良い本を紹介します。

『検索は、するな。』著:安田佳生(サンマーク出版社、2009/4/13)

成功したい。
最もらしい答えが、正解が知りたい。多数決をとって多い方に行きたい。影響力のある著名人と自分の意見が同じであってほしい。今の自分の考えを肯定してほしい。

でも、多数決の答えも著名人の意見も、正解でないことはわかっている。答えなど、どこにもないことなど分かっている。こんなこと、様々なメディアで100回以上、目に、耳にしている。そんなこと分かっている。

それでも、何かにすがりつくように、本を読み、ネットで検索する。何かに追われるように答えを探し続けてしまっている。

本書のタイトル「検索は、するな。」のデザインはまるでGoogleを意識させるかのようである。

著者の安田佳生氏は元・株式会社ワイキューブの代表取締役であり、著書に「千円札は拾うな。」「採用の超プロが教える○○」がある。人材コンサルタントならび、中小企業向けの企業ブランディング支援も行っていたが、2011年に倒産。そして2012年、会社の創業から倒産までを記した「私、社長ではなくなりました。-ワイキューブとの7435日」を出版する。2002年には就職人気企業ランキングで、名だたる大手企業と並んで40位に入ったことのある会社の創業者である。


10/03日の書評にて「驚安の殿堂 ドン・キホーテ」創業者の安田隆夫氏に触れた。安田隆夫氏は著書にて『「勝利や成功の法則」などはなく、徹底的にお客様の心理を読み取っていき、変化するニーズに対応し続けることが重要である』と主張している。

成功の法則など無い。と。

本書で安田佳生氏は「検索は、するな。」と伝えている。

ビジネスというフィールドにおいて「こうすれば必ず上手くいく」という、受験のような普遍的なものなど存在せず、成功の「型」というものも、時代とともに、人ともに変化してしまっている。そして、自分で考えず、他人の意見を鵜呑みにして上手くいったとしても、続きはしない。なぜなら、ビジネスは「再現の連続」であり、「なぜ自分が成功したのか」がわからないのなら、再び成功することはないのだと主張する。

ここに「検索を、するな。」のタイトルの所以がある。

私たちは「検索」はするが考えておらず、ただ「情報」を処理している。考えなければいけない場面で本を読んで考えたつもり。考えてるつもりでネットの記事を読んでいるだけ。考えていない。私たちは「考えること」と、本やネット記事の「情報処理」を一緒くたにしてしまっている。今の自分の問題解決につながっていそうな記事や文章を読んで、考えたつもり。「自分で考えることが重要」という内容の本を読みながら考えたと錯覚する。得た知識や情報をもとに自分で考えることできず、思考が止まり、行動も止まる。それを繰り返し、今の自分の問題の回答を延々と探しまわる。私たちは一つの問題に対し、じっくり腰を据えて考えることができず、本を読み、ネットで検索することを通した「思考停止」してしまっている。

良かれと思って、本を読んで、ネットで検索して、思考が止まる。

安田佳生氏は「答えはすべて自分の頭の中にある。」と説き、「『考える』ということは、答えを導きだすプロセスの中に、その人のオリジナルな感情、哲学、言葉といったものが含まれ、常識を疑い、自分なりの言葉を見つけ出すこと」と定義している。

「深く、より深く物事を考え抜く」ことが大事だと。

そして、私たちに必要なのは、本を閉じ、スマホを置いて、時間と情報を止めることであり
「検索」をやめて、「頭が動き出す時間」を作ること。
「情報処理」から「思考」に切り替えること。

「検索」をやめることで「思考」を始め、何かを生み出す。

それがビジネスや人生において重要なのだと。

本書は、ビジネスや人生を通じて自分で考えることの重要性を説き、「思考の本質」を考えるきっかけをくれる一冊となっている。

僕もスマホを置いて、パソコンを閉じなければと思うが、10秒も持たないと思う。
落ち着かないのだ。
むむむ
なかなか、思考するのは難しいみたいだ。
なんとかしなければ、、、

僕がオヤジになる前に