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僕のカミングアウト

10月11日は国際カミングアウトデーだったようです。
僕はカミングアウトデーなるものを知らなかったのですが、
某企業の炎上に関するニュースで知りました。

色々な意見があると思いますが、僕は、ゲイである自分ですらよく知らなかった日のことなので、大企業がそれを有名にしてくれたのは形はどうあれ良かったんじゃないかと思ったります。
企業にとってはイメージダウンになってしまったかもしれないので、そこは残念ですが。

僕はゲイであることを家族にはカミングアウトしていません。友人にも一人だけ話したことがあった以外はありません。
更にいうと自分がHIV感染者であることはゲイの友人にも殆ど話していないです。

僕の場合は、カミングアウトをして自分をさらけ出すよりも、自分を隠していた方が楽だという価値観が染みついてしまっているのかもしれません。

両親にはカミングアウトできない

僕に兄と姉がいるのですが、兄弟には別にいつかバレてもいいかなと思っています。わざわざ改まって話す気にもならないのでカミングアウトしていないですが、兄弟はたぶんそれほどショックを受けずに受け入れられそうな気がします。
そもそも滅多に連絡も取り合わないので、兄も姉もあんまり興味がなさそうな気がします。

一方で両親にはカミングアウトしたくないと思っています。
というのも、父も母も昔ながらの価値観というか、ゲイというものへの理解が無いタイプだと思うので、僕がカミングアウトしたらショックで寝込んだりしてしまいそうだからです。

いつかの年末に、両親と居間で紅白歌合戦を見ていた時に氷川きよしさんが出演していました。その頃はまだ、氷川さんが今のように突き抜けたビジュアルをしていなかったころですが、週刊誌で男性との恋愛?か何かの報道があったころでした。
父と母はテレビを見ながら「男同士でそんなの変よね~」とか「病気みたいなものなんじゃないか」とか僕の後ろで話しているのを背中で聞きながら、
「あぁ、やっぱりこの人達には言えないな」と思ったのを覚えています。

時代や環境が違えば、身に着く価値観も違うと思うので、そんな両親の価値観を責め立てるような気持ちにもならないし、怒りを感じるというようなことも無いです。
「理解してほしい!価値観をアップデートしてほしい!」などという気持ちも起こらないです。それを成し遂げようと思えば、恐らく相当骨の折れる戦いになるだろうし、お互いボロボロになってしまいそうで。

両親は子供たちに良い学校に行って良い会社で働いてほしい、という価値観を持って子育てをしていたと思います。そして自分で言うのもなんですが、兄弟の中では勉強が出来るほうでしたので、両親にとっては希望の星というか自慢の息子と思ってくれているのではないかと思います。
母は「あとは結婚してくれれば」とよく言いますが、仕事の話とかをしているときは嬉しそうに聞いてくれますし、多少は両親の自己肯定感を高める存在になれているのではないかと思います。

そんな自慢の息子が実はゲイで、HIV感染者だなんて知ったら、あまりにもショック過ぎて、両親が今生でそれを消化しきることが出来ないままになってしまいそうで、申し訳ないと思うのです。
今までも隠し通せたんだし、これからも隠し通せばいい、というのが今のところの僕の結論です。

友人へのカミングアウト

唯一、ストレートの友人にカミングアウトしたのは大学生時代の友人でした。
社会人になってお互い東京で就職したので、久しぶりに会おうと言って会った居酒屋で「実はゲイなんだよね」と話した気がします。
大学時代はそこそこ仲良い友人でしたが、「親友」というほどでもなく、ただ、なんとなく彼なら否定をしたり、変な噂を流すことが無いと思ったというのと、『カミングアウト』とやらをしてみたかったというのがありました。

友人は一瞬固まって困ったような顔をして「お、、おぉ、そうなんや~!びっくりしたわ。」と明るく振る舞ってくれましたが、明らかに困惑しているのを感じました。その後、別の話題に移っていきました。
当時の僕は「言ってくれてありがとう!」とか「えー、ゲイってどうやってセックスすんの?」とか色々なタイプのリアクションが来るのを期待していたのですが、すごい肩透かしというか、なんか気まずい空気になってしまって申し訳ないことをしたと思いました。

僕の話の持って行き方が上手くなかったというのもあるし、二人きりの場で言って変な感じにしてしまったのも良くなかったとか、色々反省しました。
その後に彼ともなんとなく連絡が取りづらくなって疎遠になってしまいました。その経験からカミングアウトって別にドラマティックなものではなくって、下手すると関係性をギクシャクさせてしまうだけだな、という思うようになりました。

同僚のゲイとの思い出

以前勤めた会社で、同僚にゲイがいたことがあって、ゲイならではのセンサーでお互いカミングアウトなどしないでもゲイだと分かりあったことはありました。
会社の飲み会の後に、同僚が「二次会は二人で行きましょう~。ケンゾーさんと話してみたかったんだよねー」と言って誘ってきて、
二人で居酒屋に行って、お互いに「僕はゲイです」などとカミングアウトすることもなく、当然のように同僚は「最近デートした男がさ~」と話し出し、僕も「同棲している彼氏が~」と話すという。

彼は僕とは違うタイプで、どちらかというとジャニーズとかにいそうな綺麗な顔立ちなんだけど、おしゃべりが上手で立ち振る舞いや話し方からゲイっぽさが溢れ出しているタイプで、
僕は男っぽさみたいなのを一生懸命求めてジムとかにせっせと通っていて、人と話すのが苦手なタイプで、
色々と正反対なタイプなのですが、お互い「間違いなくゲイだな」と確信を持っていたのでした。

性格的にも色々と違って、彼は同年代の同僚にも結構カミングアウトしているらしく、「ケンゾーさんも話しちゃえばいいじゃん。みんな受け入れてくれるよ~」というのですが、
僕は上述の友人のこともあったし、他の同僚との関係がギクシャクしそうで嫌なのでカミングアウトはしませんでした。

たぶん、彼みたいに話が上手でテレビに出てくる「オネエタレント」的な要素があるタイプの人は受け入れられやすいと思うのですが、
僕みたいに口下手なタイプの男性が「ゲイです」とか言い出すと、周囲も扱いに困りそうだし、不気味に思われそうな気がするのです。

ということで、僕は積極的にカミングアウトするタイプではないのですが、
もう少し世の中が所謂「オネエ」ではないタイプのゲイにも免疫がついてきて、
違和感なく受け入れられるようになったら、カミングアウトしてみても良いかなーと思とも思います。
そもそも、改まってカミングアウトなどしないでも自然と「彼氏がさ~」とかストレート同僚とも話せるようになったらいいな、などと思っています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。





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