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人間関係でくり返す悩みを、根本的に解消する方法:「なんでいつもこうなるの?」からの脱却

こんにちは、野口嘉則です。

今日は「人間関係でくり返してしまうパターンを変える方法」をお話します。

恋愛において同じようなパターンを繰り返してしまう人。
夫婦でいつも決まったパターンの喧嘩をしてしまう人。
子どもに対していつも感情的になって叱りすぎてしまう人。

家族や友達、あるいは職場の人間関係において、「いつも同じようなことをくり返すんだよな」というパターンってありませんか?
今日は、その「パターンが生じるメカニズム」と、「パターンを変える方法」についてお話していきます。



<人間関係のパターン>


人間関係においてくり返されるパターンというのは、実際なにが思いつきますか?
わかりやすいように、いくつか例を挙げてみたいと思います。

・人と会うと、むりに明るい自分を演じて、すごく疲れてしまう。
職場でも、友達の集まりでも、趣味の集まりでも、とにかくハイテンションになり、家に帰るとドッと疲れが出る。

・好きな相手と付き合っても、最後はおたがいを傷つけ合うようになって、毎回あと味の悪い別れかたをしてしまう。

・のびのびとした子育てが理想なのに、実際は子どもに対していろいろと干渉してしまう。

こんなふうに、人それぞれ「人生でくり返している人間関係のパターン」というのがあると思います。

じゃあ、なぜパターンというものが存在するのか。
パターンの仕組みを、具体例を紹介しながら解説していきます。

<人からいつも怒りをぶつけられるAさん>

Aさんは、人から怒りやイライラをぶつけられることが多いです。

職場でミスをしたときも、他の社員に対しては注意で済むのに、上司は彼のミスに対しては怒りをぶつけることがしょっちゅうです。
Aさんは仕事も真面目にやっているし、特にミスが多いわけじゃないのですが、なぜか怒りをぶつけられやすいキャラクターなんです。

思いかえしてみれば、子供のころも、クラスメイトから責められたり、友達から怒りをぶつけられたりすることがよくあったAさん。

彼はなぜ、「人から怒りをぶつけられる」というパターンをくり返しているんでしょうか?


<こころの中にある人間関係のひな型>


Aさんに限らず、僕たちが人間関係においておなじパターンをくり返してしまう理由、というのがあります。

それは、「僕たちのこころの中にある、人間関係のひな型」なんです。
心理学では「内的対象関係ないてきたいしょうかんけい」と呼びますが、「心の中にある人間関係のテンプレート」と言ってもいいでしょう。

この、こころの中にあるひな形を、僕たちは現実生活の中で再現しているんです。

上記のAさんの場合、こころの中には、どんな「ひな型」があったのでしょうか。

Aさんは、子どものころ、お父さんがとっても怖い存在でした。彼のお父さんは、怒り出すとどなったり物を投げたりするような人だったんです。

Aさんのこころの中には、「怒ると怖いお父さん」と「ビビる自分」という2つのイメージがあります。この2つがセットになって、心の中にあるわけです。

これが、彼の「ひな型」なんです。

そしてAさんは、こころの中にある「怒ると怖いお父さん」のイメージを、目の前の人に投影しているんです。

投影という現象は、プロジェクターをイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。
プロジェクターって、機械の中にある情報を、外側のスクリーンに映し出しますよね。
おなじようにAさんは、自分のこころの中にある「怒ると怖い人」というイメージを、上司というスクリーンにうつし出して見ているんです。

「怒ると怖い人」のイメージを投影すると、上司が「怒ると怖い父親」のように見えてきます。
すると、ひな型の中にセットで持っている「ビビる自分」に、今度は自分が同一化しちゃうんですね。

そうすると、「ビビる自分」が、上司に対してビビって気を使いながら接する、ということになります。上司の機嫌を取ったりするわけです。
するとやがて、上司が自分に不機嫌をぶつけるようになって、「怒ると怖い父親」のようになっていくんです。

この上司のように、あるイメージを投影されつづけていると、そのイメージ通りの役を演じてしまうようになること。これを「投影同一化」と言います。
そして、このようなプロセスを経て、心の中の「怒ると怖いお父さん」と「ビビる自分」というひな型が、現実においては、「怒ると怖い上司」と「ビビる自分」という形で再現されるわけです。


