見出し画像

逆流性食道炎のぼく。

ぼくの慢性胃炎が逆流性食道炎という名前になって久しい。
10年近くにはなるかと。
昔住んでいた家の近所の胃腸科クリニックでは、慢性胃炎ということになっていた。
それが都内の別のところへ引っ越したのを機会に、かかりつけ医をかえることにした。
それまでの胃腸科に通うこともできたが、そこが地元の老人の健診を始めたことで、いつ行っても混むようになったのもあり、医者をかえることにしたのだ。
新しく通い始めた胃腸科で、胃の内視鏡検査をした。
前のクリニックでもそうだったが、鎮痛剤を点滴しながらの検査なので、うとうとしているうちに検査が終わるので苦しくない。この検査の方法にしてから毎年のように内視鏡検査を受けるようになった。「鎮痛剤を使うと頭がバカになる」とどこかのサイトに書いてあったが、少しぐらい頭が鈍感になったほうがストレスも減ってちょうどいいと思っていたので、実際、少し鈍感になってきたようにも思うが、それも年齢のせいもあるので、この検査方法でちょうどいいな、と感じている。
検査の結果、慢性胃炎ではなく逆流性食道炎と名前がついた。
「なんですか、それは?」と先生に尋ねると、「老化だね」と言われた。
食堂と胃の境目のふたが効かなくなって、寝たときに胃酸が食道まであがってきて、本来、胃酸の防御ができない食道を溶かしてしまうのだそうだ。
「それでいつも胸やけを起こしてたのか」
ものすごく納得した。新しい病名もついて気分が落ち着いた。
薬はそれまでと異なり、「逆流性食道炎」の特効薬だそうだが、ネキシウムが出た。紫色のカプセルがいかにも効きそうな雰囲気を醸していた。
実際、ぼくにはこれがよく効いた。寝る前に毎晩1カプセルを飲んでいる。これで胃酸が押さえられて、この10年ちかく悪化もなく快適にすごせている。先生に「毎日この薬のんでて大丈夫ですか」と尋ねたこともあるが、「新しい薬なのでわからない」と言われたのが7、8年前だから、ぼく自身の人体実験からすると、だいじょうぶな気がする。もっといい薬が出ているのかもしれないが、ぼくはネキシウムを飲み続けている。ぼくはだいぶ前だが、ここで胃のピロリ菌の検査も受けた。3回ほど受けているがピロリ菌はない、とのこと。ピロリ菌は井戸の中にいることが多いそうで、ぼくの世代より上の人たちには胃に感染している人が多いそうだ。抗生物質で除菌治療をするそうだ。ぼくのかかりつけの先生は、胃がんのほとんどの原因はピロリ菌だと言い切っておられた。だから井戸水で育っていないこれからの世代に胃がんは減っていく、ともおっしゃっていた。
ぼくは、ネキシウムを飲む前は、しょっちゅう胃炎症状があって、苦しんだ。つきあいで少し深酒をするとかならず胃炎をおこした。それがネキシウムを飲むようになってお酒がこわくなくなった。休みの日にお昼に散歩に出ると、飲みたくなる。散歩の途中にコンビニによって缶ビールを買って店の表でお日様をあびながら飲むビール。これは格別だね。ネキシウム様様だ。カプセルの紫色が神々しい。ありがとう。ほんとに。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?