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行政書士試験の振り返り:今後の法律学習に活かしたいこと

昨日、行政書士試験を受けて来ました。試験会場が京都市内の某大学であり、紅葉シーズンで観光客が多いためか、バスが全く時間通りに来ず、集合時間に10分遅れて到着しましたが、他にも遅れている方が5, 6人いて、難なく教室に入れました。本当にほっとしました。

試験の方は、勉強期間1ヶ月の割には大健闘できた気がします。受かりはしないと思いますが。

先月1週間の準備で受けた宅建試験は、あまりの分からなさに2時間試験会場に座っているだけでも死ぬほど苦痛でしたが、今回は前の記事にも書いた肢別過去問アプリを用いて、8年分の過去問の選択肢ほぼ全てに目を通した上で試験に臨めたため、3時間の試験時間も長く感じなかったです。

あれから2週間で行政法科目の肢別699問、やり切りました。終わったのは試験前日でした。しんどかった。

僕の本命は、プロフィールにも書いているように司法試験ですが、先月の宅建試験、そして今回の行政書士と受けてみて、本当に良かったと思います。それぞれ同じ法律試験とはいえ、目的が違い、各法律科目の配点も、問われる知識の深さもかなり違いますが、

「判例や条文の知識を問う」

という点では共通している上に、国家試験として考え尽くされて問題が作られており、過去問演習をするだけでも、それぞれの法律科目の理解が格段に進んだ気がします。

◯試験の内容について

今後の法律学習に向けて、気付いたことがたくさんあったので、以下、思いつくままに列挙してみたいと思います。

  • 肢別過去問で得た判例や条文知識が形を変えて問われている箇所が多くあり、行政書士試験の場合、単純に知識を付けるためだけに過去問の選択肢が問う内容を理解する学習法が、かなり有効に思えました。

  • ただ、これが、司法試験の短答試験にも当てはまるかは不明です。昨年末、司法試験の勉強を始める前に、令和4年の短答過去問だけは検討したことがありますが、当時は法律の知識がほとんどない状態だったので、同じ多岐選択式でも科目ごとにかなり色合いが異なることと、とにかくめちゃくちゃ難しいということしか分かりませんでした。

  • その一方で、宅建、行政書士、司法試験短答で共通する民法などの科目では、1問1問については、どれも、細かい上に正確な知識を問われているという点では、難しさは変わらないように思えました。

  • ですが、同じ民法と言っても、出題される範囲の広さは全く異なるので、「民法科目」の難しさという点では、宅建の民法よりも行政書士の民法、行政書士の民法よりは司法試験の民法の方が、圧倒的に難しいということになると思います。(本当に圧倒的に違います。)

  • 行政書士の記述式問題について。行政書士試験には、40字の記述式問題が、行政法科目で2問、民法科目で1問行政法科目で1問、民法科目で2問出題されます。40字というと、俳句一首で5・7・5の17字なので、「ふるいけや かわずとびこむ みずのおと」を2回言って「ということ。」を最後に付けたくらいの短い文章で、大した内容は書けませんが、行政法、民法それぞれの全範囲に渡る知識から必要なキーワードを想起して、適切に配置するという、選択式問題とは全く違った難しさがあります。こういった問題形式は、学習にものすごく役立つと思います。司法試験の論文試験を解く前段階の演習として、どこかの予備校の講座で取り上げられたりしていたら良いのにと思ったくらいです。今年の行政書士試験は終わりましたが、行政書士試験の記述式過去問の検討も、今後の勉強に取り入れてみたいと思いました。

  • 行政書士試験の3時間の試験時間は、かなり余裕がありました。これは問題を解くのが遅い僕にはかなり助かります。この時間的制約が、僕がだいぶ前(10年以上前)に受けた資格試験のTOEICでは全く違っていて、こちらは、幅広いレベルの受験者の英語力を測るという目的があるため、文章の内容や単語の難易度が低い代わりに、たぶんほとんどの受験生が全部解けない分量の長文読解問題が出ます。自慢ですが、リーディング科目で上位2%以上(460点)取ったことのある僕でも、調子の悪いときは全部解けないくらいの分量です。僕には、後者の方が精神的な負担はきついです。それが、司法試験についてはどうなっているのかが、ふと気になりました。

  • 行政法の過去問を検討するに先立って、全部ではないですが7割ほど、基本書の中原茂樹著『基本行政法』(日本評論社)も精読しましたが、行政書士試験に関しては、これがものすごく、とてつもなく、役に立ちました。過去問の解説に書かれた判例の年月日で検索してテキストの該当箇所を当たると、問題で取り上げられた判例知識のどの面が、どういった点で重要とされているかがはっきり見えてきます。これまでずっと、行政法は何が知識なのかわからない難しい科目というイメージがずっとあったのですが、今回の行政書士の行政法の過去問演習を通じて、こういった苦手意識がかなり克服できたような気がします。

  • 一方で、上記書籍の内容は「基本」という名に反して、かなり難しいと思います。以前挫折した試験対策講座の行政法後半と同様、判例の長い引用のオンパレードですし、加えて、個別法の条文も数ページに渡って引用されている箇所が多く、集中力を要する読書でした。同じくらい腰を据えて、ノートを取りながら学習を進めていれば、試験対策講座の行政法は挫折せずに済んだかもしれません。

  • 宅建、行政書士、司法試験短答、すべてに共通することですが、各選択肢の正誤を判定するために必要な知識の細かさが半端ではありません。なので、依って立つ教科書および条文の精読は、本当に、妥協なくやるべきだと思いました。

◯まとめ

宅建、行政書士と、今年になって初体験の法律関係の資格試験ですが、こんな試験もあるのだな・・と感慨深いです。

こういった国家資格に比べればはるかに狭い範囲から問題が出される大学入学試験のような、実質地頭の良さしか問わない試験って、多くの学生の学習意欲を削ぐ(どれだけ勉強しても、大して順位は変わらない)という点で、本当に良くないな、日本のためにならないな、と僕は個人的に思います。

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