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親業はペイフォワード

親っていうのは、ペイフォワードなんだと思うことにした。

出産で妻が入院して6日目の夜、3歳の息子、つむぎと過ごすのはやはりかなり大変。ママがいないことで機嫌が悪いのがベースで推移しているので、本当に困ってしまうことばかり。

危ないことをしていて、「つむ、やめなさい。だめだよ」と言うと。
「だでぃ、あっち行って」となる。あっちに行っていると、目の届かないところで危ないいたずらをしている。

ママがいなくてさみしいんだろうと思って、あれこれとつむぎの希望を叶えていても、「そんなの関係ねぇ」とばかり。こっちの最低限のお願いは聞いてくれない。

あぁ、報われない。

9時過ぎ、寝室に向かう。さぁ寝るか、となっても、とりあえず「ママがいい、ママの方がいい、ママがいないからねるのがこわい」。もう慣れてきた。

年末には東京の実家に行く予定だ、そのときはまだ妻も赤ちゃんも連れていけない。
それを考えると少し心配になる、
「つむ、ママがいないと寝れないなら、東京に遊びに行くのもできないんじゃない?」
「とうきょうは行く!」
「でも、夜寝れる?」
「とうきょうはお姉ちゃんたちとねるからいいの」
東京にはつむぎの従姉妹のお姉ちゃん二人がいる。その二人がかなり好きらしい。
「え、お姉ちゃんたちはいいのに、ダディでは寝れないの?」
「そう」
「なんで?」
「だでぃは怒るから」
「え、ママの方がよっぽど怒ると思うけど」
「ママはいいの」

はぁ、父親は報われない。少しへこむ。まぁ仕方ない。

翌朝、つむぎを保育園に送った帰り道。雲ひとつない青空の下、漁港の脇を車で走っている。ようやく少し心の整理がつく。

うん、親でいるというのはペイフォワードなんだと思うことにしよう。

ぼくらの両親はぼくらに対して、本当にたくさんのことをしてくれている。未だにいろんな援助をしてもらっている。しかし、その恩には報いていない。その上、この年で先の見えない農業を始めてしまった。これからも恩返しできる予定はまだ無い。

その返しきれない恩を、息子に与えているんだと思うことにしよう。

そう考えたら、息子に対してあれこれしたことが報われないことなんて、どうということはない。いくらしてあげたって全く足りないくらいだ。

ぼくの両親には少し申し訳ない気もするけど、親っていうのはペイフォワードなんだと思うことにしよう。

きっとそれは、さらに先へ続いていくはずだから。

さぁ、妻と赤ちゃんが帰ってくるまであと少し。

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