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津波避難タワー宿泊体験レポート

#防災いまできること
#高知県防災協会
#避難タワー
#宿泊体験

はじめに
2024年4月20日から21日にかけて南国市危機管理課のご協力をいただき、市スポーツセンター津波避難タワーで防災製品等を持ち込み宿泊体験を3名で実施しました。
以下は簡単なレポートとなります。
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目的と有意義性
【利用者から見るメリット】 実際に滞在・宿泊をして、より良い施設の利用方法や改善点の抽出し、意見を 発信する。
参加メンバーが各々に有効と思う防災製品を持ち寄り、実践し、製品を 検証することで備蓄製品を具体的に認識する。
【管理者側のメリット】 結果をレポートとして受け取り、意見として共有し、必ず来ると言われている 南海トラフ大地震に備える南国市民の防災意識向上に繋げていく。

今回持ち込んだ防災製品
吉村
■自作コット(ベッド) 1800×900×5.5mmの合板を切って組み立てた簡素なコット。 3分割にでき、分解すると子供でも持ち運びができるぐらい小型化、軽量な構造。 今回の宿泊体験で充分な寝心地・強度が確認できれば子供たちの夏休みの 工作などにできないかと考え実験的に持ち込んでみた。 結果 ① 板の上で寝るので背中が痛い。 ② コンクリート床に直に寝ないので体温は取られにくかった。 ③ 高さが低すぎて立ち上がりにくい。 ④ 2日目は1枚をテーブルとしても利用したが使い心地は良かった。 (防災製品の工作を作るなら塗装など装飾を追加してテーブル製作が良いかも) 以上の事からテーブルとしてなら使えると想定できた。 次回までに完成度を上げたい。

自作のコット(ベッド)


■市販品コット 自作コットと比較するためのキャンプ用コット。 当日の気候では寒く感じたので、持出袋には必須と改めて感じた。
■非常用防災担架イージーストレッチャー 当社オリジナル製品(吉村デンソー)、高知県防災認定製品 内部にクッション&断熱効果のある発泡シートが入っているためその効果を試した。 結果は良かった。コットの安定度もアップしたので一定の効果を確認。 担架以外の利用方法も見出せそう。
■寝袋
体温維持にはコットと同様必須、持出袋に入れる啓発が必要と考える。
■ヒートライム(発熱材)
高知県防災認定製品 ご当地、南国市稲生・井上満吉商店製造の発熱材 今回は缶詰、水で戻したアルファ米等を入れて過熱、使用後の余熱は 簡易カイロとして使用した。 水を投入して15分~20分、触れないぐらいに熱くなり、その後は徐々に温度が 下がった。最終40分ぐらいでカイロ程度の温度になり、1時間後は外気温ぐらいに なった。天然素材なので薬剤と比べて安心して使用ができる。

ヒートライム


■市販缶詰
ヒートライムで温めて食べた。今回持ち込んだアイテムの中でヒートライムと 一番相性が良い食べ物だった。 ローリングストックを家庭でする場合、味のバリエーションや使い勝手、コストを 考えたら一番現実的なアイテムだと感じた。

市販缶詰


■防災用お菓子(ビスコ)
ここ10年で導入されている事例が増えているアイテム。 1日~2日程度であれば不要だが、長期避難となるとストレス緩和や子供対策のため、 甘いものが必要といわれて少しづつ導入が進んでいる。 高知県ではビスコでなく「ミレービスケット」や「菱田ベーカリーのラスク」を 導入されているのを見かける。 食せば喉が渇くが糖分接種は必要だと思う。

ビスコ


その他
■ペットボトル水(2L)1本
■ペットボトルお茶(500cc)1本
■防災用トイレットペーパー、10年保証(高知県防災認定製品いの町丸英製紙製)
■不織布毛布(高知県防災認定製品、高知市フロムハート製)
■非常用固形クッキー
■枕
■ゴミ箱

