マガジンのカバー画像

歌詞

16
運営しているクリエイター

記事一覧

カリグラの弔鐘

カリグラの弔鐘

幕が下りた舞台で
やっと見えた光

la, la, Arlecchina
靴を鳴らし
la, la, Arlecchina
影を踏んで

今夜見上げるほうき星は
黒玻璃にひとつ増えましょう
さあ 席について

幕は彼が月に愛された場面で

夜に空いた銃痕のような 鐘のひとつに足る虚を
いつかきみが星と呼べるように
浮かぶ月がひとりにならないように

もしこの世が一夜きりの悲劇というなら
溢れたきり

もっとみる
未確認ひみつ通信 Unidentified Secret Occultism

未確認ひみつ通信 Unidentified Secret Occultism

ひみつだよ ひみつだよ
ひみつのサイエンス・フィクション
五時すぎキテレツ終わったら 教えてあげる

ひみつだよ ひみつだよ
月刊ムーにも載ってない
遊星Yより憧れのひみつ通信

嘘つきな季節 終わって
二人 丸く プール色切り取った
手を引く道路標識みたいに

バミューダ・トライ・アンド・エラー!

飛来 飛来 飛来 飛来
きらきら光って
あの子のついた U.S.O.

飛来 飛来 いつかの
8

もっとみる
だって我愛你

だって我愛你

倒福に群れる胡蝶くづれと
電気提灯の檻を抜けて
来来の声に拳拳破で
四つ足の窟、屋号は不夜城

器に双眼 蜜に浸せば
甘露に次ぐような双子の月
おでこのお札を汚さぬように
手だけ汚すは クーロン・タウン・ショウ

いつか喰らわれ合う運命の
あの人にイーシャンテン
入り組む路地の果てに いざ歌わん
アンチ・英雄故事

きみが悪霊になっても
喰らってあげる だって我愛你
奈落の天辺で待ってて

もっとみる
Pirka (kidnap a donor Owl)

Pirka (kidnap a donor Owl)

