コピーライター・木村吉貴

鎌倉のコピーライター事務所「木村文章店」の店主であり、コピーライター・クリエイティブデ…

コピーライター・木村吉貴

鎌倉のコピーライター事務所「木村文章店」の店主であり、コピーライター・クリエイティブディレクター・脚本家です。 コピー受賞作多数。脚本を手掛けた映画「BAKEMONO(2015年)」「ヒノイリの風(2016年)」では、海外映画祭で多数受賞。鎌倉ペンクラブ所属。

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鎌倉のコピーライター事務所「木村文章店」店主で、コピーライターの木村吉貴が運営する「広告コピーのコミュニティ」です。 世の中に出回っている広告コピーの木村吉貴による解説や、コピー作品の発表・講評、コピーライターの実態などをお伝えしていきます。

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最近の記事

息子へ(2)〜受験本番前日に〜

父は、君を誇りに思う。 大好きな野球に、中学生から思いきり打ち込むためにと、中学受験の道を選んだのは、君が小学校5年生の夏休みのことだったね。 父も、母も、きっと君も、そこまで深く考えての選択ではなかったと思う。 でも、小学校5年生の冬休みには、塾の冬季講習が始まり。 そのあとは、土曜日にも塾に行くことになって。 土日に活動する少年野球チームには、物理的に参加ができなくなったね。 大好きな野球ができないことは、君にとって大きなストレスになったと思う。 野球で上を目指す

    • 物書きの年末

      僕は自分のことを、つい最近まで47歳だと思っていました。 思い込んでいました。 ところが、先日、同い年の妻が誕生日を迎え、それに伴い自分が46歳であることが発覚しました。 歳を重ねると自分の年齢などどうでも良くなるとは聞きますが、ここまではっきりと間違えていた自分が怖いです。 これからさらに歳をとると、さらに自分の年齢がわからなくなっていき、仕舞いには年齢不詳の妖怪みたくなるのでしょうか。 まあ、それはそれでおもしろいかもしれません。 自分が妖怪になる…。悪く無い…(かも

      • 映画「首」※レビューではありません

        僕は、映画が大好きです。 大学時代までの夢は、いや、大人になってからの夢も、「いつか映画を撮ること」でした。 「念ずれば花開く」という言葉の通り、映画を撮る夢を忘れず、忙しいコピーライタ業の傍らで、コツコツと映画の勉強を重ねてきたのを神様が見ていてくれたのでしょうか、年齢が35を超えてから、映画製作に携わることができました(脚本を担当しました)。 その、携わった映画作品は、海外でたくさん賞をいただきました。 そこから話がつながって、今度は、僕が監督をする映画作品もつくる

        • 第1回 鎌倉文章コンクール

          僕は、「イル合同会社」という企業を母体として、コピーライター事務所「木村文章店」と、文章の総合学校「木村文章学校」を運営しています。 このうち、「木村文章学校」の方による主催で、この度、「第1回 鎌倉文章コンクール」を実施させていただくこととなりました。 今回の募集形式は「五行歌」です。 五行歌というのは、短歌と古代歌謡に基づいてつくられた文章のジャンルで、宮沢賢治といった文豪も作品を残しています。 このコンクールを企画するにあたり、現代の五行歌の大家である草壁焔太先

        息子へ(2)〜受験本番前日に〜

          文章コンクール企画中です

          僕はコピーライターではありますが、いや、コピーライターだからでしょうか、いろいろなイベント等の企画にお誘いをいただきます。 イベント等の「企画実行委員」みたいなのに入れていただき、会議でアイデアを出させてもらったり、実際に動いたりします。 ボランティアも多いですが、イベント等を「動かす」良い勉強になりますし、何より楽しいです。 長年、そういう経験を積んできましたが、そのノウハウを生かして、いよいよ僕も、自分でコンクールを企画してみることにしました。 僕が運営している「木

          文章コンクール企画中です

          漫画の効能

          「漫画ばっかり読んでいるんじゃない!」 子どもの頃、親によくそう叱られたものです。 僕は、気づいたら漫画に興味を持つようになっていました。 幼稚園の頃に、四コマ漫画を描いていた記憶があります。 テレビ番組「笑っていいとも!」をパクった、もとい、モチーフにした作品だったような。 当時、漫画本なり漫画雑誌なりを読んでいた記憶はありませんが、漫画の技法を用いた作品を描いていたということは、何らかの形で漫画に触れ、漫画というものを認識していたのでしょう。 漫画の神様といえば、

          文脳関係

          「漢字の日めくりカレンダーKoyomi」という製品のプロジェクトに関わっています。 このKoyomiは、カレンダーの毎日のページに、書家の方が書いた漢字がひと文字添えられており、これを眺めるだけでもアートとして楽しめるのですが、その漢字を書写するスペースも設けられています。 筆ペンなり、ボールペンなりを持って実際に書写をしてみると、漢字を書くことに集中することができ、雑念が心から消えます。 書き終えると、ほんの一瞬ですが、リフレッシュできたことを実感します。 これは、いわ