Y氏 発電機のディーラー、ファミリーキャンプが趣味。
■ワンタッチテント プライベート空間を確保でき、また外気との気温差の緩和、遮光、湿度調整、臭いの 遮断、さらには花粉症対策などに大きな効果が見込まれる。繊細な避難者には 必須といえるアイテム(現地、鳩のフン対策にも有効)。
■ハイブリッド式非常用小型発電機、蓄電池 避難所にはぜひ置いてほしい。緊急避難時の避難場所である今回の 津波避難タワーでは、有用性の確認で使用した。 他

発電機と蓄電池

■寝袋
■コット
■IH コンロ(ここの施設では火の使用が制限されていたため)
■食料

O氏 東北出身の山男。今回のメンバーでは最年少だがいつも冷静で頼りがいがあるので皆から「アニキ」と呼ばれている。
■コットと寝袋 コットは、両名同様、床に直に寝るのは絶対的に寒さ、固さで苦痛があると想定し、 持参した。予算が厳しいと思われるが、コットはぜひ備蓄してほしい。避難場所は 無理でも避難所にはあるべき。段ボールベットの有用性より数段に良い。 今回持参した寝袋は、-25℃対応のため、全く寒さは感じなかった。キャンプ・ 登山などを趣味に持つ方は、避難時に必須と考える。

コット&寝袋(人形型)


■避難持ち出し袋とヘルメット 今回初めて避難持ち出し袋の中身をしっかりとチェック及び使用した。 使えるものと使えないものもあった、袋があるだけで安心している人が多いと思う。 中身のチェック・使用を必ず行うべきである。 ヘルメットは絶対重宝すると思われる。津波避難タワーに逃げるまで、頭上が 安全とは限らない。
■保存食と保存水 アルファ米、缶詰等保存食、保存水を使用。ローリングストックを含め、実際に 食べて飲んでみることが必要。
■ポータブルトイレシート等 実践はしなかったが、包装から開けて広げてみた。津波避難タワーにはトイレが あったが、長期水浸し、長期間タワーにいる場合、トイレも満杯になる可能性もある。 避難所でも同様。自宅で実践してみようと思う。

共通使用テスト
■保温シート(羽織り) 空気の遮熱効果は高いので左写真の様に羽織るには一定の効果があった。 但し、右写真の様に布団代わりとしての効果は無かった。 また長時間及び冬季には全く役に立たないと感じた。 動くたびに「シャラシャラ」と擦れる音が大きく、大勢の避難者が集まった際は音が 耳に着くと思われる。

保温シート


■保温マット 高知県防災認定製品、高知市オガサ製工製の保温マット アルミシートを溶着したクッション材で今回は直接床に寝るパターンとコットの上に 敷き、寝るパターンと比べてみた。 様相を上回る遮温効果と保温効果を確認、体験中は朝までコットの上に敷いて 過ごした。保温シートと比べ音が出ることはなかった。

コット&保温シート


■使い捨てカイロ 今回最低気温が 15℃までだったので使用せず。

その他
■ゴミ処理 一晩で一人当たり約1kg程度のゴミが出た。 500人収容なら一晩で500kgのゴミが出ると容易に想定できる。 ゴミのまとめ方、処理方法なども検討が必要。

