらしいわよ!」

何の話かさっぱり検討もつかないが、楽しそうな会話を遮ってしまうほどトシは野暮じゃない。

いつものニコニコスマイルで、話を振られたら適度に返す程度で、スマートに対応していた。

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数日が経ち、ホトさん以外にも顔見知りもでき、寮での生活も居心地が良くなってきた。

「お、トシちゃ〜ん、今日休み?カレー作るから食べる?」

寮は各階ごとに5部屋横並びで、トシは階段あがった2階の一番手前、そして一番奥の部屋の住人で、休みの日によく皆に手料理を振る舞うこの人が近藤さん。
歳が近いこともあり、お互いを“コンちゃん“ “トシちゃん“と呼び合っていた。

コンちゃんは四国出身で、良く言えば面白い人で、悪く言えば変わっている人。
真面目で素直なのだがいかんせん身なりがだらしなく、姐さん達からの評判はあまり良くなかった。

鼻が低いのか、サイズが合ってないのか常にズレているメガネ。
そのせいか、頻繁に目を細めて話をするので目つきも良くない。
剃っても剃っても青さの残る髭。
坊主がただ伸びただけのような頭。
スリムというよりは、不健康そうに痩せた体。

中身を知れば問題はないが、第一印象は確かにあまり良くないかもしれない。

そんな見た目で旅館で働けるの?と疑問に思う人もいることでしょう。
コンちゃんは“内務“として働いていたので、業務内容は裏方にあたる。
お客の見えないところで旅館を支える、縁の下の力持ち。

その他にもホトさんがいる調理補助や、洗い場・ボイラーなど、お客と直接触れ合わない人は比較的身なりも自由だった。

自由というよりは、だらしない人が多かった。

そんなコンちゃんが地元四国から、この遠く離れた東北までやってきた理由はまた別の機会に。

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地方の温泉街というのは、どちらかと言えば少し不便な場所に位置している事が多い。
良く言えば人里離れた隠れ家的な場所ではあるが、住み込みの人間にとっては、足がないと出不精になりやすい場所だ。

トシが来た日も、最寄り駅まで電車で向かい、そこからは旅館の送迎バス。
混雑具合にもよるが、およそ20分はかかる。

送迎バスを利用できるのは、通常入社日と退社日のみ。
中には運転手さんと仲良くなって、給油のタイミングなどで街に出る子もいた。

寮から一番近いコンビニまで徒歩で片道20分はかかるので、買い物などに行く時は皆市バスを利用する。

バスで10分ほどの距離に、近所で唯一ある小さなモールがあり、休みの日に出かけると他の部署の人と鉢合わせることもあるあるだ。

コンちゃんは特にそこのモールの常連で、時間が出来るとすぐに買い出しに出かけていた。

彼が作る料理は所謂“本格派”、カレーはルーを使わずにウコンやガラムマサラ、クミンといった調味料を合わせて作るのだ。

そしてここがコンちゃんの変わっている所以の一つで、なんと、
毎回徒歩で買い出しに出ていた。

バスで10分でも、歩けば4〜50分はかかる。

「これが良い運動なんだよ!それに¥360分得するしね!トシちゃんも歩きなよ!」

そもそも往復1時間半の距離を徒歩で移動するという選択肢のなかったトシにとっては衝撃だった。

同じ距離で往復千円かかるのなら話は別だが、日本にも色んな人がいるな〜、と考えさせられた。

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こういった地方の旅館で住み込みをしている人たちは、皆なかなかクセが強い。

