見出し画像

富士吉田発クリエーションの循環を提案するアパレル「ROUND HAPPY」

与え合う関係がいいなと思う。

産地で関わっている染工場の丸幸産業より、この秋からアパレルラインROUND HAPPYがデビューします。ただいまクラウドファンディングで注文を受付中。この取組は丸幸産業とアートディレクターの田中優大くんが出会うところからそばで見ていて、経過を伺っていました。

丸幸産業を知っている人からしたら、「一体なぜ!?」と驚くことです。逆に、優大くんを知っている人からも「!?」と驚くことのように思います。2つの要素は本来交わることのなかった世界。そのつながりがお互いへの感謝や尊敬の気持ちの上に成り立っていて、とても良いのでご紹介します。

丸幸産業は富士吉田の染色工場。2019年から毎年ハタフェスで黒染めの加工展を開催してくれています。それを始めたあたりから、息子の堀内洋平くんが実家に戻ってきて、広報・プレスを担当。ちょうど後継者育成事業の「いとへんの会」を始めた時で、当時からよく参加してもらっています。

優大くんはcoconogaccoの受講生でした。出会いはハタフェスで行った、いとへんの会とcoconogaccoの交流トークイベントでのことです。その後、2022年4月の展示で作品の染色を丸幸産業に依頼。その作品はイタリアで行われる世界的なファッションコンテスト・ITSで評価され、見事にプライズを受賞し、今回のブランドの開発に至りました。

彼はcoconogaccoの受講生の中でも抜きん出ていた生徒でした。一度プレゼンを見せてもらったことがあります。企業でアートディレクターとして現役で働きながら受講しているにも関わらず、完成度の高い作品を作って周囲を唸らせている姿が印象的でした。感情を爆発させたような作品が多いcoconogaccoの中で、整理されたデザインがひと際目を引きます。今ではコンテストを総なめにしているそう。

そんな二組が立ち上げたROUND HAPPYはコンセプトに<CREATIVE CIRCLE FROM FUJIYOSHIDA>を掲げ、ファッションを通し、関わる人たちのクリエーションの循環を作ることを目指しています。その姿勢は、仕組みやデザインのラインナップ、ブランディングの端々から感じ取ることができ、関わるすべての人が幸せになって欲しいという想いの強さが伝わってきます。

例えば、色彩。染色工場発のブランドということで、色彩に力が入っています。地域の自然からインスピレーションを得た、どの色でも組み合わせられる6色の色展開や美しいグラデーションは、染色工場の持つ技術をいかんなく引き出しています。後染めの特徴を活かして、着古した後には黒く染められるリウェアの仕組みも循環が意識されています。

写真は地域の機屋でありフォトグラファーの渡邊竜康さんが担当し、富士五湖で撮影しています。その人選にも<CREATIVE CIRCLE FROM FUJIYOSHIDA>の意思を感じます。余談ですが、今回の写真は本当に素晴らしい仕事だと思っています。デザインだけでみるとポップになりそうなところを、自然との調和や切り取り方で上手に深みを出して、特別なものに仕上がっています。地域の人材でこういうクリエイティブを生み出せる、それを示すための人選とその期待に応えるやり取りが感じられて、ワクワクしました。

関わる人たちのやさしさがつながって、幸せが円になっているROUND HAPPYなプロジェクト。クリエイターと工場の理想的な在り方を示してくれている気がします。