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【テンペラ画制作過程1】支持体を作る。

●マニアックな技法が好きというだけでつくってます。

タイトルから「そもそも、テンペラってなに?」と思われるかもですが、それは長い作業工程と技術が必要な(だけど地味すぎる)イタリアの古典絵画技法、作っている人が少ない技法なのでノートにプロセスをまとめることにしました。
美術館の絵画作品のキャプションをみて”テンペラ”って書いてあったら、それはこの技法(笑)
古典ではボッティチェリが有名ですが、近代ではサルバドール・ダリがこの技法を用いてつくっていることがあります。

テンペラについては、もしかしたら学校の美術科目で聞いたことがあるかもですがテンペラ絵の具は「卵」を描画メディウムに使います。主な「顔料(石の粉とか)」「卵黄」「酢」「水」。有機材料とか全く使わないエコロジカルな絵の具でもあります。

想像できないかもしれませんが、絵の具がチューブでつくられるようになったのは「産業革命」からなので、それ以前の人類は絵の具はつくりながら描いていました。

●支持体とは何か

具体的には今回は支持体であるテンペラ下地用の石膏ボードのこと。
絵の具の質など必要な状況や、作家のこだわりによってどのようなものに描かれるかは異なります。
(支持体とは、絵が描かれている画面をつくってる素材のこと。ちなみに支持体は”物体”なのでデジタル表現は支持体なし。)

誰にも伝わらないかもだけど~(≧∇≦)
初めて作ったにしてはすごいきれいにできたので小さくガッツボーズ。

つるつるのピカピカで美しすぎて涙。

●テンペラ画というのはイタリアの古典的な宗教絵画に用いられた絵画技法。

卵の黄身をメディウムとして顔料と合わせて絵の具を作ってそれをテンペラ絵の具と呼び、その絵の具を使って描いた絵ゆえにテンペラ画と呼ばれる技法です。

実は、このテンペラ絵の具は油絵やアクリル絵の具とは異なりまったく”延びない”という特徴があり、ゆえに小さな筆でハッチング(点描線)でちまちまと塗り重ねるしかないという面倒な技法なのです。
しかし、この”卵メディウム”が大変に強固で、長期にわたって劣化っしないため絵画を美しい状態に保てるという長所をもっているため、現在もその技法にこだわって絵画を作り続けている人もいるようです。

テンペラ画は下地に安定的な支持体(今回は石膏ボード)を使うためにその表面に絵の具意外に金箔や銀箔、漆や貝柄などを用いても工芸的な作品を作ることができ、装飾絵画を作るのに適していて古典的ミクストメディアを作ることができる面白い技法でもあり、モノ的な作品制作に利用したいと思いちまちまと学んでいます。

テンペラ技法を用いて描いた画家としてはボッティチェリが有名ですが、
ボッティチェリの作品の実物を見たことがある人にはその作品の瑞々しい美しさそみて、作品が制作されてからの年月の長さを確認されて驚かれたのではないでしょうか?

今回の支持体はシナ合板に布を張り、その上にボローニャ石膏と膠を合わせたものを何度も何度も塗り重ねたものをサンドペーパーなどで磨き、20時間弱(乾燥時間は含まない)かかって白くてつるつるな板面をつくりあげました。


シナ合板に合わせて布を用意。
布を張る下地を作るために膠水を塗る
布を張った板の上にボローニャ石膏を何度も塗る。
乾いたらまた塗る。何度も塗り重ねる。
乾燥させて磨きあ上げる。
できあがり

アプリを立ち上げてツールバーから「新規」をクリックするだけで支持体が示されてサクサクかけるデジタルツールとは対極にある古の作業技法ですが、それはそれで工程を楽しんでいこうと思っています。

どんな絵を描こうかな~、とワクワクします。








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