いろいろな背景を持っている人がいて、コンちゃんのように、時間や利便性とお金を天秤にかけた際、お金を優先する人が多かった。

自分ルールというか、独自の拘りを持っている人も沢山いた。

だがここでもトシの海外経験は役に立ち、東南アジアなどで出会った人たちの生活様式や、考え方などを知っていた為、柔軟に対応する事ができた。

雨風が凌げる場所で3食食べる事ができ、蛇口を捻ると清潔な飲み水が出る事のありがたみを知っていたのは大きかった。

自分の常識が人と同じとは限らず、千差万別、十人十色である。

世の中便利になっていく一方で、忘れてはいけない大切な事もある。

不便さ故に、見える景色や体験出来る事も沢山ある。



その後もトシはバスで移動していた。

人は人、自分は自分。
トシにとっては、数百円で買える時間の方が大切だった。

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午前中に用事を済ませて階段を上っていくと、既にスパイスの良い匂いが立ち込めていた。

日本のカレーは日本人の舌に合わせて作られているので、味は間違いないのだが、インド系やタイカレーも中々に絶品である。

ただこのトシ、辛いものが苦手なのだ。
というよりも、舌の成長が5歳で止まっているといった方が正しいかもしれない。

辛いのがダメなので、寿司・刺身はサビ抜き。
おでんも肉まんも納豆も、カラシはつけない。
セロリやゴーヤ、パクチーの苦味もダメ。
グレープフルーツなどの酸味も苦手。
その上猫舌なので、ある意味舌がとても繊細なのだ。

これだけ聞くと子供の時によほど甘やかされていたのかと思うが、意外と両親は厳しかったそうだ。

要するに、食べようと思えば食べられるが、選択の余地があれば遠慮するらしい。

現に、仕事終わりの普段の弁当は殆ど残さずに食べていた。


これは料理好きあるあるだと思うのだが、味付けを本格的にスパイスで調整する人の料理は、味が凄くしっかり(はっきり)している、気がする。

素材の味というやつだ。

特に酸味や辛味は“これが本場の味だよ!”といった具合に、慣れていなければ結構なインパクトだ。

「こないだ作った時は美味いと思ったんだけど、なんか辛すぎたみたいだったから、今回は少しヨーグルト多めにしてみたんだ。」


世の中で、あてにしたら痛い目を見る言葉が3つある。

1、テスト前の
“マジ全然勉強してないや!”
2、マラソン大会の 
“最後まで一緒に走ろうぜ!”
3、辛い物好きな人の
“これそんなに辛くないよ!”

人の良いトシは、こんな時に面と向かって断れない性格なのでたまに損をする。

トシは知っていた。

こういうカレーに入っているのは“無糖ヨーグルト”なことを。
そして少し足したぐらいでは、スパイス達の自己主張を止められないことを。

難儀なことにコンちゃんは、紙皿なんかは使わない。

自前のお皿に注いで渡してくれる。



洗って返さないといけないっ!
感想を言わなければならないっ!!!


美味しいのは間違いないのだがそれ以前に痛い。
食べる時に口は痛いし、出す時には下も痛い。

「いやぁ〜本場の味って感じやな!これ好きな人には堪らん味やで!ありがと!」



翌朝珍しくトシは遅刻した。

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公共交通機関をあまり利用しないところや、紙皿などの使い捨てを使用しないところ、カレーはルーではなくスパイスから作るところ。
やはりお金に対してシビアなコンちゃんだが、言い方を変えれば“自然派?”なのかもしれない。

カレーに関しては、ルーを買った方がきっと安上がりなはずだ。

物の見方が人と違うというか、考え方が面白い。

トシもどちらかといえば変わっている性格だ。

そんな人だから、自然と距離が縮まったのかもしれない。

海外では枠にとらわれず、人目を気にせず生きている人たちが多いので、そういった意味ではコンちゃんの感覚も外国人寄りなのかもしれない。

仕事の最中にすれ違うときの反応も、人と違って独特だ。

前日夜遅くまで友達と電話をしていたトシは、眠い目を擦りながら仕事に向かう。

「おはようトシちゃん!、、、あれ、なんだか氣が良くないねぇ〜?なんかあった?」

ただの寝不足に対して“氣が良くない??”
“疲れてるの?“や、“体調悪いの?“と声をかけられることはあっても“氣“ってなんだ?

