見出し画像

Forssa Textile Week出店者紹介 / BasketMoon & tapiiri

ラトビアの職人に学んだかご編み作家

Basket Moonの有泉真治さんがかご編みと最初に出会ったのは、初めてラトビアのマーケットを訪れたときのことでした。手仕事が根付く国で手に取ったかごは、壊れても何度も修理を繰り返すことができ、その人の暮らしに寄り添い長い年月をともに過ごせます。その考え方に感動した奥様の有泉紗矢佳さんはラトビアの工房で編まれた柳のかごをご自身のお店・tapiiriで取り扱い始めます。取り扱う中で現地の職人がするようにかごの修理ができないか、真治さんに相談をした紗矢佳さん。そうして真治さんは少しずつ独学でかごの編み方を学んでいきました。

転機は勤めていた会社を辞めるときでした。せっかくここまでやってきたのだから、柳のかご編みを仕事にできるようにしようと一念発起。以前から交流のあったラトビアのかご編み職人のもとへ1ヶ月住み込みでかご編みを学びに行きました。

柳を使ってかごを編む

ひとくちにかごといっても素材はさまざまです。Basket Moonの編むかごは柳を使います。

ーーーどうして柳なのですか?

一度、尋ねたことがあります。そのときには、3つの理由を教えてくれました。

ひとつは、日本でも育ち、材料の調達ができること。
ひとつは、他の素材よりも丈夫で軽いこと。
ひとつは、数あるかごの中でも一際美しく感じられたこと。

かご編み職人の元で過ごした中で、有泉さんは暮らしの近くで手に入る材料でつくれることに魅力を感じました。彼にとってその材料は、籐やアケビではなく、畑で栽培のできる柳でした。そこから自分たちで柳の畑を始め、育てた枝も使っています。

また、柳の枝はかご編みの素材の中では短く、ひとつのかごを編むのに何本もの枝を使います。その分だけ丈夫で、且つ折れた部分の差し替えができるため、もとの状態への復元がしやすいかごです。

そして、まっすぐに伸びた枝でつくられた柳のかごは、ゆっくりと深みの出る経年変化を楽しめ、数あるかごの中でも一際美しく感じられたそうです。

繊細さと力強さと

一本一本太さも表情も違う柳の枝を使って、しっかりと編み込まれた丈夫なかごをつくるためには、繊細さと同時に想像以上の力を使います。一見、穏やかで優しい印象の有泉さんですが、かごを編み始めてから筋肉がつき上半身が立派な体つきになったとか。彼の繊細さと力強さはそのままBasket Moonのかごの美しさと丈夫さに表れているようです。

日本で唯一の柳のかご編み職人

現在、日本でこのような枝を使ったかごを、柳を育てるところから編むところまで行っている作り手は有泉さんだけのようです。編んだかごを売るだけではなく、作る人を増やすためにワークショップも定期的に開催しています。「もっと多くの人にかご編みの文化を知ってほしい」と語る彼は、柳の経年変化を楽しみ愛おしむように、文化を大切にしながら、これからの時代の職人の生き方も見せてくれるかご編み職人です。

BasketMoon & tapiiri商品はこちらからご覧ください。

HP: http://basketmoontapiiri.com/
Instagram:
 basketmoon_kagoami , tapiiri