「自己否定」から始まる人生逆転劇
自己肯定感を高めることが良しとされる現在の世の中。
あえてその逆、「自己否定」をすすめる意見に乗っかってみます。
『東京貧困女子』などの著書で有名なノンフィクションライター、中村淳彦さんの発信から着想を得ています。
婚活の文脈で語られていたのを、もう少し一般的に展開してみます。
「自己肯定」の逆
一般的には、自己否定は「良くないこと」とされ、自己否定をやめようという方法論が語られています。
自己否定とは、「自分はダメな人間だ」「どうせ自分なんて」みたいな、自分を否定的にとらえる感情ですね。
「自己否定を克服する方法」などの情報も見かけます。
ただ、実際には「自己否定をやめる」ということ自体、無理矢理ポジティブにならないといけない、というハードルがあって、なかなか難しいと思うんですよね。
「自分を褒める」とか言われても、褒めるところが見つからないし、「属するコミュニティを変える」なども難易度が高すぎる。
自己否定をやめるよりも、自己否定するほうが楽で簡単です。
自己肯定感が高い人も、一度自己否定してみては?というのが、この記事でのオススメです。
なぜ「自己否定」が必要か?
「自己否定をやめる」は「自己肯定感を高める」とセットで語られます。
もちろん、「自己肯定感」を高めるのは良いことではあります。
自分に自信を持つ、自分を価値がある人間だと思う、社会の役に立っている、という自覚を持つのは、幸福度が高い人生になりやすい。
でも、そこにちょっとした落とし穴があります。
特に、学生時代や20代の若い頃に、リア充でキラキラした生活を送っていた人や、異性にモテてウェイウェイしていた人こそ要注意。
元々、自己肯定感が高い人は、年齢を重ねたり、立場が変わって自分より若手が台頭してくると、潮目が変わってくるのに気付かない場合があります。
自分はできる人間だ。
自分はモテる。
自分には魅力がある。
それが現実だったときにはうまく機能していたのが、自身の衰えや時代の変化によってギャップが生じた時、自己肯定感が逆に弊害になります。
熱く自分語りをしたり、過去の栄光を自慢したり、マウンティング発言をしたりして、ちょっと厄介な存在になってしまう危険が生じます。
自分はまだまだ若い、魅力的だ、常にチャレンジ等、キラキラした自分を無理にキープするのは、端から見てもキツいし、痛々しくもあります。
そうならないために、一度「自己否定」をして、ダメな自分を受け入れることで、謙虚な自分を手に入れる必要があるのです。
自己否定することの効能
1.いったんリセットできる
若い頃にモテていたり、愉快な遊び仲間に恵まれていたのは、あくまでも過去のこと。
現在は、体形も崩れ、肌も荒れ、ルックスはパッとしないものになっていて、遊び仲間だった人たちも似たようなもの。みんな疲れている。
仕事面でも、これまでの実績はあくまで「会社の名前」があってこそ。
個人の実力による活躍とは言えない。
自分個人としての魅力も能力もたいしたことはない、というのを認めて、いったんリセットするところからがスタートになります。
2.余計なことを言わなくなる
自己否定によって、過去の栄光や、自分の長所、仕事への情熱などを語らなくなります。
そういうことを語るのは、相手にウザがられる、恥ずかしいことだ、ということに気付くことは、かなり重要です。
むやみに自分のことを話さない、ということは、相手の話をきちんと聞く、という姿勢に繋がります。
「自己否定」から始まる人生逆転劇
元々、自己肯定感が高い人も、自己否定タイプの人も、あえて「自己否定によってリセット」すると、そこからのスタート地点は同じになります。
自分は「たいした人間ではない」ことを認識したのだから、他人のことを素直に素晴らしいと思えるし、話をきちんと聞くようになります。
自分より年下であっても経験が浅くても、良いところは認め、そういう人から学び、敬意を払うことができます。
中高年の年齢までいかなくても、ある程度の大人の年齢になると、「オレは、私は」系のグイグイ自己アピールする人よりも、謙虚で人の話を聞ける人のほうが好感度が高くなり、はるかに強力な武器になります。
元々、自己肯定感が低い人も、それが「ダメな部分」なのではなく、「それが自分なのだから認めよう」と意識することで、自己肯定強者と一発逆転できるのです。
まとめ
自己否定は、それ単体ではネガティブですが、自己肯定感が高い人も低い人も、意識的に「自己否定」してみて、ダメな自分を受け入れるところから始めると、幸福度が高い人生になるかもよ、という話でした。
ここで言う自己否定は、ダメな自分をありのまま認めるという意味で、一周まわって「自己肯定」とも言えます。禅問答のようですが。
「自己否定を否定」して、(一周まわらず)むりやり自己肯定感を高めるよりも、特に人生の後半や弱者にとっては勝算が高いメソッドのような気がしてきましたよ。
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