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僕の就職活動(ゲイとしての条件)

最近SNSで就活中のゲイが呟いているのを見て思いだしたので、僕の就活について書いてみようと思います。
就活をしていた学生の頃はゲイの色々な遊びを知ったころで、就活にもその頃の価値観が凄く反映されていました。
今となっては「なんでやねんっ!」とツッコミをいれたくなるような部分もあったな、と思います。ただ、その頃は真面目に考えてそのような価値観にたどり着いたのです。

就職先の条件

大学4年生の頃に、ゲイとして生きていくという覚悟(?)をした僕でしたが、就職活動は大学院1年生の頃にしました。
丁度その頃、色々なゲイの人に活発に出会うようになっていて、ゲイとしての生きやすさや、ゲイにモテるにはどうすればよいか、というようなことを凄く意識するようになりました。モテるためにせっせとジムに通って鍛え始めたのもこの頃でした。
就職先の条件も、自分が勉強している分野を活かせる職場という大前提がありながらも、ゲイとして外せない2つの条件がありました。

①勤務地(東京)
学生時代を関西で過ごして大阪によく遊びに出ていたのですが、キタ(梅田周辺)かミナミ(難波周辺)で遊んでいると、
学校の友達とか知り合いに出くわすことがたまにありました。
「この前、ケンゾーのこと東通商店街で見たで!」とか言われて、ギョッとすることがありました。いつの間にか誰かに目撃されていていることがちょくちょくあったのです。

なので、大阪だとゲイの友達とか彼氏とかと歩いてる姿をストレートの友人に目撃される可能性が結構高いな、と思っていました。
同年代の友達といる場面だったら、「友達だよ」で済むのですが、僕は結構幅広い年代の人と友達だったり良い感じになっていたりもしたので、
10歳とか20歳も違いそうな男性と二人で歩いてるところを見られたら、なかなか説明が難しいなと。というわけで、もっと人が多くて、偶然にストレートの知り合いと出会う可能性が低そうな場所ということで絶対東京に行きたい!と思っていました。
今思えば、大阪でも学生が集まりがちな場所で遊んでいたから、同じ学生同士偶然に出会うことが多かっただけで、別にもっと遊べる場所はあったのかなとも思います。大阪以外でも地方の大きい都市だったら、充分楽しめただろうなと思いますが、当時はもう「東京しかない!」って思っていました。

学校の同期は研究職を目指す人も多かったのですが、僕が志望していたような業界の研究所はだいたい郊外にあることが多いので、研究職ではなくて、東京で働けそうな職種を選択する必要があり、選択肢が狭まりました。もともと、研究職には適性がないとは思っていましたが、振り返れば、せっかく大学院まで行ったんだから、選択肢としてはもっておいて、色々な企業の話を聞いてみたりすれば良かったと思います。
「不動産を選ぶような感覚で就職先を選ぶんじゃない!」と諭してくれる研究室の先輩たちもいましたが、その頃は「うるせぇ!俺は東京でハッピーゲイライフを満喫するんだ!」と思っていました。

ただ、この東京へのこだわりは、僕の場合は結果良かったのかなと思います。というのも、やはり東京は隠れゲイである僕にとっては非常に住みやすい場所だからです。
休日に街に出かけても職場の人と遭遇することなど、ほぼありませんし、
アプリを開けば自分の周囲1km圏内にたくさんのゲイがいます。クラブや飲み屋など出会いの場には事欠きません。
マンションの住民もお互い殆ど干渉しませんし、僕がどこで何やっているかなんて、周囲の人は興味がありません。
パートナーで二人で散歩していても周囲の目を気にすることもありません。
なんというか、東京では日常生活の匿名性が保たれていて、隠れゲイとして暮らしていくには非常に居心地がいいのです。

②内勤希望(髭)

ゲイのなかでは髭が生えている人が好きな人も多く、髭にこだわりがある人が結構いる気がします。僕も髭を生やしていた方がモテると思っていたので、学生の頃は髭を生やしていました。
就職してからもモテるために髭を生やし続けたい!と思っていた僕は、髭を生やしても怒られなさそうな職種を考えました。
今思えば「なんでやねん!」とツッコミをいれたくなりますが、当時は切実に髭を守りたいと考えていたのです。

