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子どもたちを性犯罪から守るプロジェクト

注:この記事は、Space of Digital Humanities からの転載です。サポートは元記事からすることができます。


子どもを標的にした残忍な性犯罪のニュースが絶えない。

たとえ生命が助かったとしても、子どもは心に残った傷を一生背負って生きていく。

子どもたちを性犯罪から守る方法はないのか?

それを追求するのがこのプロジェクトです。


注:この記事は、Space of Digital Humanities からの転載です。

1. Prologue


このプロジェクトを始めようと思ったきっかけは、2024年1月15日にXに投稿したこのポストでした。

このポストは、「幼い女児に薬を飲ませ、眠らせ、集団でわいせつ行為の疑いで男5人逮捕」というあまりに陰惨な事件を伝える朝日新聞の記事に関して投稿したものです。(記事は既に削除されています)

このポストで、アメリカでは性犯罪歴のある人の居場所をスマホのアプリで確認できることを紹介しています。

これに対して、日本にもそんなアプリが欲しいという反応がたくさん来ました。それがこのプロジェクトのきっかけです。

このポストの翌日から有志が集まり、子どもたちを性犯罪から守るためには何が出来るのかを研究し始めました。

2. 狙われている子どもたち

少し注意してみていると、子どもが性犯罪の被害者になる事件が毎日のようにあります。被害にあった子どもとまったく繋がりのない他人も含め、教師、警官、保育士、塾教師、親など子どもにとっての絶対的な権力者の位置にいる人間がしばしば性犯罪の加害者になっています。

2-1. いくつかの報道の例

報道されるのは性犯罪事件のごく一部であり、しかも性犯罪は事件化する割合が日本では非常に低いと言われています。その結果、一般人が知ることが出来るのは、氷山の一角と考えるべきでしょう。調べ始めると、「子どもたちを守る」という素朴な願望がさまざまな問題に囲まれていることが分かってきました。有志たちとのディスカッションを繰り返す中で、問題を四つに分類しました。

  1. データの問題:まず、子どもたちが被害者となる性犯罪のデータ取得がとても困難であることが分かりました。報道される記事が網羅的でないのは明らかです。たとえ、事件になる割合が少ないとしても、警察や裁判所が元データに一番近いところでしょう。これもあちらこちらを調べ、問い合わせた結果を要約すると、ほぼ閉ざされています。大原則は裁判は公開されていなければいけないのですが(憲法82条)、例外規定があり、非公開にできます。刑事訴訟法でも原則として、訴訟記録は閲覧できるのですが(刑事訴訟法53条)、これも例外として非公開にできます。大雑把にいうと、加害者の人権の保護が考慮されているからですが、それでは被害者である子どもの人権、もしくは被害に遭うかもしれない子どもの人権の保護はどうなるのかという問題が出てきます。加害者の人権と被害者である子どもの人権の衝突がここにあります。これ以上の法的な話はこちらにまとめていますので、関心のある方はそちらをご覧ください。

  2. 被害者ケアの問題:性犯罪の被害にあった子どもたちはその後の生涯で身体的・精神的なダメージを背負って行かなければいけない。それをできる限り軽減する公的制度があるべきですが、そもそも事件として公式に被害者として認められる割合が少ないので、可視化されない被害者がそのようなケアを受けられる可能性はほぼないでしょう。これもデータが必要な問題であり、政治の問題として解決策を作る必要があります。

  3. 再犯の問題:性犯罪事件を調べていて目立つのは、同じ加害者がなん度も性犯罪を繰り返す例です。ここに性犯罪の量刑の問題があります。加害者が数年の禁固刑のあと、社会に出てきて同様の性犯罪を繰り返すということが起きています。次の④の自力防衛の問題に繋がりますが、最初のXのポストで言及したアメリカのアプリというのは、加害者の「性犯罪者登録簿」への登録がデータベースになっています。それに加えて、性犯罪者は禁固刑からの釈放後、GPSを足首に外れないように装着されます。この位置情報がマップ上に現れ、一般人がスマホやコンピュータで簡単に知ることが出来るという仕組みです。このような再犯防止策は日本にはありません。

