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 IBDPの日本語A文学に関する基本情報をまとめていきます。学校によってはHPで生徒用のガイダンスを公開しているところもあるので、そちらを参考にしても良いかもしれません。私も2019年にWSを受講してIBについて学び、その魅力に触れてきました。

 IBのカリキュラムは魅力的かつ複雑です。私がチューターとしてサポートをしている中で、IB生自身であっても時々「あれはどうなっていたっけ?」とカリキュラムについてもう一度情報を確認したいという時も何度かありました。


IBの教育プログラム

 IBの教育プログラムでは、
 ○批判的および創造的に考えるスキルの活用
 ○学習方法を学ぶこと
 ○国際的な視野の養成

を基本的な教育方針としており、大学の学びにつながる「探究」という学習方法の魅力を感じます。そして、母国語で学ぶことが推奨される「言語A」はどのようなカリキュラムなのでしょうか?

「言語(日本語)A」とは?

 「言語(日本語)A」とは、グループ1「言語と社会」という教科で設定されている科目です。そして「日本語A」という科目からさらに3つのコースに分かれます。
 それぞれのコースには、上級レベル(HL)及び標準レベル(SL)が設定され、他の科目とのバランスを考えながらどちらかを選択します(「文学とパフォーマンス」はSLのみ)。
・日本語A:言語と文学
・日本語A:文学
・日本語A:文学とパフォーマンス(演劇)

「言語と文学」(グループ1)で何を学ぶのか?

 この教科では、「学習している言語で書かれた作品」、もしくは「翻訳作品」のテクストを読みます。それを通して、言語と文学が世界をどう表現しているのかを理解し、それがどのように多様なアイデンティティーを構築しているかを学びます。また、文化によって世界の表現の仕方が異なるため、世界を経験し表現する多様な方法について理解を深めていきます。
 地域やアイデンティティー、関係性がテクストにどう表現されているか、自分のとらえる世界観とどう関わっているかを学ぶことで、自己や周りとのつながりに対する意識と理解を深めます。
 では、次に先ほど紹介した3つのコースで学ぶことをまとめておきます。

「言語と文学」

 広い範囲の文学と非文学テクストを学びます。それぞれのテクストがコミュニケーション上でどのような役割を持っているかを研究し、言語の特性とアイデンティティや文化への影響を探ります。

「文学」

文学テクストのみを学びます。文学の中の言語や文学のテクスト性の美的機能を研究し、文学と世界の関連性を探ります。

「文学とパフォーマンス」

 従来の文学分析を、実用的、美的、象徴的要素と融合させます。

この教科で身につける「言語スキル」とは?

 「受容スキル」

 作品を読み、研究をする時に必要なスキルについて述べられています。

・解釈:知識と理解を用いて、与えられた情報から傾向をつかんで結論を導き出す。

・分析:本質的な要素または構造を明らかにするために分解する。

・比較:2つ(またはそれ以上)の事柄または状況の類似点について、常に双方(またはすべて)について言及しながら、説明する。

・評価:長所と短所を比較し、価値を定める。

「産出スキル」

 作品について学習者が導き出した観点や考えをアウトプットする時に必要なスキルについて述べられています。

・まとまりのある口頭発表、執筆:描写、話を述べる、比較、説明、評価するなどの幅広いコミュニケーションニーズに応じて行う。

「やりとりのスキル」

 他の学習者やテクストとのやりとりの中で、思考の幅を広げていきます。

・多様な観点や意見に意識を向ける。
・読者や目的を考え言葉使いや語調や仕草やジェスチャーを使い分ける
・テクストとのふれあいで、多様な言語使用域やさまざまな形式において記述でのやりとりを継続できるようになる

どのような要素に焦点が当てられているのか

・読者と作者とテクストの関係性
・地理的空間と歴史的時間ごとのテクストの範囲と機能
・テクスト間相互関連性の観点

 これらはつまり3つの探究領域(「読者、作者、テクスト」「時間と空間」「テクスト間相互関連性」)とされ、学習の重要な位置づけとなっています。

 今回は、「日本語A」におけるキーワードがいくつか出てきました。次回からは、「3つの探究領域」、「7つの概念」、「4つの文学形式」などについてまとめようと思います。

<参考HP>
・IBO"Resources for schools in Japan"
科目の概要」(2022.9.9閲覧)
指導の方法と学習の方法」(2022.9.9閲覧)
IBプログラムにおける『言語』と『学習』」(2022.9.9閲覧)
・IBO『「言語 A:文学」指導の手引き 2021 年第 1 回試験』

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