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いつも怒っていた上司のことを心理カウンセリングを通して考えてみた

心理カウンセリングの手法を心理カウンセラーのわたしが実際にやってみて全公開していくシリーズです。

前置き 心理カウンセリングの手法を全部やってみることにした
第1弾 心理カウンセリングでセルフイメージを深掘りしたらプリンセスになりたいことに気付いた
第2弾 娘の問題を心理カウンセリングで紐解いたら私がどうすればいいかが分かった
第3弾 心理カウンセリングを受けたら人に迷惑を掛けて嫌われたくないという本音に気付いた
第4弾 心理カウンセリングで問題の根本原因を探ってみたら、ある出来事がトラウマになっていたことに気付いた
第5弾心理カウンセリングで痩せられない理由を探したら「綺麗になると嫌われる」という思い込みに気付いた

日本では空気を読める人、気を遣える人が素晴らしいという風潮があります。

そのため相手の顔色やしぐさやちょっとした一言から「きっとこう思っているだろう」と予想を立てて、事前に行動に移すことが多いと思います。

空気を読んで気を遣えることは喜ばれます。

でもそれらはあくまで予想なので、間違えることもあります。間違えが続くといつしか誤解が生まれ、結果的に人間関係がこじれてしまう場合があるのです。

人間関係をスムーズにするために一番大切なのは、思い込みをせずにまず聞くことです。

相手が何を考えているのか、どうしてほしいのか、何が嬉しいのか、何が嫌なのか聞くことで勘違いがなくなり、人間関係の悩み事はかなり少なくなるはずです。

でも実際問題、直接聞けない人っていますよね。

会社の上司とか。接客業ならお客様とか。出会ったばかりの人とか。

明らかに怒っていそうな時に「なんで怒っているのですか?」って聞けないですよね。私は怖くて絶対に聞けないです。

そんな時に使える心理カウンセリングの手法があります。

それはNLPではポジションチェンジ、ゲシュタルト療法ではエンプティチェアと言われる手法です。

NLPとは、Neuro Linguistic Programing(神経言語プログラミング)の頭文字から名付けられています。
NLPは、1970年初頭、カリフォルニア大学の心理学部の生徒であり数学者だったリチャード・バンドラーと言語学の助教授だったジョン・グリンダーが心理学と言語学の観点から新しく体系化した人間心理とコミュニケーションに関する学問です。

出典元:NLPとは?/NLP 日本NLP協会 公式サイト・神経言語プログラミング (nlpjapan.org)

ゲシュタルト療法は、人が「自分らしく生きる」こと、自分にとって最良の
「選択」が「自由」にできる自分自身でいること、そして、自分の周囲の人々や環境と好ましい「関わり」を持つ自分自身になることを目指す心理療法である。

出典元:哲学的背景 | ゲシュタルト療法 (japangestalt.org)


ポジションチェンジもエンプティチェアも相手の気持ちや考えを探していく手法です。

でも多くの人が行っている「空気を読む」とか「気を遣う」とか「予想してみる」とは決定的に違うところがあります。

それは自分からの視点を完全にシャットダウンして相手の気持ちだけを考えるという点です。

日常で置き換えてみると「私は飲み会が嫌い。きっとあの人も無理して参加しているんだ」と考えるのではなく、自分の視点をシャットダウンして「あの人は今どんな気持ちなのかな」とものすごくシンプルに考えることです。


というわけで、心理カウンセラーが相手の視点に立って相手の気持ちを考える心理カウンセリングの手法を実際にやっていきます。


相手の視点に立って相手の気持ちを考えてみよう


今回は以前働いていた職場にいた、朝から毎日のように大きな声で怒っていた女性の上司(Aさん)について考えてみます。


1.椅子を二脚用意してください。あたなの席からAさんを見るとどんな表情をしてますか?

Aさんを想像してみる

不機嫌そうな表情をしています。頻繁にため息をついて、時々疲れてた顔をしています。

2.どんな姿勢で座っていますか?