  4. 自力防衛の問題:子どもたちを守る責任は第一義的には保護者にありますが、国にも国民を保護する義務があります。すべての国民は、個人として尊重され、生命、自由及び幸福を追求する国民の権利は、政府が立法その他の国政の上で最大の尊重をしなければいけないと日本国憲法(第13条)は規定しているので、子どもたちを守る責任は国にもあります。しかし、言うまでもなく、今まさにこの問題に取り組もうとしている理由が、国による保護が十分じゃないということを証明しています。つまり、現状では保護者たちは、いわば自衛策を講じて子どもたちを守らざるを得ないということです。

  5. アプリの問題:アプリを作ることに技術的問題は何もないということが分かりました。アメリカで性犯罪歴のある人の場所を特定するアプリがいくつもあるのは、それを可能にする法的・制度的体制があるからです。日本はまずこれを解決しない限り、子どもの保護者たちにとって有益なアプリは出来ません。

3. Sexual Offender Locator

当初考えていたような「アプリを作る」という単純な話ではなくなってきたのですが、ここで簡単にアプリの説明をしておきます。Sexual Offender Locator というのは、「性犯罪者の場所を特定するもの」というような意味で、このタイプのアプリの一般名称です。

アメリカには、性犯罪者が服役の後、どこに住んでいるかを示すアプリがたくさんあります。下にあげたのはほんのいくつかの例です。上段の真ん中のは司法省のアプリです。

最も多く利用されているアプリは左上のSex Offenders Search のようです。その中を見てみましょう。

まず、下のようなMapが出てきます。そこにある赤いピンが性犯罪履歴のある人の所在地です。

その赤いピンをクリックすると、下の図のように、その人の顔写真、性別、人種、生年月日、身長、髪の色、目の色、住所、性犯罪歴が出てきます。アプリそのものには、黒塗りの部分はありません。

下の画像のように、Map上の情報をリストにして見ることも出来ます。ここでは、念の為名前、顔写真などを塗りつぶしているので海苔弁当のようになっていますが、アプリには黒塗りはありません。

4. 何ができるか

データがなければ、アプリを作っても意味がありません。しかし、ここで止まっては、日本伝統の出来ない教になってしまいます。今ある条件の中でも出来ることはあるではないかというのが結論です。

4-1. 法的・制度的問題を明らかにする

 4-1-1. 全般的方針
 これは、上の①データの問題で書いたように、既に相当に分かってきましたが、必要なことは、加害者の人権を守ることが重要であるとしても、子どもたちがのびのびと安全に生きていく人権(憲法13条)が侵害されているという事態を整理し、どこをどうすれば改善できるのかを明らかにすることです。アメリカであのようなアプリを可能にした法理はどんなものであったのかも研究して活かすべきです。ある段階でそれを、我々の代表である立法府の国会議員にバトンを渡して仕事をしてもらう必要が出てくるでしょうが、その下準備を保護者たちが力を合わせて行うということです。

 4-1-2. アプトプットー報告書
 上記の①から④に関する問題を徹底的に追求してまとめる。法的・制度的な問題が関わってきますので、根本的な解決は、ある段階で政治家が動かなければいけないでしょう。この報告書というのは、彼らにバトンタッチをするためのバトンです。

4-2. 手に入るデータで出来ることをする

 4-2-1. 全般的方針
 手に入るデータは限られているとしても、全然無いわけではありません。  報道されているデータだけでも、保護者ならば、どこで何が起きたか、たとえ性犯罪加害者のリアルタイムの居場所が分からなくても、あるいは実名や顔写真がなくても、知っていたいものです。既に公にされている情報だけでも、データベース化して1箇所に集中させ、保護者たちがいつでもアクセス出来るようにすることには意味があるでしょう。出来ることをするというのが方針です。

 4-2-2. アウトプットーハブサイト構築
 このウェブサイトには二つの役割を果たすことを期待しています。一つは、上記①〜④に関する調査研究を順次公開していく、子どもたちに対する性犯罪に関する情報のハブとしての役割です。公開することによって、それに関しての新たな情報や知見が集まることを期待しています。
 もう一つの役割は、手に入るデータで出来ることをする場としての役割です。既に実験的に作った、このようなマップに新しい情報を手に入りしだい追加し続けることによって、現時点で可能な情報共有を保護者たちにすることが出来ます。同時に、将来作ることを予定しているアプリに先行してユーザーのフィードバックを得る機会にもなります。

