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抗HIV薬の投薬開始

抗HIV薬の飲み始める時期について

僕はHIVであることが発覚してから、服薬開始するまでにしばらく期間が空いていて、その間はCD4という免疫状態を表す指標や、ウイルスの量を血液検査で定期的にモニタリングしていました。

最新の2022年版の抗HIV治療ガイドラインという厚生労働省の出しているガイドラインを読むと、"CD4数に関わらず、すべてのHIV感染者に治療開始を推奨する"とあります。CD4がある程度高い値の頃から服薬を開始すると、その後のCD4の回復が良いという研究結果もあるようです。

抗HIV治療ガイドライン2022年版より引用
抗HIV治療ガイドライン2022年版より引用

しかし、僕は一定の値までCD4が下がるまでは服薬を開始しませんでした。これは、身体障害者手帳などの取得の目安としてCD4の値が定められていたため、その基準以下になるまでは様子見をする、ということだったと思います。

CD4と体調

CD4がだんだんと下がっていくと、比例して体調が悪くなっていって、僕の場合は投薬開始前の半年くらいはずっと酷い下痢をしていました。当時は「あぁ~、下痢しんどい~」と思いながらも、果たしてこれがHIVのせいなのかよくわからずにいました。

その頃にパートナーと旅行に行ったときの写真を見返すと、顔色が青白いし、痩せているし、明らかに体調悪そうな見た目をしています。突然腹痛に襲われてトイレに行きたくなるので、常にトイレの位置を気にしていたし、トイレが無い乗り物などに長期間乗るのが怖かった覚えがあります。

10年以上前は抗HIV薬を長期間飲み続けることの毒性や患者のQOLなどを考慮して、CD4の数値が下がるまでは投薬しないというのが国際的な治療のガイドラインだったようですが、今は早めの投薬開始の方が良いという考え方になっているようです。
今も助成制度や障害者手帳の取得にCD4による基準があるのか分からないのですが、その後のCD4の回復に影響があるのであれば、早めに投薬開始してもらえたら良かったなと思ったりもします。財政的なこととから色々な事情があるのかもしれません。

投薬開始

晴れて(?)CD4の値が基準を下回ったころ、医師が「では、投薬を開始しますか」と言って薬のパンフレットを見せながら説明してくれたとき、少しホッとしたのを覚えています。

僕の場合、薬を服薬し始めると、みるみる体調が良くなりました。
悩まされていた下痢も1か月もしないうちに良くなって「やっぱりHIVのせいだったんだ」と思いました。下痢が治まったので体重ももとに戻っていきました。
血液検査の結果も良好でCD4も回復して、ウイルスの量も減っていきました。ただ、その後一定まで下がってウイルスの量が下げ止まってしまって、目標となる検出限界以下になるまでは数年かかりました。

その原因は、おそらく薬の飲み忘れだったのではないかと思うのですが、それについては、また次の記事で書こうと思います。

読んでいただきありがとうございました。

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