【移住】心機一転という人たちもいるだろう。コロナ禍での社会変容も要因の一つだが、価値観の相対化も大きいかもしれない。日本の場合、転勤などを除く自発的移住でさえ「都落ち」（都市から地方へ）がイメージされることが多い（たぶん）。
　幸福度なるものがあるとすれば、それは各々異なる。例えば、アウトドア派もいればインドア派、海外旅行やキャンプを楽しみたい人もいるし映画鑑賞や読書に没入したい人もいる。それと同じで、都市生活と地方生活の間にはギャップがあるものの、言ってみれば嗜好の違いみたいなもの。居住地や職業、年収でマウントをとる人たちもいるが、そこにこだわりがなければ地方暮らしを満喫する人たちがいても肯ける。
　そもそも（大）都市化は明治時代から続く国策の帰結でもあった（要するに中央集権化、工業化と労働力の効率的配分）。東京一極集中はもとより三大都市圏の膨張は少々緩和されてもよいのでは？　働く場や賃金格差を考えれば簡単なことではないが、価値観の相対化は地方の魅力に目を向けるチャンスかもしれない。
◆注：メディアで喧伝される「田舎のすばらしさ」「移住の成功体験」については間引いて考える必要もある。とくにテレビで「失敗」「挫折」が放映されることはほとんどないので。