足組んで、深めに腰をかけてパソコンをじっと見ています

3.Aさんを見ているとどんな気分になりますか?

不安になります。またいつ怒り出すんだろうと怖くなります。

4.Aさんはあなたに何をしてくれなかったから怒っていると思いますか?

私や他の社員の仕事にミスが多いことや、効率が悪いことに対して怒っていると思います。

また、Aさんはすでに仕事がたくさんあるのに、誰かのミスによって仕事が増えることに対してもイライラしていると思います。

5.では、Aさんの中に入るようなイメージをして、Aさんの席にAさんと同じ姿勢で座ってみてください。どんな気分になりますか?

Aさんになりきってみる

大変だと思いつつも仕事にやりがいを感じてワクワクしている気分になります。

6.Aさんになったつもりで見ると、あなたはどんなふうに映りますか?

自分よりも能力が低く、仕事ができない人に見えます。

7.Aさんからあなたに何か伝えたいことありますか?

「もっとちゃんとやって」「早くやって」「すぐに正確にやって」と言いたくなります。

8.Aさんはなんで怒っていると思いますか?

会社全体のため、仕事が滞りなくうまくいくために怒っていると思います。

でも自分が優位に立って気持ちよく仕事をしたいために怒っているような気もします。

他には「私が教えてあげなきゃ誰も気づかないでしょ」という気持ちもあると思います。

9.席を立って2人の間に立ってみてください。深呼吸をして2人の様子を観察してみてください。それぞれどんな主張をしていますか?

2人を客観的に見る

・私の主張

「ちゃんと仕事をやってることを認めてほしい」「ミスは許してほしい」「人間なんだかミスをするのが普通だと分かってほしい」

・Aさんの主張

「仕事でミスがあるなんてありえない」「あなたの気力と根性が足りないからミスするんでしょう」「あなたは爪が甘いからミスをしてしまう」

10.最後にあなたの席に戻ります。Aさんの印象は変わりましたか?

もう一度、Aさんを想像してみる

ただ怖い存在でしたが、大変そうだなぁと少し可哀そうな気持ちになりました。

きっと自分がミスをした時も「私の爪が甘いからだ」って自分を責めてるんだろうなと思います。

それじゃ毎日いっぱいいっぱいになってイライラしちゃうのも仕方ないかもなという印象になりました。



というわけで、相手の視点に立って相手の気持ちを考える心理カウンセリングの手法を実際にやってみました。

あんなに怖かったAさんの印象が、心理カウンセリング後ではだいぶ変わりました。

もうAさんに会うことはないので、次にAさんに会った時の変化はお伝えできませんが、他の人と接し方がなんだか変わりそうな気がします。

また数日後に経過報告をしますね。


*


12月11日 追記

カウンセリングをしてから2日が経ちました。わたしに変化があったのでお伝えします。

変化したこと:想像以上に他人の思いを予想して行動していたことに気付いた

カウンセリングを通して、前の職場の上司の気持ちを決めつけていたことに気付きました。

怒られて萎縮してしまう状況や、上司と部下の関係性であれば相手の気持ちを決め付けてしまうのは、まぁ仕方がないかなと思うんです。

でも、気心が知れている家族に対しても、わたしは相手の気持ちを決めつけて行動していました。

夫なんて世界一気を遣わずに話せる相手なのに。

この二日間、夫との会話の中に「え?そう思ってたの?」「え?そうしたかったんだ!」と驚いたことが何回もありました。

ちょっと立場を変えて考えてみるだけで、別の考え方ができることを知れたことは、思いがすれ違って夫婦仲がぎくしゃくしてしまうのを確実に防いでいます。



今回の心理カウンセリングを通して気付いたクライアントとしての感想と、心理カウンセラーとしての見解(カウンセリングで工夫した方がよいこと、より良いカウンセリングにするためのポイント)を書いていきます。

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