大喧嘩と、ニート見込みの女の眠気。
先日、同居の父と共にお礼の品を持って伯父の家を訪ねた。
というのも、父娘共々新型コロナに感染してしまった際に、伯父たちが食料品を持ってきてくれて色々と助けてくれたからだ。
父は兄弟たちと折り合いが悪く、最近はあまり家を訪ねていなかった。
私も、こども時代は緘黙のような状態だったため、親戚とはほぼ会話したことがなく、話せるようになってからもそこまで積極的に会おうという気にはならなかった。
それでもこちらのことを気にかけてくれているようで、たまに連絡をもらっていた。
家を訪ね、伯父と他愛のない会話をしていた。いただいた飲み物を飲んでゆっくり過ごす。
しばらくすると「お前結婚はせんのか?」「仕事はどうか?」と尋ねてきた。
伯父はこういうことを聞いてくる質ではあるが、私のような独身・非正規の身内のことは殊更気になるのだろう。
というかそんな状態のやつ、気にして当然といえば当然なのである。
来たぞ、と一瞬身構えたものの、私はこの手の質問にはさして動じなくなっていた。
以前だったら、やめて……と参っていたが、今はもはやどうも思わない。(シンプルに、たまにしか会わない相手だから気にならない、というのはある。)
だから、結婚する意志がそこまでないことと、もうすぐで仕事を辞めることを正直に伝えた。
当然、お前大丈夫なのか?生きていけるんか?というような返答であったが、もう仕方がないのだ。
いや〜結婚もね〜必ずしなきゃと思ってるわけでもないからですね〜と、ヘラヘラしながら答えていると、
「毎回毎回いい加減にしてくれ!」
それまで会話に入っていなかった父が声を荒らげた。
始まった。
頭の中でコングが鳴り響く。
私はこの兄弟のことを詳しく知っているわけではないが、父はこれまで様々なことを耐えに耐えてきたという話は聞いていた。
この伯父には大分無理なことを言われてきたし、断りきれずに従ってきた。そしてこの時も、たまに会ったと思ったら自分たちのことをいちいち細かく聞いてこようとする。どうしてこう普通の会話ができないのか。
そういうわけで、爆発してしまったようた。
もうそれからは「正社員になった方がよかろうもん!あと職がなけりゃ結婚でもして養ってもらえばいいやないか!」と言っている伯父と「何でもそうやって決めつけるな!普通にしようとしてもできなくて辛いこともたくさんあるんよ!」と叫ぶ父の応酬が続いた。
私はというと、ものすごい睡魔に襲われていた。
新型コロナの咳の症状がいつまでも残っており、病院で処方された咳止めの薬を飲んでいた。
それが結構強い薬であったため、かなりの眠気を催していたのだ。
意識が若干朦朧とする中、ちょうどその時間にあっていたコナンをなんとなく見ていた。
自分のことで親兄弟がめちゃくちゃ言い合っているのに、体調と薬のせいもあるとはいえ、眠気に襲われアニメを見ているなんて……
アニメの内容も入らなくなった機能停止寸前の頭でそんなことを思った。
そのあとも、内容は変わりつつも言い合いは続いた。
後日、散歩している時にこの大喧嘩のことを思い出していた。
父とはよく話すので、私がモンスター級の社会不適合者であることを知っている。しかも父自身も働きたくない系の人であるため(とは言いつつも、当時学生だった妖怪人間みたいな娘を養うため、定年まで勤め上げた。本当に感謝しかない。)、まぁやりやすいようにやってみ、といった感じである。
そう言ってくれるのも、私たち父娘が疲れ果てていたからかもしれない。
今の生活に落ち着くまでに色々あったせいだと思う。主に家庭内のゴタゴタであるが、ここでは割愛する。
もうとにかく、心穏やかにゆっくり生きていきたいというようなことを、互いによく口にしている。
しかし、やはり父には申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
伯父に対して、私のことをああいう風に言わせてしまったこと。
こんな情けない娘で申し訳ない。
本当なら、今こんな仕事してるみたいですごいんだ、もうすぐで結婚するんだ、とか、自分の娘はこんなに素敵で立派なんだ、と周りに胸を張って言えただろうに。
そうは思っても、結婚はそんなに望んでないし、こどもは産まないと決めちゃってる。父にも、孫の顔見せられんわ、ごめん、と伝えている。仕事も、週5日はつらすぎる。
もうそうなったら、やりやすい方法を見つけていくしかない。
父には、ここに書いたことをそのまま全部言って謝って、それからたくさんいろんな話をした。
私は本当にダメな人間だけど、不思議と今までよりも気持ちは晴れやかだった。
きっと、こうあるべき、という固定概念が薄れたからかもしれない。
これから自分がどうしたいか、ゆっくり考えたい。
もうすぐで仕事を辞める。
職場で、人が怖くて避けまくっている私のような人間のために、お疲れ会をしてくれるそうだ。申し訳ない、ありがたい……
大人数で飲み食いするのは苦手だが、暗い気持ちは一旦置いて、楽しんでこようと思う。
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