我が家には昔２匹の柴犬がいました。その２匹は私が中学生の時に亡くなってしまいました。

力が強く、なかなか散歩も大変で、思うようにかわいがってあげられなかったことが、私の中でとっても後悔していることで、その当時は、この先犬を飼うことはもうないだろうな、と思っていました。

それから時が経ち、私は成人し、一人暮らしをすることに。アパートでは犬は飼えないし、飼っても大事に育ててあげられる環境ではないので、その頃は犬のことを考えることはほとんどなくなっていました。

しかし、家庭の事情でまた実家に戻ることになり、その頃から、なぜか犬を見る度に触りたい衝動にかられるようになり、暇さえあればペットショップに行き、親にも犬が飼いたいと何度も、何度もお願いしていました。

彼氏無し、毎日仕事ばかり、楽しみと言えば年に１回東京へ行くくらい。

正直、愛情を注げる存在が欲しかったのかもしれません。

念願叶って、犬を飼う許可がおり、ブリーダーさんを紹介してもらい、まずは見に行ってみることになりました。

隣の県の山奥にそのブリーダーさんはありました。

扉を開けると、小さなゲージに入れられた犬が３匹、自由に動けるように広い柵の中で動き回っている犬が3匹いました。その奥の部屋からは何匹いるかわからない程の犬の鳴き声がし、これがブリーダーかぁ・・・と一瞬戸惑ったのを覚えています。

この６匹の中から好きな犬を選んでください・・・。そう言われ、何度も何度も犬の顔を見て、どうしようかと悩んで悩みましたが、結局その中で気に入った子はいませんでした。

父に何回も来られる場所ではないから、飼いたいなら、今決めなさいと言われ、どうするか迷っていると、ブリーダーさんが何匹いるかわからない奥の部屋から小さなダックスを連れてきてくれました。

その子は自由に動ける柵の中で他の犬と戯れるでもなく、私たちの所に寄ってくるでもなく、ブリーダーさんにポンと置かれたその場所でただじーっとしているだけでした。

正直、そんな犬を連れてこられて、えっ？！となりました。

全く元気のない犬を連れて帰って大丈夫なのか、懐いてくれるのか、すぐに死んだりしないよね・・・いろんな事を考えました。

でも、私はそこにいた犬の中でどの子よりもかわいく、愛らしい瞳のそのダックスに釘付けになってしまい、結局、その子を連れて帰ることにしました。

ブリーダーさんもその子を選んだことにちょっとびっくりしていました。

そうですよね、元気もなくて、まったく動かない犬を選んだんですから。

ですが、私は犬が飼いたい一心でしたし、気に入った子がいたのだから、連れて帰らないわけにはいかないという気持ちで、多少の不安はありましたが、その子を選びました。

帰り道、必要なものをすべて揃え、家について早速お部屋を用意し、

犬との生活が始まりました。

名前はとっってもありきたりですが、「もも」と名付けました。

最初は新しい環境に戸惑っているようでしたが、時間が経つにつれて、どんどん元気になっていき、活発に動くようになりました。

ただ、やはり性格なのか、人見知り、犬見知りが激しく、ほとんど私たち家族以外に抱っこをされたり、懐いたりすることはありませんでした。

あの奥の部屋がどんな環境だったのか、抱っこしてもらったり、遊んだりしていたのか、生まれてからの4ヶ月、どんなふうに過ごしていたかはわかりませんが、ももにとってあまりいい環境ではなかったのかな、と思ってしまいます。

他の活発で人懐っこい犬たちはきっと受け入れてくれる家族が簡単に見つかったかもしれませんが、ももはもしかしたら、ずっとあの奥の部屋で過ごして、赤ちゃんを産むためだけに、外の世界も知らずに生活していたかもしれません。そう思ったら、運命的な出会いだったなと思います。

ももが我が家に来てから、私の生活はもも中心になりました。仕事のお昼休憩も家に帰り、仕事以外の時間は常にももといるようになりました。まわりには結婚が遅くなるとか、ますます引きこもるとか、いろいろ言われましたが、そんなことは関係ありませんんでした。

それまで、気持ちが沈むことも多く、なんだか憂鬱だなと思っていたのが、ももといる事で気持ちが晴れ、生活が豊かになった気持ちになれたのです。犬を飼うことでそこまで気持ちに変化があるとは思ってもいませんでしたし、もともと単純に犬がかわいいからという気持ちで飼ったので、期待以上の効果があったように思います。完全にアニマルセラピーですね。

今では、私の娘の見張り番をやってくれて、娘が泣けば、すぐに娘の所に行き、様子を見ていてくれます。今までは自分が守ってもらう立場だったのが、自分の下ができて、強くなったのでしょうか。

ビビりの人見知りももちゃんが、娘の誕生を機に大きく成長するタイミングなのかもしれません。

ビビりのかわいい、美人ももちゃんは我が家の自慢の家族です。

#我が家のペット自慢