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彼女に振られたので山暮らししようかと思う。#6

山と海を求めて

特に疑っていたというわけではないのだが、寸分のくるいもなく年が明けた。
いつもながら見事な腕前である。
一年の計は元旦にありという言葉通り、私は元日から山の物件を探しにでかけることにした。
せっかくの連休なのだから、普段はなかなか行けないところがいい。そういうわけで、伊豆に行くことにした。
南伊豆でゲストハウスをやっている知人から、「伊豆はいいぞ~」と勧められていたからだ。
山暮らしをもくろむ私には、山だけではなく海の恩恵にもあずかれるという伊豆はパラダイスみたいに思えた。
箱根駅伝のルートを大きく迂回しなくてはならなかったので、結局七時間半もかかってしまったが、なんとかたどり着けた。
まるで楽園の番人みたいに道をふさぐシカがいたのだけれど、わけを話すと通してくれた。

良い感じの海岸沿いの駐車場があったので、車中泊を決め込む。深夜1時。
カップラーメンでも食べるかと、車のシガーライターソケットから電源をとってケトルでお湯を沸かそうとしたら、一発で壊れた。クリスタルキングなみに指先ひとつでダウンさ~だった。
仕方ないので、カップラーメンに水を入れ、30分かけてふやかした。
食べられないことはない。
それよりも問題なのは、今にも息絶えそうなスマホである。シガーソケットが死んだ今、充電をすることもできない。
人がどれだけ電気に依存して生きているのかを思い知るのだった。

翌日は朝から伊豆をぐるりと観て回った。
がっつり観光地から未開の地まで、バリエーションが広い。

たっぷりと伊豆を堪能。
雨が降ってきたりしたけれど、せっかくの海なので天狗と骸骨の決闘写真を撮った。

悲しい合成写真。
私は1人で何をやっているのだろう……。

そんなこんなで伊豆の物件探しは終了。
すごく良いところだった。暖かいし。
しかし……

海が怖い。

いや、単に慣れていないだけなのだろうとは思うのだけど、何しろ私ときたら足の小指の先までどっぷりと埼玉に漬かってきた男。翔んで(いない)埼玉人。
なんか海が怖いのだ。
遊びに来るのはいいけど、海の近くで住むのはちょっと……というのが今回の率直な感想であった。

加えて言うならば、やはり遠い!
娘に「山で暮らすのはいいけど、あんまり遠くにいかないでよ」と釘を刺されている身としては、大人しく近場の山林を引き続き探そうかと思う。
分相応に。
では、また。

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