<繰り返されるパターン>


Aさんのひな型について、別のシチュエーションでも考えてみましょう。

Aさんをふくめ、5人で会議をすることになりました。

Aさんは、自分以外の4名に対して「怖い父親」のイメージを投影しました。
4名に対してビビっているAさんは、とても低姿勢になって、4名の機嫌を取るような発言をくり返します。

「すいません、僕もちょっとだけ発言していいですか」
「ごめんなさい手みじかに話しますんで、あまりいい意見じゃなかったらすいません」

Aさんが媚を売るような態度を、なんどもくり返していると、だんだんと周りの4人はAさんに対してイライラをぶつけるようになってきました。

「手みじかって言ってましたけど、ずいぶん長くしゃべってません?」
「意見があるなら、それなりに内容のある話をしてもらっていいですか」

なんてキツいことも言われるようになってきてしまいました。

会議に参加していた4人に、投影同一化が起きて、Aさんにイライラやキツい言葉をぶつけがちになってしまったんですね。

こうして、相手や環境が変わっても、「こころの中にある人間関係のひな型」によって、同じパターンがくり返されるわけなんです。


<ポジティブにはたらく投影同一化>


また、投影同一化というのは、ポジティブにはたらくケースもあります。

ある会社の課長は、とても気難しくて部下から怖がられています。
「短気でとっつきにくい人だ」とみんなから思われているのですが、なぜかその課長とうまくやっているBくんという社員がいます。

Bくんは、子どものころ、父親がとても信頼できる人でした。
そんな彼の中には「話せばわかってくれる信頼できる父親」と「信頼する自分」というひな型があるんです。

Bくんは、課長に対してもフランクな接しかたをしました。
「あっ、課長いまイラっとしたでしょ。僕にぶつけないでくださいよ~」
「ちょっと相談があるんですけど、仕事終わったら飲みながら相談に乗ってもらえませんか」

やがて課長は、Bくんに対しては笑顔をよく見せるようになり、仕事でもBくんに意見を聞くことが増えたのです。

Bくんは、「話せばわかる人」というイメージを課長に投影しているわけですよね。そして、それを投影され続けた課長は、Bくんにとっては、「話せばわかる・信頼できる人」になっていったわけです。

まさに、投影同一化が起きたのです。

こうして、投影という視点から、人間関係のパターンが作り出されることがわかりましたよね。


<あなたが持っているひな型を見つける>


では、あなたは周りの人にどんなイメージを投影してるんでしょうか?

その答えを知りたければ、「あなたが今どんな人に囲まれていると感じているか」を見ればいいかもしれません。
そこに、あなたが何を投影しているか、あらわれている可能性があります。

有名な寓話ぐうわの話をしましょう。

ある町の入口にひとりの老人が座っていた。
その目の光は、深い叡智えいちをやどしているようだった。

よその町から若者がやってきてその老人に聞いた。
「この町はどんな町ですか」
老人は聞きかえした。
「キミはどんな町から来たのかね」

若者は言った。
「僕がいた町は腹黒くてタチの悪い人間が多かったです」
老人は言った。
「この町も同じようなものだよ」

若者は疑いの目で老人をみると町に入っていった。
そしてしばらく住んで、老人が言ったとおりの町であることを知った。

ある日、別の若者がやってきて老人に聞いた。
「この町はどんな町ですか」
老人は聞きかえした。
「キミはどんな町から来たのかね」

若者は言った。
「僕がいた街は親切であたたかい人が多かったです」
老人は言った。
「この町も同じようなものだよ」

若者は老人に感謝の言葉を伝えると町に入っていった。
そしてしばらく住んで、老人が言ったとおりの町であることを知った。

この老人は、「この町はどんな町か」と聞かれて、まず「キミはどんな町にいたのか」っていうのを若者に聞きました。
若者が前にいた町で、どんなイメージをまわりの人に投影し、どんな人に囲まれていたかをまず聞いたんですね。
そして、「この町でもおなじことが起きるよ」と言っています。

住む街は変わっても、若者の心の中はまだ変わっていないことに、老人は気づいていました。
なので、おなじイメージをまわりの人に投影して、おなじような関係ができちゃうことを見抜いていたんですね。

あなたはいま、どんな人に囲まれていると感じていますか?