あれか?ナルトのチャクラとか、ルフィの覇気の類か?
でもそれって漫画とかの話だよな?

「トシちゃんお昼食べたらウチの部屋来なよ。ちょっと診てあげるわ!」

(またあの激辛カレーか!?)
と一瞬焦ったものの、お昼を食べた後だからそれはないか、と胸をなでおろした。

彼が医者ではないことに間違いはないが、“氣”とやらも気になるし、折角の親切心を蔑ろにしてはいけないと思い、午前の仕事を終えると荷物だけ自分の部屋に置いていざコンちゃんルームへ。

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(コン、コン!)

「おぉ〜トシちゃん?鍵空いてるし入ってきて!」

間取りは自室と全く同じだが、扉を開けてまず目に飛び込んできたのは白い布。

前述の通り、コンちゃんは内務といって、お客の布団の用意などをする仕事。
その際に、掛け布団用の大きめのシーツ1枚拝借し、部屋の真ん中を二分するような形でシーツを天井から吊って、手前と奥で二つの空間に分けていた。

「いらっしゃい、まぁその辺適当に座ってよ!」

姿は見えないが、声はシーツの奥から聞こえてくる。

押し入れは扉を取り外し、下の段に服や小物などをまとめていて、上の段には布団が敷いてあった。

そう、それはまさにあのドラえもんと同じ配置だ。

部屋の手前半分が生活空間だとしたら、奥は一体なんなのか??

「いやぁ〜ごめんごめん、準備に手間取っちゃってさ。あれ?でもなんか朝より良くなってるね!」

ただの寝不足なので当たり前と言えば当たり前なのだが、ここで追い返されてはスッキリするものもスッキリしなくなるので、部屋を物色しながら厚かましく居座った。

押し入れ下段に大きな工具箱があり、蓋がズレて開いていたので中を覗くと、そこには大量のアルミホイルとサランラップ。

流石の料理好き、と言わんばかりの量がどっさりあった。

調味料も乱雑に並べてあり、普段スーパーであまり見かけないようなものもいくつか置いてあった。

気のせいか、調味料のようなそうでないような独特な匂いもする。

クサいと言うよりは、少し懐かしいような、何とも形容し難い香り。

色々ある中でも一際目立っていたのは、500mlのペットボトルのような形の容器に入った、透明な蜂蜜のようなもの。

お砂糖の代わりに使うてんさい糖?のような感じと言えばわかりやすいかもしれない。

だがやはり、なんといっても一番気になるのはシーツの向こう側だ。

徐に手を伸ばしてシーツをめくろうとすると

「トシちゃんまだダメ!今、氣を溜めてるから!!」


その細い体の一体どこからそんな大声が出るんだ?と驚いたが、そんな事よりも“氣を溜める”という表現を真顔で言うもんだから、危うく吹き出しそうになった。

ただ、声の大きさと話の内容以上にトシには引っかかっているものがあった。

それはほんの一瞬、時間にして0.5秒ほどだが、微かに見えたシーツの向こう側。


手前側とはうってかわって物は少なく、真ん中に敷かれたヨガマット。
その前にはお香と仏像?のようなもの。
その横には、サランラップとアルミホイルとあのてんさい糖みたいな容器。


(・・・!?)


これまで紹介してきたように、トシはオールラウンダーだ。

仕事も卒なくこなすし、愛想も良い。
ルックスも悪い方ではないと思う。
経験も豊富だし、話も面白い。
基本的には、初対面の人に“生理的に受け付けない“というカテゴリーには分類されにくいだろう。

そんなトシ、実は勉強があまり得意ではないのだが、頭は良い。

頭が良いという表現は適切でないかもしれないが、頭の回転が早い。

会話の中で自身の知見などを活かしてうまく話をまとめたり、面白おかしくジョークを言ったりする。

意外と興味のなさそうな些細なことでも、案外覚えていたりして、異性からも良い印象を持たれやすい。


この時も、トシの頭の中で、点と点が線になろうとしていた。


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