声のない少女に歌うマザーグース
足りない指で髪に花を飾った

欠けていくきみは羽根を纏って
啄ばむように玻璃の星を落とした

誰も変わらないで
咲いた芥子の花 ぼくらは

気がふれていたよ 罰を待とう
知らないままだよ 車輪の味
接いで、ピリカ

誰もが忘れていく夜明けの夢で
きみは絹のように羽根を纏った
海まで逃げ出そう
きみの片手がまだ ひとであるうちに

誰も変わ

もっとみる
箱には

箱には

一つ目 森の奥から星を辿って
かたちの悪い箱をひとつ持ってきました
一滴のこさず かき集め 蓋をして

一人目 かなしいほど白い首に棲みついた
ビニル製のロザリオが揺れたから
箱には、

二つ目 天幕から月を歌って
かたちの悪い箱をふたつ持ってきました
降るような星の下 左手で蓋をして

二人目 さみしいほど黒い夜が融け落ちた
片っぽの目の奥が見たかったから
箱には、

三つ目 霧

もっとみる
ウユ ・ウフ・クユ

ウユ ・ウフ・クユ

まだ神さまはきっとここに気づいてないから
汚れきった爪先で
見せないように そっと殻を破らないように
なでるように踊りましょう
アン・ドゥ・トロワ

裁縫用の糸で繋いだ
損傷済みの球体が
見えてるかい 聞こえるかい 味がするかい

かんたんな夕食を待ってるんだろうか
原型をとどめるんだろうか

円環状の祈りが皿に落ちる 喝采の中で
きみと笑って世界を歌った

「はれるや、はれる

もっとみる
標本室

標本室

季節が変わる前に 誰もが泡になろうとして
蛹の月の中で 慰みものになってるらしい

葬列は皿の上を行く
骨も遺ってない ぼくら誰かのうつせみ

季節が腐る前にあなたを連れていこう
傷痕はそのままで
欠けていく海の目が見えたら歌を書こう
たまゆらの永遠を
神さまのように閉じこめよう

めくらの獣

めくらの獣

爪の先がそれを二つにして
いくつの秘密を見つけたの

赤い夢を見るほど 糸の巣を編めるなら
わるい糖蜜のような月でさえ飼い慣らそう

りんりんと鐘の鳴るほうへ
見慣れた檻の奥で
命の音がきこえた

爪の先がそれを二つにして
おとした鍵は青金石
夜の底で誰がわたしを呼ぶ
「気の毒に。きみも同じでしょう」

刺せども青
まるで 獣ではありませんか

きみの末路に 刺繍を穿つの
九想

もっとみる
くづれる、

くづれる、

ぼくらは方舟には乗れなかった
ここから見える火の海 さよならを言った

けもの道であなたに会った

メーデー 聞かせて 命のとりこ
メーデー 教えて ひとでなしの味

廃水の中で
くづれる月が泣いてる
髪をほどいて
寝静まるのを待つから

メーデー 聞かせて 命のとりこ
メーデー 教えて ひとでなしつき

羊水の中で
くづれる骨が歌ってる
ハッピーエンドは
ここにはもう、

もっとみる
羽葬

羽葬

航行するゆりかご
スコアから音符は消えて
落ちた造花に群れをなす

航行するゆりかご
音符の巣 鉄の墓標へ
朽ちた金網 群れをなす

空に這う五線譜
君の肌に巣食う
あの鉄塔の下で
何を言いかけたんだろう

空に這う五線譜
君の中をすくう
あの鉄塔の上で
誰を思い出したんだろう

君は落ち
億の羽根がつづく
ニュースを伝える人はもういない

散りぬるを

散りぬるを

喝采に咲いている 感傷を歌うのは
光になるかな いつか
簡単に散っていく 海岸線 なぞるのは
藍色の薬が増えたから

被害者のようにくりかえす息は
咬み合ったままの蛇のよう
傷口のようにくりかえす
忘れてもいいよ って

灰になるまで捧げ合う痛みには
愛されてもいない白が濁ってたんだ

体温が笑っている 生活が待っている
救いはいらない
捨てよう

被害者のようにくりかえす息は

もっとみる
少女外道

少女外道

誰も彼も これから生まれるよ
繭の中でのこぎりを引いてるよ

ふたりは見つかる
ひとりは にせもの
おはよう

誰も彼も 四つ足で求める
糸をひいて 百日踊ってるでしょう

誰も彼も 人になれないから
見つかるまで お墓で遊ぼう

サイレンが鳴ってる
逃げようか 楽園まで
サイレンが鳴ってる
君のこと もう覚えてない

だんだん春になる
だんだん塔になる
だんだん染みになる

もっとみる
うじのわくほど

うじのわくほど

まつ毛の先 掛かっている雨色の月が鳴る頃
灰の奥に咲いている花を辿ります

波の縫い目 数えて つま先立ちのままで
「もう遅いよ」「もう遠いよ」って
また話をした気がして

そうか もう帰らなくちゃ
瓶に咲いた泡沫のような
末路はどこ

ぼくら また生まれてしまったね
ここが寒いところだと祈っていた

ししむらの海をなぞる
骨の髄までゆだねる

肺の奥で腐乱している 瑠璃色の記

もっとみる
蜜と唾

蜜と唾

皿に盛られたうさぎみたいだね
落ちるためにまた昇りだす梯子の上

売られた海を見る

羽根をもっていた啞のきみへ
あめ色の蜜を 墓に唾を吐いて

描いて、飢えてるんだ 対の童話
だれか死んでしまったの

二人は救えるんだ 縄を切って
柩が開いた場面から
続きを

皿に盛られたうさぎみたいだね
落ちるためにまた幕が上がる

加速していくメリーゴーランド
遠くで落ちていくきみの名前 呼んだ

もっとみる