<生きやすいひな型に変えられる>


僕は20代に起業して、事業主としてやってきましたが、起業している人の中には、同業者を「競争相手」とみなす人と「味方」だとみなす人がいます。

これって実は、どっちであれ、みなした通りになっていくんですよね。

同業者は商売敵しょうばいがたきだ、と思っていれば、敵だらけの中で生きることになります。
逆に、周りはみんな仲間だ、と思っていると、コラボする相手に困らなかったりするんですね。

冷静に考えると、同業者って、同じ業界を一緒に盛り上げている仲間のはずなんですね。業界全体が盛りあがれば盛りあがるほど、ビジネスとしてはうまくいくので、同業者って味方なんです。
そう考えると、より幸せに成功できるのは、同業者を仲間とか味方だとみなす人なわけです。

だけど、同業者を敵だとみなしてることが、悪いわけではありません。なぜなら、同業者を敵だとみなさざるを得ない理由が、その人の中にはあるからです。

たとえば、「私から何かを奪っていく人」と「それに対して戦う自分」っていうイメージのセットが、ひな型としてある場合なんかが考えられますよね。

それを持っていることじたいが悪いんじゃなくて、戦いつづける人生だと疲れちゃうから、イメージを変えていけたらいいよね、という話なんです。
そのためには、心の中にあるひな形を変えていけばいいということになりますね。


<理想のひな型の作りかた>


じゃあ、実際どんなひな型に変えていくといいんでしょうか?

たとえば「ありのままの私を受け入れてくれる人」と「自然体で接する自分」の組みあわせなんて、すごくいいですよね。

じゃあ、そんなひな型をつくっていくためには、どうすればいいのか。

そのためにとっても有効なのは、「ありのままの自分を受け入れてもらう」という体験をくり返すことです。

もともとイメージやひな型は、親や身近な人との人間関係の中でできあがったものです。
人との関係でできあがったものは、やっぱり人との関係を通して修正するのがもっとも強力なんです。

「ありのままの自分を受け入れてもらう」体験をくり返す方法は3つあります。

・プロの心理カウンセラーにありのままの自分を受容してもらう

・心理学にもとづいた、良質なこころの情報にふれつづけながら、自己受容の練習を重ねる

・身近な人との間で、お互いをほどほどに受けいれあえる関係を育んでいく

この「身近な人との間で、おたがいをほどほどに受けいれあえる関係を育んでいく」方法の重要なポイントがあります。
それは、一方的に自分が受けいれてもらう関係ではなく、たがいに持ちつ持たれつの、対等な関係を目指すことが大切です。


<投影同一化させられないコツ>


さて、僕たちは、ひな型を周りの人に投影同一化することがあるいっぽうで、逆に「誰かの投影に同一化してしまう」ことだってあります。

誰かの投影に同一化してしまった、ある例をみてみましょう。

<婚活コンサルタントのCさん>と<自信がないクライアント>

婚活コンサルタントをしているCさんは、クライアントから相談を受けました。

クライアントは、自分に自信がない発言をくり返します。
「婚活を始めてみたものの、私ってなんの魅力もない人間だし、私みたいな人と付き合いたい男性っているわけないと思うんです」

それに対して、婚活コンサルタントのCさんは、しっかりアドバイスをします。
「あなたは十分に魅力的ですよ。自己肯定感が高まるオススメの本があるので読んでみてください」と言って、自分のお気に入りの本まで紹介しました。

次のセッションのときにクライアントが言いました。
「あの本は私には難しすぎました。やっぱり私はダメな人間ですね」

Cさんは、クライアントを励まします。
「いえいえ、読書向きじゃない人もいますからね。先日の婚活イベント後のリサーチでは、あなたと付き合いたいという男性が3人もいらっしゃいましたよ、すごいじゃないですか。どなたか斡旋しますよ」

しかしクライアントは、やっぱりネガティブな返答をします。
「そんなのきっと本音じゃないですよ。これといった人が誰もいなかったから、とりあえず私を選んだんだと思います」

こんなことが続いたある日、ついにCさんはキレてしまいました。

「いい加減にしてください!進めた本も読まないし、付き合いたいと言われても信じない。いつもいつも自分を卑下してばかり。そんな女性に寄ってくる男性がいるわけないじゃないですか!」
と、キツめのことを言ってしまいました。

クライアントはそれを聞いて、
「婚活なんて考えた私がバカでした。つくづく自分が嫌になりました」
といって帰っていき、二度と彼女から連絡が来ることはありませんでした。

このクライアントの、こころの中には、「自分を否定する自分」と「自信をなくした自分」という組みあわせがあります。

彼女は、婚活セッション中に「自信をなくした自分」にばかり同一化していました。

すると、もういっぽうの「自分を否定する自分」のイメージが、婚活コンサルタントのCさんのほうに乗りうつったんです。Cさんが、クライアントの投影に同一化してしまったんですね。

