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知らない間に空き家の所有者になっていた件

僕の父親には兄と姉、つまり僕にとって叔父と叔母がいました。
どちらも仕事もしないで父の実家に引きこもって暮らしていました。
今でいうニート的な存在だったのか、もしくは何か病気や障害があったのか、僕には説明されることもなかったので分かりませんでした。
何度か会ってはいるのですが、ほとんど会話した記憶がありません。

父方の叔父さんと叔母さん

叔父さんは、2,3回しか顔を合わせたことが無いのではないかと思います。かなりの変わり者の空気を醸し出していて、僕は会話らしい会話をした記憶がありません。
叔父が自分の家の中で大量に蚊取り線香を焚いていて、それを見た父親が「なんでこんなに蚊取り線香を焚いているんだ!」と言って怒った時に、何か叔父が言い返して喧嘩していたと思いますが、僕が叔父が話しているのを見たのはその時くらいかもしれません。
醸し出される奇人オーラに圧倒されて僕も自ら話かけたりすることはありませんでした。

叔母との記憶もあまりないのですが、数少ない記憶の中で特に印象に残っているのは、僕が小学生のころに母親と叔母さんと役所か何かに行った帰り道に、レストレランに入ったときのことです。
僕がお子様ランチを頼んだら、叔母さんが「私もそれで。。」と言いました。それに対して母親が「義姉さんはお子様ランチは頼めないよ!笑」と言いつつ、店員さんに「頼めます?」と聞いたら、「いいですよ。」と店員さんが笑顔で答えてくれて、一緒にお子様ランチを食べました。
子供の僕は「なんで叔母さんはお子様ランチ頼めないんだ?」という疑問をもったのと、「叔母さんが喋ったの久しぶりに見たな」という驚きと、叔母さんの恥ずかしそうな笑顔がやけに記憶に残っています。

父親の実家

叔父と叔母は、祖父母の家、つまり父親の実家で暮らしていました。
祖父母が亡くなってからは2人で暮らしていました。

田舎の集落の奥にある竹藪のような山に、かろうじて階段だと分かるような石の段が繋がっており、そこを登っていくと山の斜面に年季を感じる家が木々に覆われるような形で建っていました。
うっそうとした緑に囲まれて、今にも緑に取り込まれてしまいそうな見た目の家でした。

まだ祖母が生きていたころ、その家に泊まったこともありましたが、
お風呂がドラム缶みたいな、いわゆる五右衛門風呂というやつでした。
祖母が裏の山で取れた筍で料理を作ってくれたりしました。
子供心には緑に囲まれた隠れ基地のような感じで楽しく感じていましたが、今思えば、祖父が早くに亡くなって、祖母一人で引きこもりの叔父と叔母を養う大変な暮らしだったのではないかと思います。

役所からの手紙

そんな記憶も忘却の彼方で、仕事のことなど、日々の煩わしいことを考えて過ごしていたところに、
父の地元の役所から、僕宛に手紙が届きました。
「あれ、ふるさと納税でもしたんだっけ?」などとのんきに考えながら封を開けると、
「あなたが〇分の1の所有権を持っている空き家が崩れそうで危ないからなんとかしてくれ」という内容の手紙でした。

突然のことに理解が追い付かずにいたのですが、
手紙に添えられた写真には、記憶の遠く彼方にあった、父親の実家が廃墟となった姿が写っていました。
「あぁ、そうそう、こんなんだったな」と懐かしく思うとともに、
「いつの間に所有者になったんだ?」という驚き。

とりあえず父親に連絡してみると、父方の子孫はもはや我が家のみとなっているので、うちの家族が分割して相続していることになっているとのこと。
固定資産税などはずっと父親が全てまとめて納めていたのだそうだ。

いや、言ってよ!それ大事なことでしょ!
知らないうちに土地相続してたとか、めっちゃ怖いじゃん!

という衝撃はありながら、ここであんまり言うと父親がブチ切れそうだし、
手紙の件は父親が何とかすると言っているので任せることにしました。

しかし、あの土地だと、家を建て直すのも難しそうだし、ほとんど値段もつかなそうです。いわゆる”負動産”というやつですね。

ほとんど無料で譲渡受けれるなら、自分がソロキャンプ用に使おうかな、などとも思いましたが、管理責任とか考えると、やっぱりタダ同然でもいいから売ってしまうほうがいいのかもしれません。

あと、家族一人一人に何分の一ずつ別れているのも面倒ですよね。
将来、兄弟で揉めそうで嫌だなぁ。と少し憂鬱な気持ちになりました。

空き家問題

僕の兄弟も全員結婚していなくて、我が家には跡継ぎとなる人がいません。
母方に結婚している叔父はいますが、子供はいないので、やはり跡継ぎがいません。
「もしかして、我が家系の中で誰か”末代までの祟り”みたいなものを受けた人いる?」と、不思議になるくらい。

そんな状況もあり、僕の実家については将来自分が何割かを相続することになると思うので、相続の問題とか、空き家の問題とか出てくるんだろうな、とボンヤリとした心配の種を認識していたのですが、
まさか、既に空き家問題の当事者になっていたとは思っていませんでした。

ネットで見ると同じように「知らない間に相続していた」という事例はあるみたいなので、皆様もお気を付けください。

今回の件は、ちょっと面倒くさそうだけど、
あのザ・裏山みたいな土地持っていると思うと色々面白い気もするので、
将来、万が一、自分が引き継ぐことになったら、あそこでなんか面白いことできないかなーと考えられるくらいにはポジティブに捉えております。

しかし、僕の次の代というものが無いので、あまりモノを所有しない方がいいとも思います。あと、自分が死んだあとに、色々と周囲に後片付けしてもらうための金くらいは貯めておいた方がいいなと思いました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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