新型コロナ感染者 家族側の心境 その2~重症化して転院したときのこと~

Yoshida Kenの娘です。
今回は、父が転院したときのことを書きます。

10月19日(月)午後1時頃
父が入院している病院から着信がありました。

・父の病状が悪くなり”重症”にあたる
・現在入院している施設は軽症~中等症を診る病院なので、
 重症患者を受け入れている病院への転院が必要
・転院先はこれから決めるが、入院手続きのため誰か転院先に行ってほしい

ということを伝えられ、
私は心臓をバクバクさせながら話を聞きました。

前日に、父から熱がまた上がってしまったことは聞いていましたが、
電話の声は元気だったし、飲みたがっていた味噌汁が届いたと言っていたし、
悪化して転院になるとは思っていませんでした。

この日から母も熱を出していたので、動けるのは別居している私だけ。
私が行くことを伝え、転院先が決まり次第連絡をもらうことになりました。

その間、父と電話。
この時も父は元気そうな声で、苦しさは感じないと言っていました。
転院することになったので、荷物をまとめていると。
心なしか、息切れしているようにも電話越しでは聞こえましたが、
とにかくいつも通りの声だったので、
まぁ大きな病院で診てもらえれば何かあったときに安心だからと、
まだこの時はそこまで深刻に考えられていませんでした。

16時頃、やっと転院先が決まったと連絡がありました。
父は救急車で搬送されるとのこと。
私もすぐに向かいました。

転院先の総合病院に着いたものの、どこで受付をすればよいかわからず
「父が転院してきた」と受付で伝えると
「どこの病棟ですか?」と聞かれる。
病棟まで教えてもらっていないためわからず、
元の病院に連絡しても病棟まではわからないとのこと。

繋がらないかもと思いつつ父に電話をすると、数分後にかかってきました。
そして「ICUにいる」と言われました。

アイシーユー…。

お恥ずかしい話、ICUと聞いてもまだ、
重症患者=ICUが結びついていなかったし、
何なら、ICU=集中治療室=命の危険がある人が入るところ
ということも理解していませんでした。
(これを読んで父は呆れることでしょう…)

ICUに行くと、家族待合室に通され、
そこで、父の主治医から説明を受けました。

・新型コロナウイルス感染症から重症肺炎になっている
・低酸素状態なので、体中の臓器に酸素がいきわたらなくなる
・普通の人の酸素飽和濃度が98%だとすると、
 父の場合80%しかない、場合によっては70%まで落ちる
・非常に危険な状態
・今は人工呼吸器の一歩手前の治療、高流量酸素療法をしている
・今日明日でよくならなければ人工呼吸器になる可能性がある
・人工呼吸器の場合、意識を飛ばして装着するので治療が長引く
・その他に、抗ウイルス薬、ステロイド、うつ伏せ療法を行う
・血液が固まって血栓ができると危険なので、サラサラにする薬を投与して
 病院内のエコノミー症候群を防止する

説明とともに、父の肺のレントゲン写真も見せてくれました。
5日前に入院した施設にいた状態と、現在の状態。
素人目にもわかるほど、肺が白くなっていました。
そして血液検査の結果の数値。
こちらも異常な数値の部分を教えていただきました。

書類にもいくつかサインしました。
うろ覚えですが、、血栓防止の薬の投与と、
太い血管に管を入れる可能性があることに同意する書類だったと思います。

そして最初の記事にも書いた通り、
「急に心臓が止まる可能性だってあります。
 非常に危険な状態です。ICUに入るということはそういうことです。」
と説明され、ようやく事態を把握したわけです。
(「お父さん本人には言っていませんが」と先生はおっしゃっていました)

「さっきも父と電話して、元気そうだったので、全然実感がなくて」
と正直に先生に伝えると、
どうやらそれがコロナ特有とのことでした。
先生曰く「本人は苦しくないのにデータが異常に悪い」そうです。
後で検索してみると「幸せな低酸素症」と呼ばれているとありました。
これが、突然死する原因の1つなのかもと、この時初めて知りました。
また、電話はしても構わない、むしろしてほしいといわれました。
ICUに入ると機械音に囲まれて気持ちが落ち込んでしまうこともあるので、
家族からの電話は患者の励みになるとのことでした。

最後に、父は遠慮がないというか、はっきりものを言うところがあるので、
それでもよろしくお願いしますと先生に頭を下げると
「それくらい元気があったほうがいいんです。
 この病気を治せるのは患者さん本人だけですから。
 もちろん、僕たちも全力で頑張ります。」
と先生が力強く言ってくださいました。
(本当に素晴らしいお医者様なのです、父の主治医の先生!)

もちろん、この時は面会はできず帰宅しました。
間抜けなことに、父への差し入れに
あんどーなつと脳トレ本を持って行っていました。
後になって、父は流動食状態になっていて食べられるわけもなく、
脳トレなんてするほどの余裕はなかったとわかるわけですが…
それほど急な悪化だったのです。

家に帰ってから重症化について調べると、
コロナでICUに入ると生存率は60%とあり(今はもう少し高いかもしれません)
ますます不安が募りました。
それに加え、ICUに入ってから父からの連絡が一気に減りました。
うつ伏せ療法が辛いせいだとは思いますが、それがまた一層不安になり、
また、いつ人工呼吸器になると病院から連絡が来るかも気が気じゃなく、
毎日スマホばかり気にしていました。

家族にとってもつらい時間でした。

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