5. サポートをお願いします

このプロジェクトを続けるために、クラウド・ファンディングをすることにしました。一番上に載せたXの投稿をして以来、データアナリスト、ITエンジニアなど3人のボランティアの人に助けてもらっていますが、仕事量も職種もどんどん増えていき、これからサーバーレンタル料やドメインネーム料、ウェブサイトに使うアプリ使用料など諸費用も増えていくことを考えると、サポートが必要だという結論になりました。

大手のクラファン・プラットフォームを使うことも検討しましたが、現段階では断念しました。理由は、手数料や使用料(いろんな名目があります)が高いということと、サポーターに対するリターンの設定がどうもこの「子どもたちを性犯罪から守る」プロジェクトの趣旨と相性が悪いということです。率直に言うと、このプロジェクトの究極のリターンは、一人でも多くの子どもたちが性犯罪から守られるということです。サポートに対するその見返りとしてのリターンというものが設定しにくいのです。但し、大手プラットフォームの潜在的サポーターへのリーチ力は圧倒的なので、ある段階でそういうプラットフォームを使う必要が出てくることも承知しています。

サポートして頂けたら、直接的なリターンとして強いて列挙すれば、上に書いたような⑴報告書と⑵ウェブサイトと⑶定期的なアップデートメールです。但し、それは究極のリターンを得るためのツールに過ぎないものであることをご理解して頂いた上で、サポートをお願いしたいと思っています。

もう一つこのプロジェクトが、ガジェット開発に典型的にみられるような購入型クラファンに合わない理由は、性犯罪が常に起こり続ける以上、このプロジェクトも常に新しい情報をリアルタイムで吸収し続けなければ意味がないということです。将来的には、有料アプリを公開して、コスト・リカバリー型に移行することも考えられますが、今はこのプロジェクトは、その前段階なのでそこまで至っていません。というわけで、ここでは下記のように4種類のサポートをお願いしています。

サポート1:このプロジェクトを広めてください

⑴大手プラットフォームの力を借りずにやるので、潜在的サポーターにリーチする力がほぼありません。このプロジェクトは多くの保護者の方に到達できなければ意味がありません。サポーターの数は、将来的に政治家を動かす力にもなります。まず、たまたまこのページに辿り着いたかもしれませんが、もし趣旨に賛同して頂けたら、お知り合いに少しでも広めて頂けると、大変有り難いのです。

サポート2:アイデアをください

⑵ここまで読んでいただいて、こういう情報があるとか、こういうデータの取り方があるとか、自分はこういうことが出来るとか、いろんな考えが浮かんで来たかもしれません。すべてのアイデアにオープンでいたいと思っているので、もし何かご意見やアイデアがあれば、下のフォームから共有していただけたら有り難いです。
(注:このサポートはこちらからお願いします)

サポート3:100円サポート

⑶継続することが重要なプロジェクトなので、なるべく多くの人に負担にならない程度に継続的にサポートしてもらいたいと思っています。
①1ヶ月につき100円のサポート、②1種間につき100円のサポート、③3日につき100円のサポート(1ヶ月につき1,000円)、④1日につき100円のサポート(1ヶ月につき3,000円)から選んでもらえたら嬉しいです。
(注:このサポートはこちらからお願いします)

サポート4:クラウド・ファンディング

⑷最後が伝統的なクラウド・ファンディングです。下のフォームの2ページ目にいくつかの金額の選択肢がありますが、任意の額を入れることもできます。3ページ目がお支払い情報の記入ページになります。
(注:このサポートはこちらからお願いします)

上記4種類のどのサポーターになって頂いた方にも、月一回くらいのニュースレターでアップデートをしていきます。プロジェクトの進捗具合はもちろん、新たな性犯罪の発生に関してや、もし政府になんらかの動きがあればそれに関してなどを内容として考えています。

最後まで読んでいただき、有難うございました!


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