見出し画像

毛筆川柳 漢字にまつわるエトセトラ その⑧

🎶川柳
『走馬灯 ゆれてかすんで 腑に沈む』(そうまとう ゆれてかすんで ふにしずむ)


あちこちの家から煙が立ち昇る。それらは全て窯元だ。壮観だった。活気のある町、福島県相馬市。訪れたのは3.11の数年前。この酒盃はその時に買い求めたもの。がしかし、全ては海の底に沈んでしまった。私の手元にはこれともう一つ湯飲みが残された。相馬焼ならぬ走馬灯が私の中を駆け巡る。今宵もまた一献の酒があのときのように大きく揺らぎ涙でかすみ重く私の腑に沈んでいく……。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?