ゴミ一人分


・当日気温 4/20(土) 17 時 26℃ 18 時 20℃ 日没 20 時 17℃ 夕食時 24 時 17℃ 就寝時 4/21(日) 3 時 15℃ 最低気温が 15℃だったので、今回は暖かい体験宿泊だった。
その他気づいた点
・鳩について、3羽~5羽程度、津波避難タワーに住み着いていた。 夜には津波避難タワーに戻るので羽音や鳴き声で落ち着かない時間帯があった。 またフン被害の恐れがあり、津波避難タワーで一夜を過ごす際は簡易なテントが あれば安心できそう。
・南国市民が非常持出し袋に入れておいた方が良いアイテム ゴミ袋、コップ、箸、椀、コット、アイマスク、寝袋、手元照明、歯みがきセット、 タオル地で作ったクッション枕(中には上下スエット、予備タオル、下着など) ・役場で構えた方が良いもの コット、簡易テント、電気コンロ、ポータブルバッテリー
体験を通じての感想
吉村
初めての避難タワー体験となり、実際一夜を過ごして得る情報は 多かったと感じた。 南国市は人口も比較的多いという特性もあるので、住民に対して適正な備蓄と 避難場所の把握の啓発に力をそそいだら良いのではと思った。 その他、ここ数年で大きな問題になりつつある課題としてペット対策がある。 この課題も手付かずになっているので対策を講じなければならない。 今後もできれば地域防災会や住民の皆さんと共にこの様な体験会を繰り返せればと 思った。 次回は、別の地区の津波避難タワーで体験宿泊を企画したいと思います。

Y氏
小雨が降る中での体験宿泊、避難スペースと想定されているであろう3階は、 雨に濡れる事はなかったですが、風が吹き抜けるため実際の気温より体感温度は 低く感じました。 避難スペースの天井周りに等間隔でフックの取付が可能そうな金具があるので 半透明のビニールシート等を取り付ければ風の対策になるのではと思いました。 気温15℃でも寝袋がないと寒いので何かしらの対策を検討すべきだと思いました。 コンクリートの床は寒く固いので、直に座る、横になるは無理だと感じました。 床から20㎝ほど間隔がとれるコットを使用してみたのですが、床からの寒さが 伝わらずクッション性もあるので身体が痛くなることもありませんでした。 最近のコットは非常に軽く、直径20㎝程度×長さ50㎝程度と非常にコンパクトな サイズに収まるので取り扱いやすいです。 温かい食べ物や飲み物をとれるように何かしらの熱源が必要だと感じました。 今回は発電機で発電した電気を蓄電池に移し使用しました。 発電機に比べ蓄電池は全くと言っていいほど音が出ないので夜間使用しても 全く気になりませんでした。 夜間、津波避難タワーの明かりに虫が寄ってくるのではと思っていたのですが、 やはり蚊がいました。 今回は蚊がいることを想定し、ワンタッチテントを使用しました。正解でした。 ワンタッチテントや蚊帳、蚊取り線香等何かしらの対策が必要だと感じました。 防災用品・非常食等の備蓄はされている思いますが、寒さに対する備えの足りない 避難所・避難場所をよく見かけます。 冬の寒い日、津波避難タワーでは体感温度が氷点下になってしまうのではないかと 思いました。

O氏
市民の避難訓練のひとつに、津波避難タワー体験宿泊は、今後南国市で 実践してほしい。そのためのテストケースとして我々高知県防災協会が今回 実勢できたことは良かった。 津波避難タワーが、一夜限りの避難とは限らないこと、何が足りなくて、何が必要かを 今回のレポートで提言できたらと思います。 南国市スポーツセンター津波避難タワーの備蓄品は、毛布 800 名分、 水 800 名分×2 本と聞きました。果たしてこれで十分なのか? (収納スペースの問題もありますが) 心配して来ていただいた市議会議員のN氏は段ボールベットも備蓄があると言っていましたが、適量あるのでしょうか? 検証が必要です。 なければゴミ袋も備蓄にあった方が良いです。 終日雨でした。夜は体感気温がだいぶ下がりました。風は強くなかったので吹込みは なかったですが、内部に雨の吹込みがある場合、外側の避難者は困る。フックに 雨除けシートを張るべきです。 また一部分に雨水の流れ込む場所もあった。 太陽光発電のライトは暗さ明るさにより自動点灯・消灯していましたが、 就寝時はまぶしく感じた(安全対策上しかたないのか)。

最後に。。。
今回津波避難タワーに体験宿泊したのは、高知県防災協会所属の3名だけでしたが今後は、南国市内他の地区の津波避難タワーでも実施計画し、参加者も 増やし、かつ、南国市民、管理関係者の参加も募りたいと思います。

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