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2022読んだ本たち

はじめに

自分は読書をインプットだけでなく、思考を整理する場と捉えている。モヤモヤした疑問をそれに関連した本を読むことで、その現象に名前が与えられたり、その周りの構図を説明してくれたりするからだ。そして、そこで生じた新たな気づきや疑問から次読む本を選ぶ。だから本は考えるための燃料でありその軌跡でもある。
このnoteは、本を振り返ることでこの年に自分の興味関心がどう移ろいだのかを残せるのではないかという実験的な試みだ。
(特によかった本を挙げているので、ブックリストとして読んで貰えば幸いだ)

1. 四方対象:オブジェクト指向存在論入門

『Decomposition⇄Reconstruction』(添付画像)を製作する中で、私たちが見ている景色と実際に存在している物質がどのように関係しているのか?ということに興味を持った。

そこで、出会ったのが、この本。ハイデガーの「存在と時間」を起点に、人やモノの存在について議論している。モノと人間の相互作用から存在について語っているのが、興味深かった。

2. 史上最強の哲学入門

一つ哲学の本を読んだのだが、知らない単語もたくさん出てきたので、もう少し分かりやすい本が読みたいと思い購入。存在論の哲学上の位置付けを知りたく読み始めたが、哲学者たちがプロセスのように自論を通すことに賭けて戦うという設定が面白かった。

3. 予想どおりに不合理:行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」

哲学を読んだら、もう少し直接的に社会を動かしている原理が知りたくなり、行動経済学を学ぶために読み始めた。英書特有の例え話が多く、少し読み終えるのに時間がかかってしまったが、日々の生活の中で自然に取っている行動が実は自分だけのものではないということが知った。事例が多く、一度では頭に入らなかったが、後で一通り復習したい。


4. テクニウムーーテクノロジーはどこげ向かうのか?

父に薦められて読んだケヴィン・ケリーさんのインタビューによる新書を読んだのがきっかけ。

書籍の中で繰り返し出てきた「テクノロジーの声に耳を傾ける」という言葉が気になり読んだ。先のテクノロジーを擬人化する発言と同様に、この本の中でもテクノロジーがそれ自身が意志を持つかのように進化していることが主張されていた。しかし、共通点もあれば違いもあることは同じで、テクノロジーにしかない特徴も説明されていた。特に、滅びたテクノロジーなど存在せず、どこかで新しい技術と融合し復活するということが印象的だった。

5. Essentialism: The Disciplined Pursuit of Less(エッセンシャル思考)

初めての英語版。全部は読んでないけど、実は最も影響を受けた本かもしれない。これを読んで、研究、生活など物事の取り組み方が全て変わった。あれもこれもやらなきゃという優等生的な思考(笑)から、そもそもやる必要あるか?という俯瞰した見方が身についた気がする。高校生の時の自分に読ませてあげたら、も少し勉強の質も上がっていたかもしれない。

6. 20代で得た知見

難しい本を読んで疲れたので読みやすい本を探してたところ、エッセイのベストセラーになっていたので購入。何が書かれていたのか、もう覚えていないないが、20代悩めたくさん経験しよってことなのだろう。平凡な日常に飽きた孤独な夜におすすめ。


7. 未来をつくる言葉

よく聞いているTakram Radioで繰り返し薦められていたのでついに購入。表紙がおしゃれだった(読み始めは、宮城県荒井のカフェ、読み終わりは岩手のカフェだったので、おしゃれな空間を無意識に選んだのかもしれない…)

フランスと台湾の国籍を持つ著者のドミニク・チェンさんが自身の過去や家族に照らし合わせながら、人々が交わす言葉と言葉の間の隙間をテーマに書いている。異なる価値観や生い立ちを持つ人々と生きる世界で、分かり合えることと分かり合えないことが必ず存在する。筆者は、その溝に落ち込むのではなく、それも共に抱えながら生きていこうよという温かいメッセージを与えている。なんか生きづらいと感じている人におすすめ。


8. ユーモアは最強の武器である:スタンフォード大学ビジネススクール人気講義

7.を読んでから、次第に自分の中で人とのコミュニケーションの取り方がテーマとなった。特にこのユーモアという言葉には自分と距離感が近いように感じた。ユーモアが日々の仕事や生活においてどんな効果があるのかを語っている。大学や塾でのバイト、TAで日々誰かに教えたり諭したりする時に、自分はよく譬え話や冗談(つまらなくても冗談は冗談のはず…?)をするのだが、それもそうした意図があったのではないか?と回顧的な気づきがあった。


9. デザイン思考が世界を変える。

大学でデザイン思考の授業でTAをやることになり、自分も少し勉強したいと思い購入。デザイン思考がなぜ?どう?大事なのかは知っていたつもりだが、この本を読んで少し理解が深まったと思う。そして大事なのは、本を読むよりも実際にやってみることが大事だと、机に帰される感覚がした。


10. 目の見えない白鳥さんとアートをみにいく

視覚障害を持つ白鳥さんと筆者とその友人が一緒にアートを鑑賞するという話。ノンフィクションでありながら、まるで小説を読んでいるように話が進んでいく。冒頭の筆者のように視覚障害がある人にアートを見せる話なのかと思っていたが、違かった。白鳥さんがどんな作品なのかを聞くだけでなく、彼が投げかける質問が目が見える筆者たちが異なる視点を提供するきっかけになるという相互作用を生み出す。この協働的な鑑賞がいつしか筆者と白鳥さん、それ以外の人を巻き込んでいく。
 筆者が最後に述べている「ただ同じ時間を共有していることを感じる」から、未来をつくる言葉を思い出した。分かり合えることからこぼれ落ちるものの存在をお互いに受け止める広い心を持つ。それがagreeでもdisagreeだったとしても。

最後に

こうして振り返ってみると、自分の関心が物質的なものからコミュニケーションなどの人に近いものに移ってきたと感じる。
来年はこの本の数をもっと増やすのと、一つの記事として書きたいと考えている。

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