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【詩】13・死と再生の薔薇

死のカードはひとつの終焉とともに
新しい物事の始まりを仄めかす
死神は大鎌をもって
あらゆる生命を切り倒してゆくが
「古いものの束縛を断つ大鎌」
という意味を併せ持つ

そう、それは
解放のための断絶
人生は小さな死に彩られている
挫折も恋の終焉も
私の内側の小さな死だ
深い喪失の痛みを通して
新しく生まれ変わってゆく

死神の通った道は一掃され
死と再生のプロセスへ
変容という痛みを伴うプロセスへと
向かってゆくことを余儀なくされる

黒とグレーに覆われた世界の中に
白馬に跨り甲冑を纏った髑髏が
花の紋章の入った旗を掲げてやってくる
彼/彼女の通る足元には
累々と亡骸が転がり
身分の高いものも低いものも
等しくなぎ倒してゆく

生きとし生けるものの定め
物質的なものはすべて永遠ではない

薔薇十字の紋章

だが見よ
掲げられた旗にはローザ・ミスティカ
神秘の薔薇がひるがえる
薔薇の寓意はマリアであり女性原理
それが献身を表す十字と組み合わされる時
王と王妃の聖なる結婚が起こり
命の妙薬・エリクシールが完成する

その白い薔薇は
死と生の秘密を象徴する
物質的なものの死すべき運命と
魂の不死性を暗示しているのだ

遠景の二本の塔の向こうには
煌々と輝く太陽が昇ってきている
曙光は照らすだろう
新たな生を

タロットの多くのカードでは
二本の柱が描かれた
左右の柱は
相反する対をなすものを表してきた
柱の一本は闇であり夜であり女性を
もう一本は光であり昼であり男性を
象徴している

秘儀参入の儀式では
擬似的な死を体験すると言われている
冥府を通って再び蘇る時
参入者はもう
過去と同一の人物ではない
霊的なペルソナを開花させた者は
魂の中から不均衡なものや
邪なものを浄化して生まれ変わるだろう

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