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【らんまん】一人じゃない【第19週・ヤッコソウ】

「らんまん」第94話・第95話感想です。

今日の放送では、牧野富太郎氏の「最もすぐれた業績」ともいわれる「ヤッコソウ」の発見について描かれていました。

(今日は祝日なので、ゆっくり更新できます♪ まずは昨日の放送の内容から…)

寿恵子は質屋を訪れた際、新聞に、田邊教授をモデルとした連載小説が掲載されていることを知ります。
内容は「東京貴婦人学校」の校長である田口が、女生徒に手を出すというもので、新聞を読んだ人たちが「破廉恥だ!!」と、田邊の自宅に詰めかけ、石を投げるという事態になっていました。
寿恵子は慌てて田邊の家に駆けつけました。妻の聡子は子どもたちを抱きかかえ怯えていました。
「どうして石を投げられるの?」と不安そうな子どもたちに対し、寿恵子は、

「投げてもいいと思っているのよ。自分たちが正しいと思っているから」
「あの人たちね、本当のことなんて、何一つ知らないのよ」
「知らないのに、石を投げつけてるの」

と話しました。
矢田部良吉教授をモデルとした小説が新聞に連載されたことは実際にあったようです。須藤南翠という小説家の『濁世』という小説で、女学校の校長の「裏の顔」を暴くといった内容で、明らかに矢田部氏がモデルとわかるような描かれ方だったようです。
寿恵子の言葉は、まさに今のSNSやヤフコメなどの状況を示していますよね…。リアルな石ではないだけに、自分が石を投げていることや、当たった人の痛みを感じにくくなっているかもしれないと、あらためて考えさせられました。本当に気を付けたいです。

一方万太郎は、土佐で植物採集を続けていました。そして、遍路宿の息子、山元虎鉄(寺田心さん)に出会います。
彼に好きな植物を聞くと、「こんまいお遍路さんがおるがです」と、案内してもらった先には、何とも珍しい植物が。万太郎は大興奮です。

そして今日の放送内容へ。
採取した植物を観察し、植物画を描きながら、長屋を訪れた波多野や藤丸にも手伝ってもらって、外国の文献を紐解いて調べた結果、この植物が新種であるという結論に至ったようです。
しかも、既存の科の特徴にはあてはまらないため、新しい科を創設することになったのです。

寿恵子が口にした「奴さんみたい」という言葉にヒントを得たのか、万太郎は「ヤッコソウ」と名前をつけます。学名は、Mitrastemon yamamotoi Makino 。種小名として、虎鉄くんの苗字である山元をつけたのでした。
そのことを手紙で虎鉄くんに知らせると、返事と共に、いくつかの標本が送られてきました。虎鉄くんが学校の先生に今回の件を話したところ、名前のわからない植物があるので教えてほしいと頼まれたというのです。

万太郎は、東大を追い出されて以来、孤独な研究生活を続けていましたが、この経験で、自分は一人ではない、ひたすら野を行ったら、きっと誰かと歩ける…と実感したのでした。

ヤッコソウの写真は写真ACで探してみました。

写真:さくら&ラリーさん ※トリミングしています

光合成ができない寄生植物で、シイノキなどに寄生しているとのこと。
バンザイしている人のように見えて、可愛いですね。顔を描きたくなります。

田中伸幸氏は著書の中で、このヤッコソウの発見について、牧野氏の「最も優れた業績」と書いています。

牧野富太郎の日本産植物のインベントリーで、最も優れた業績は、新科、新属の提唱である。…(中略)…『植物学雑誌』第二五巻で、英語の論文にして詳細な形態の記載を与え、ヤッコソウ科という独立した新科を創設した。科の創設を行い、かつ現在でもそれが認められていることから、このヤッコソウ科の記載は、牧野のフロラ研究の中の最も輝かしい業績であろう。

田中伸幸『牧野富太郎の植物学』(NHK出版)

発見の経緯はドラマとは少し違ったようです。
土佐の学校の先生だった山本一が、生徒と一緒に珍しい寄生植物を発見したものの、名前がわからず、東京大学の草野俊助が土佐に植物を見にいった際にその植物を託されて持ち帰り、牧野富太郎が検定し、新種であることがわかった…ということだったようです。
学名のyamamotoiは、山本一さんにちなんだものだったのですね。

ヤッコソウは見たことがありませんが、寄生植物は面白いですね。ほかの植物と違う生存戦略によって、競争を避けて独自の生き方をしている…、ちょっと万太郎の生き方にもつながる気がします(だいぶこじつけかも…)。
食虫植物のムジナモや、昨日の放送に出てきた地衣類のサルオガセなど、興味深い植物や生物がたくさん登場し、万太郎と一緒にワクワクしてしまいます。

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