社会経験無しの学生の想像力を働かせて、営業とかの外勤職になると色々な社外の人やお客様と会話する機会が多いので髭NGな場合が多そうだと思いました。そこで、内勤の技術職でかつ東京勤務が出来そうな仕事に狙いを定めて就職活動をしたのでした。

内勤の技術職、東京勤務、そして自分のバックグラウンドを活かせる仕事となるとかなり絞られてしまい、就職活動は苦戦しました。
僕の志望していた業界では「まずは外勤をして適性を見たうえで、内勤にする」という会社が多くて、始めから内勤職を募集している会社がそもそも少ないというのもありました。
僕が就活していたころはリーマンショックの直前の時期で、まだそれほど就活が厳しい状況ではなかったのですが、お祈りメールをたくさんもらったのを記憶しています。理系の就活では、人によっては1,2社受けて決まったり、研究室のつながりで決まったりする人もいて、本格的に就職活動を長くしている人は少なかったりしますが、僕は結構長いことを就活していたので、研究室の教授にも「いつまで就活してるんだ!ちゃんと研究終らせないと卒業させないからな!」と叱られていました。

それでも何とか内定をもらって、無事社会人になることが出来たのですが、
いざ働き始めると、職場には髭を生やしている人など全くいませんでした。
内勤でも身だしなみは大事だし、髭はちゃんと剃りましょう、という会社だったのです。
これは業界によってかなり事情が異なると思いますが、今まで僕が働いてきた職場はあまり髭を生やすことは良しとされない雰囲気でした。
禁止というわけではなくても、たまに髭を生やす男性社員がいると、年配の女性社員に「髭似合わないわよー」「清潔感が無いから剃っちゃいなさい」とかチクチク言われたり、偉い人から「身だしなみも大事だぞ」と言われたりしているの目撃してきたので、僕は生やさないようにしていました。

そして別に髭を生やさずとも、モテる人はモテるし、モテない人はモテないということに社会人になって気づきました。
長期休暇には髭を伸ばしてみたりしていたのですが、別に髭を生やしたからといってモテはしないし、「はぁ~、明日から仕事だから髭そらないと…」などと憂鬱な感じでゲイの友人に話すと「え?あぁ、髭生やしてたんだね、気づかなかったw」と言われたり。あんまり周囲の人は僕の髭の有無などには興味がないということがわかってきました。

髭にこだわって自分の可能性を狭くしてしまったかなー、と思うところはあります。しかも、結局髭生やせてないし。
今の職場とか自分のキャリアにも満足しているので、必ずしも「失敗だった…」とは思いませんが、あんなにこだわんなくて良かったのにな、とは思います。

就活はゴールじゃない

始めの就職先は、正直自分の第一志望の業界ではなかったし、仕事の内容も思い描いていたものと違い、髭も生やせないし、1~2年は凄い悩んでいました。このままではいけないという漠然とした不安があり、同僚とのコミュニケーションもうまく取れなかったり、日々打ちのめされていました。ストレス発散のために二丁目のクラブ的なところに行ってめちゃくちゃ飲んで記憶無くすようなこともちょくちょくありました。

ただ今となっては、仕事の仕方や考えかた、活動の仕方によってキャリアは全然変えられるし、あまり大げさに考えなくても良かったなと思います。
僕はこれまで2回転職してますが、とりあえず目の前の仕事を頑張って小さいながらも実績を積んだり、資格をとったりして、転職活動で自分を売り込んで、2回とも良い転職をさせてもらったし、職種や業種を微妙に変えながら色々な経験をさせてもらっています。
社会人になってから学生の頃には見えていなかったことが、たくさん見えるようになって、そもそも価値観も年々変わっていくので、新卒時の就活が多少思い通りにいかなくてもあまり悩み過ぎたり、心配しすぎたりする必要はないよ、と当時の自分に教えてあげたいです。

PRIDE指標

ネットで色々と調べていると、LGBTQの働きやすさという観点で、会社のLGBTQに向けた取組みなどを指標化したPRIDE指標というものがあることを知りました。
レポートを見るとLGBTQにとって働きやすい会社が評価されています。

まだまだ認定されているのは一部の大企業ばかりのようですが、
今後は中小企業も対象にしていくようです。
就職や転職をするときは、こういった指標を参考にしてみると良いかもしれません。LGBTQの人が無用なストレスにさらされない会社を選択したほうが、本来の力も発揮できるのではないかと思います。



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