ある汚職政治家の誕生「オール・ザ・キングスメン」(1949)
1940年代の映画を見るシリーズ2周目の締め括りとして、1949年のオスカー作品賞「オール・ザ・キングスメン」を観ました。
これ、何年か前にすでに観たと思ってたら、「All the President's Men」(1976,大統領の陰謀 )と混同したようで、危うく見逃すところでした。
結論から言うと、オスカー作品賞に相応しい重みと社会的なテーマを投げかける必見作になっていると感じました。
ボーッと見てると何を言いたい映画か分からず、よくある政治ドラマだよね、で終わってしまうのですが、後からよく考えると、「人はいかにして世の中にインパクトを与えようとして志を持ち、どのように人生を終えていくか」という、現代にも共通する社会的なテーマを扱っているのですよね。
この映画は、政治に不信を持つ、ある男が政治家を目指すところから始まるのですが、この男のカリスマ性に魅力を感じ側近となる新聞記者やら、対立候補のスパイとして送り込まれた女やら、色々な魅力的な周辺人物が登場する、ある種の群像劇にもなっています。
純粋な動機から政治家を目指した主人公もどんどん変容していくのですが、周辺人物も、主人公の変容に従って人生の選択を迫られます。
自分が同じ立場だったらどんな選択をするだろう、と考えさせる作りが上手いです。
また、主人公を演じ、主演男優賞を獲ったブロデリック・クロフォードの熱演は、「市民ケーン」(1941)でのオーソン・ウェルズを彷彿とさせます。
助演女優賞を獲った対立候補の女スパイ役の女優も上手いです。
ボーッと見てしまいよく分からない部分もあったので、何年か後にまた見直してみようと思うくらいの重みがある映画です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?