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「科学する心」 池澤夏樹 著 角川文庫」

科学に関するエッセイ集です。

「日時計と冪とプランク時代」
ラプラスの魔物(僕は「ラプラスの悪魔」として知ってましたが・・)、大学生の頃だったかな?この概念を知った時は感動でした。宇宙は、決定論的ではなく、明日はわからないと言うことを知りました。


「無限と永遠」
「2014年、世界各国の国内総生産の合計は約77兆ドル。これに対して外国為替取引高は700兆ドルを超えた(p.52)」・・・大丈夫なんですかねぇ。


「原子力、あるいは事象の一回性」
世界初の原爆実験。原子爆弾の威力について、マンハッタン計画に参加した科学者の予測は、TNT火薬に換算して、45,000トン〜ゼロだった。実際の威力は20,000トンだった。オッペンハイマーの予測は300トンだったとのことです(p.90)。随分不確実なものだったんですね。

しかし、原子力爆弾の仕組みって簡単なんですよね。ウラン235は、臨界点の分量を半分にして、ピコ太郎みたいにパッとくっつけちゃえば、爆発します(砲弾型)。プルトニウムの場合は、ちょっと複雑で爆縮型になります。いずれにしろ、仕組みは単純です。ウランとかプルトニウムが手に入れば、作れてしまいそうです。

そして、やはり、福島の原発事故は恐ろしい。

もし、ほぼ同じ状態だった福島第二がメルトダウンしてしまっていたら・・(福島第二は中央制御室の電気はついていたこともあり、なんとかメルトダウンを起こさず原子炉を停止することができた)

もし、使用済み核燃料に冷却水が入らなかったら・・(一時期冷却水が入っていない状態だったけれど、確か三号炉の水素爆発のショックで水が入ってきたと記憶しています)

もし、ベントができなかった二号炉のどこか(おそらくサプレッション・チャンバー)に穴があいて、圧が抜けなかったら・・(炉本体が破壊され桁違いの放射性物質が放出されたでしょう)

もしこれらの「たまたま(!)幸運にも(!)(p.103)」の幸運のうち一つでも起きていなければ、「横浜から盛岡まで数千万人が難民と化す(p.102)」ということになっていたでしょう。


「光の世界の動物たち」
AIが人間を征服するのは間違い。理由は、「AIには意思がない」「生存欲がない」なのだそうです。少し安心。




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