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精肉店のコロッケは裏切らない

僕はコロッケが好きだ。
特に精肉店のコロッケが好きだ。

僕はパートナーと二人でGWの旅行に出かけている。
昨日、乗換えの駅で、ご当地の和牛を使ったコロッケが売られているのを見つけた。

この後、1時間ほど列車に揺られることになる。
小腹も空くだろう。
いや、小腹が空くとか空かないとか、そういうことではなく、ご当地の和牛を使ったコロッケというものは大抵美味いものなのだから、買わないわけにはいかないだろう。

そう考えた僕は、プラスチックのパックに1つずつうやうやしく詰められ並べられた列のなかから、一番前に並んでいるパックを2つ手に取って店員に渡す。
箸を2膳もらって、電車に乗り込んだ。

目的地に向かう特急列車の中で、早速パックに入ったソレを箸でつまんで口に運ぶ。

ぐしゃっとした歯ごたえ。冷たい触感。冷えた油の舌触りがした。
確かに普通のコロッケに比べれば肉の甘味を感じるような気もするが、
作ってから時間が経った弁当に入っているコロッケのような残念さがあった。

「うん。。美味しい、けど。」と言葉に詰まる。
作り置いて駅で売っているものなのだから、期待しすぎだったのだろう。と自分に言い聞かせて、窓の景色に視線を移した。
長閑な田園風景を見る僕の目には涙が溜まっていた。

***

今日、観光地の街中を歩き回り見物した後、レンタカーを停めている駐車場まで街中を歩いていると、
とても良い匂いに包まれた。
そちらに目を向けると、観光客向けではなく、地元に密着したタイプの精肉店であった。
そこから、揚げ物の良い匂いが漂ってくるのである。

「美味しそうな匂いがする!」と言いながら、示し合わせたように二人とも店の中に吸い込まれた。

店内にはたくさんのお肉が入ったケースと、その隣にはコロッケをはじめ、唐揚げやメンチカツなど様々な揚げ物が並べられたケースがある。

『肉コロッケ 80円』
この何でも物価上昇中の折に、なんて良心的な価格設定なのだろう。
昨日買ったコロッケの3分の1に満たない値段である。

カウンター越しにお店のお姉さんに注文して、
肉コロッケを1つずつ買って、駐車場まで歩きながら食べる。
サクサクの衣、ホクホクのジャガイモ、肉と油の甘み。
これこそがコロッケの醍醐味ではないだろうか。

精肉店で買うコロッケは大抵美味い。
精肉店特有な甘みを感じる。
東京の我が家の近くにある精肉店のコロッケも同じような美味しさがある。

***

精肉店の多くがコロッケを販売している。
精肉店は、肉をカットする際にでる肉の切れ端などをミンチ肉として販売するらしいのだが、ミンチ肉として販売しきれない分をコロッケに入れて調理することで、肉のロスを減らしているのだそうだ。
さらに、揚げ物に余ったラードや牛脂を使うことで、カラッと揚がる上に、甘みのある味になるようだ。

余った肉の切れ端を使って、安くて美味しいコロッケを作り出し、人々を幸せな気持ちにする。
お店も嬉しい、お客も嬉しい、食品ロスが減って地球も嬉しいという、正に三方よしの仕組みだ。
昔から回り続けているアップサイクルの仕組みに脱帽である。

精肉店のコロッケは裏切ることが無い。
精肉店のコロッケは僕の心の癒しである。今後も精肉店のコロッケを応援していこう(購入して食べよう)と改めて心に誓ったのであった。


もちろん、観光客向けのご当地コロッケも美味しい場合が多い。
ただ、昨日の僕のような失敗を避けたい方は、揚げたてで売っているお店で買うことをお勧めする。
作り置きの状態で売っているものは、お土産として購入して、
自宅に帰ってから温め直して食べると良いだろう。
ノンフライ調理器で温め直すと、表面のカリっとした触感が蘇り、揚げたてのようになるのでおススメである。

久しぶりに記事を投稿したのに、ひたすらにコロッケの話になってしまった。
そのくらい、美味しいコロッケには人を動かす力があるということだろう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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