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できたこと日記とコウペンちゃん

私の手帳はキキララだ。

先日、友人の前で手帳を出して、「どーした!!」と驚かれた。昨年までは、無地の革表紙の手帳を愛用していたからだ。

自分でもどんな心境だったのか謎だが、年末、たまたま見かけたこのキキララの手帳を買ってしまった。34年自分をやっていても、私は私がよくわからない。

それはさておき、この手帳は一週間が見開き2ページになっていて、日記としても使える。

私はそこに、その日できたことを箇条書きで記している。

・洗濯
・スーパー
・××の記事
・夕飯作る
・note1記事

みたいな感じ。

感情などは書かない。メモというか、覚書だ。

◇◇◇

ところで、私は3月から体調を崩している。

(……ということをたびたび書いてしまい、以前から私のnoteを読んでくださっている方は「知ってるよ!」と思うだろう。だけど、最近フォロワーさんが増えたので、あえて何度でも書かせてほしい)

その頃はまだ東京の団地で夫と暮らしていたのだが、体調を崩してしまい、できることが少しずつ減っていった。

まず、仕事ができなくなった(その頃はキュレーションサイトで文章を書いていた)。

しばらくすると一人での外出ができなくなり、夫が一緒じゃないと家から出られなくなった。

そのうちに、家事もだんだんできなくなっていった。

最終的に、洗濯と夕飯作り以外は何もできなくなった(夫はちゃんと食べるのは夕飯だけなので、あとは用意しなくてもいい)。掃除も買い物もゴミ捨ても、夫にやってもらった。食器洗いは、できたりできなかったり。

日記に書くことが減っていく。

・note書いた
・夕飯作った

しか書けない日が続いた。

なまじ箇条書きで書いているため、日記の行数が減ったことで「できたことが減った」という事実が可視化されてしまった。

箇条書きのデメリットは、できたことの「質」よりも「量」に目がいきやすいところだと思う。

自分でも、行動の「量」だけで判断するのは浅はかが過ぎると、わかってはいる。

だけど、どうしても

「前はもっとたくさんできてたのに……」

と思ってしまう。

悲しくなり、日記を書くことをやめてしまった。

◇◇◇

あるとき、一日中布団から出られない日があった。

とんでもなく無気力だった。

何もしたくない……のかどうかも、よくわからない。何をしていたのか思い出せない。ネットしているか、寝ているか、泣いているか。そんな感じだったと思う。

とにかく、何もできなかった。

だけど、その翌朝は布団から出ることができた。

昨日は布団から出られなかったのに!

「私すごーい!」と思う。

布団から出られた。すごーい!
着替えができた。すごーい!
布団を上げられた。すごーい!

(布団をたたんで押入れにしまうこと、上げるって言いますよね?)

何もできない日を経験したことで、いつもやっていることが全部「すごーい!」になった。

久しぶりにキキララの手帳を開き、

・起きられた!
・着替えられた!
・布団上げられた!

と箇条書きにしてみた。

その後も、歯磨きや洗顔など、何かひとつやるたびにいちいち日記に書いてみた。

今までだったら「そんなのやって当たり前じゃん。できたことにカウントする価値ないよ」と思っていたような些細なことも、書く。書いていい、と決めた。

「お風呂に入れた」とか「ご飯が食べられた」とかも書いたので、夜寝るまでには、その日の欄がびっしり埋まった。

相変わらず、仕事も家事もほとんどできていない。

だけど、できたこと日記は文字で埋め尽くされている。ぱっと見、ものすごくたくさんのことをこなしたみたいに見える。

まぁ、だからと言って急に「自己肯定感が爆上がり!」とまではならない。

だけど、ほんのちょっぴり、小さじ1程度には肯定的な気分になれた。

だから、「私ぜんぜん頑張れてない……」と自分を責めてしまいがちな人にはおすすめかもしれない。

本当は、「何もできなくても自分には価値がある」と思えたら、それが一番いいのだけど。

◇◇◇

一応解説すると、「すごーい!」の元ネタはコウペンちゃんだ。

イラストレーターのるるてあさんが描く肯定ペンギンの「コウペンちゃん」。私はコウペンちゃんが好きで、唯一購入したLINEスタンプもコウペンちゃんだ。

コウペンちゃんの魅力は「頑張っていない人のことも肯定してくれる」ところだと思う。「おやすみしたの? えらーい」というスタンプはまだ使ったことがないのだが、もしも私が私とLINEしていたら、是非送ってあげたい。

で、夫にコウペンちゃんの話をしたら、「ホメラニアン」というキャラを描いてくれた。「褒めてくれるポメラニアン」だそうだ。


……表情が邪悪だ。

なんだろう、とてもサイコパスみがある。「よくやったね」って、上から目線で褒められてもあまり嬉しくないし。姉に見せたら「普通に犬でいてくれたほうが癒される」と言われた。

これはこれで面白いが、夫の描く動物キャラに「癒し」は期待できない。

◇◇◇

本当は、できたこと日記に書けることがひとつもなくても、生きていていい。

わかってるけど、どうしても自分を肯定できないとき。

できたこと日記やコウペンちゃんに支えられ、なんとか、「これでいい」と思う。

あと、ちょっとだけホメラニアンにも支えられているかもしれない。

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