ユング派は憑依ひょういという言葉を使ったりします。

対人援助職や人と関わる仕事の人なんかは、心あたりがあるかもしれません。
最初は勇気づけたり励ましたりしていても、ちょっとキツいことを言いたくなったりする瞬間ってありませんか? そういったときっていうのは、相手の中の「自分を否定する自分」のイメージが憑依してきた瞬間なんです。

大切なのは、「相手が、心の中のイメージを投影してくることがある」ということをあらかじめ自覚しておく」ことです。
特に、自己肯定感が低い人と関わるときなど、これを自覚しているだけで影響されにくくなるんです。


<心理的ゲーム>


ここまでたくさんの例をみてきましたが、人間関係においてなんどもくり返してしまう悪循環のパターンを、交流分析という心理学では「心理ゲーム」「心理的ゲーム」、または略して「ゲーム」と呼びます。

上にあげた例のように、職場での関係やクライアントとの関係など、いろいろなところでゲームは出てきます。
そのなかでも、特に多いのが、カップル・夫婦関係です。

ミデルバーグという心理学者は、カップルが2人で作り上げるパターンという意味で、「カップルダンス」という言いかたをしています。

5つ提唱されているカップルダンスの中でも、特によくみられるのが「衝突のダンス」です。
衝突のダンスは、2人の間に食い違いや問題が生じたときに、おたがいが「相手の方が変わるべきだ」と思っているときに起こります。

僕たちは、衝突のダンスをしているときに、相手を変えようとしていろいろやってしまいます。
だけど、やればやるほど逆効果になることが7つあります。
ウィリアム・グラッサー博士は「7つの致命的習慣」と呼んでいます。

具体的なケースで説明しますね。

<家事をしない夫>に対して
<不満を持っている妻>がやってしまっている
【7つの致命的習慣】

1、批判する
「『夫は家事をしなくていい』なんていうあなたの考え方は間違ってるし子どもじみてる」

2、責める
「あなたが家事を分担してくれないせいで、私はストレスが溜まって疲れちゃうわ」

3、文句を言う
「あなたってぜんぜん家事をやろうとしてくれないよね。あなたがそんな人だなんて思わなかった」

4、説教をする
「家庭というのはね、夫と妻が協力しあって初めて成りたつものなのよ。日本の共働き家庭の8割は、夫もなにかしら家事を分担してるんだからね」

5、脅す
「あなたが家事を分担してくれないなら、私、もう別居する」

6、罰する
家事を分担してくれない主とは、口をきいてやらない

7、褒美
「あなたが家事を分担してくれるなら、夏のボーナスは全部あなたの好きなことに使っていいよ」

以上7つの致命的習慣、コレすべて逆効果、なんです。

すべてが逆効果になってしまう理由は、この7つすべてにつうじる共通点が理由です。
7つの致命的習慣の共通点は、「いずれも相手をコントロールしようとしている」ということです。

人間は「自分の行動や選択は自分で自由に決めたい」という欲求をだれもが持っています。
なので、自分の選択の自由が脅かされたり、外圧的に強制されようとすると、無意識に抵抗してしまうんですね。これは「心理的リアクタンス」と呼ばれます。

それではどうすればよいのか、という話は、以前noteで記事にしています。

「ほんとうの意味で双方がハッピーになれる人間関係の築きかた」について説明しています。
ぜひ参考にして下さい ↓


<まとめ>


なぜかいつも同じパターンになってしまう、人間関係の悩みの謎はとけましたか?

今日は、そのパターンに変化を起こす実践的なヒントをたくさんお届けしました。
ぜひ試してみてくださいね!

<まとめ>

・こころの中にある人間関係のひな型がパターンを生みだす
・ひな型は「怒ると怖い人」と「ビビる自分」のように、2つのイメージで1セットである
・片方のイメージに同一化すると、もう一方を周囲に投影してしまう
・理想のひな型の成功体験をくり返すとひな型が変わる
・誰かの投影に自分が同一化してしまうこともある
・7つの致命的習慣に気をつける
・より幸せな人間関係のくわしい築きかたは別note記事参照

僕のnoteでは、読めば読むほど「自己肯定感が高まり」「人間理解が深まり」「人間力が養われる」コンテンツをお届けしています。

これからも確実に自己実現へ向けて進みたい方、ぜひフォローをしてたくさんのヒントを受け取ってくださいね!

ではまた、次回の更新をお楽しみに!


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