          「文才」とは何か

          僕は学生の頃からずっと、映画監督に憧れていました。 自分の映画をつくりたい! と思っていました。 とはいえ、経済学部の学生でしたので、本格的に映画づくりの勉強をするなら、そっち系の専門学校などに入らなくてはなりません。 当時、僕がもっともっと本気なら、学業そっちのけでアルバイトをしまくってお金を貯め、大学をやめてでも専門学校に入り直すこともできたのだろうと、いまでは思いますが、あの頃の僕にはそこまでの行動力はありませんでした。 そこで、映画を目指す「はじめの一歩」として、

          君たちはどう生きるか(レビューではありません)

          noteを書くのは久しぶりになりました。 というか、文章を書くこと自体、約一ヶ月ぶりです。 この一ヶ月は、ある映像作品のディレクションにかかりきりでした。 僕はコピーライターなので本来的には文章を書くのが仕事ですが、クリエイティブディレクターという肩書きもあるので、文章以外(映像や写真、デザインなどのディレクション)の仕事もします。 この一ヶ月の間に、話題の映画「君たちはどう生きるか」を観させていただきました。 宮崎駿監督の映画は大好きです。 初めて宮崎作品に触れたの

          君たちはどう生きるか(レビューではありません)

          息子へ

          三年前のことだったね。 なんとなく、お試しで受けた入塾テストに落ちて。 なんとなくだけど、親子で悔しい思いをして。 なんとなくだけど、お正月を潰して勉強して、再度挑戦して。 そうして入った、進学塾。 とはいえ、当初は深く考えてなかったよね。 お父さんはそうだったよ。 君もそうだったんじゃないかな。 小学一年生から始めた野球。 最初はイヤイヤだったけど、野球好きのお父さんに無理やり連れられてチームに入って。 でも、だんだんおもしろくなってきて。 次第に、思いがけずの才能

          コピーライター先生の大いなる喜び

          僕は、コピーライターです。 そして、講師でもあります。 以前に公開した「コピーライター先生」の巻でも書かせていただきましたが、僕は鎌倉で、「木村文章店」というコピーライター事務所を運営する傍ら、「木村文章学校」という”文章の総合学校”も運営しています。 木村文章学校では、僕は講師です。 受講者さんからは「先生」と呼んでいただいています。 金八先生が大好きで、それを見ていた高校生の時分には一瞬、教師も目指した僕ですので、先生と呼んでいただくのはとても嬉しいものです。 木村

          コピーライター先生の大いなる喜び

          コピーライター、ChatGPTを語る

          ChatGPTが話題になって、もう1〜2ヶ月が経ちますね。 コピーライターたるもの、常に時代の流れにアンテナを張っていなければならないのですが、恥ずかしながら僕は、運営している文章学校の受講者さんに教えてもらうまで、知りませんでした。 「AIが小説を書いた」というニュースはずいぶん前に聞いた覚えがありますが、コピーライターをやっていて、AIを脅威に感じたことはありません。 やはり文章というものは、人間の感性が重要で、そこに書く人それぞれの個性や知性、技術が加わってこそ書け

          コピーライター、ChatGPTを語る

          「紙」という「物」の存在価値

          先日、僕が経営する木村文章店主催で、「プリンティングディレクター・崎山篤史(さきやまあつし)の世界」というイベントを鎌倉で開催しました。 崎山さんは、弊社が懇意にさせてもらっている藤沢の印刷会社「東湘印版株式会社」の社員さんです。 東湘印版さんは、紙の可能性を追求している印刷会社さんで、僕はそれにとても共感しています。 デジタル全盛の現代。 文章も、パソコンやスマホなどで書くことが大半になりました。 現に、僕もこのnoteをパソコンでいま書いています。 普段の仕事もそう

          「紙」という「物」の存在価値

          執筆(をしようと思うため)の条件

          子どもの頃、夏休みや冬休みの宿題は、序盤に終わらせるタイプでした。 優等生だったと言いたいわけではありません。 めんどくさいことはとっとと終わらせて、残りの日々を楽しく遊んで過ごしたい、その一心でした。 大学時代もそうだったなあ。 月曜〜木曜まで、授業をたっぷりと詰め込んで。 金曜〜日曜までお休み。毎週、三連休。 大学一年からそのスタイルを続け、大学三年までには卒業のための単位をすべて取得しました。 優等生ではありませんでしたが、ある程度の計画性を持って物事を進められる

          執筆(をしようと思うため)の条件

          思考を文章化する

          作家の村上春樹さんの6年ぶりとなる新刊長編「街とその不確かな壁」が、今日発売されました。 僕もさっそく購入しまして、読ませていただくのが楽しみでワクワクしています。 この「街とその不確かな壁」に関する、村上春樹さんのインタビュー記事も読ませてもらいました。 「街とその不確かな壁」は、1980年に村上春樹さんが発表した「街と、その不確かな壁」を書き直したものだそうです。 これまで、自作の書き直しに否定的だった村上春樹さんですが、「70歳を超して、そろそろ書き直してもいいかな

          デビュー作を超えろ!

          コピーライターになって、20年以上になります。 僕とコピーとの出会いは、大学生の時です。 当時は「コピー」という言葉も、「コピーライター」という職業も知らなかったのですが、駅のポスターで見かけた文章に衝撃を受けたんですね。 「愛に雪、恋を白。」 JR SKI SKIのキャンペーンポスターに載っている文章でしたが、これを見かけてからずっと、この文章が頭を離れませんでした。 それから調べて、この文章が「コピー」というもので、書いたのが「コピーライター」という職業だと知り(

          デビュー作を超えろ!