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「誠実なクズ」としてのポリアモリー

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お互い合意の上で複数の人と同時に恋人的な関係を持つ「ポリアモリー」をパワポを使って紐解いています。
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#ダイバーシティ

マジョリティは、マイノリティをナチュラルに搾取しているかもしれない。という少し怖い話。

あなたはポリアモリーという言葉を知っているだろうか? 「複数恋愛」や「複数愛」と訳されることが多く、 ・お互いに合意の上で ・複数の人と ・同時に ・性愛関係を築く ・ライフスタイル のことだ。 最近はテレビや雑誌で特集されることも増えてきた。 私自身も兼ねてから、日経COMEMOのキーオピニオンリーダーとしてポリアモリーについて発信してきた。 当然、批判されることも多い 批判のパターンもいくつかあるが、特に私のような男性の立場からポリアモリーを発信すると「それ

「誠実なクズ」としてのポリアモリー

「このイベントは倫理的に問題がある可能性があるので、上長に確認させていただきます。」 そんなことを言われた経験がある。 今から3年前、ポリアモリーのイベントを開催しようとした時のことだ。 ポリアモリーとは、1対1の恋人関係に縛られず、合意の上で複数と恋愛関係を持つライフスタイルのこと。1980年代のアメリカで生まれた概念で、対義語はモノアモリーと言う。 いわゆる一夫多妻制との違いは、こんな感じだ。 文化人類学のカテゴリで語られることが多いポリアモリーだが、まだまだ一

不動産契約のダイバーシティ。

友人が珍しく悩んでいた。 原因はシェアハウスだ。 と言っても、友人はシェアハウスに住んでいるわけではない。 シェアハウスの経営をはじめたのだ。 悩みの種は、とある契約書だった。 友人はシェアハウスの入居者を募集するため、募集サービスや、他のシェアハウスグループとの提携を模索していた。 しかし、その一企業から提示された契約書にある「とある項目」が引っかかった。 その内容とは というものだ。 一見すると「何が引っかかるんだろう」と思ってしまうこの項目。 僕も最初は

今、学生が論文のテーマに選ぶ「ロマンティック・ラブ・イデオロギー」とは。

突然だが、あなたはロマンティック・ラブ・イデオロギーという言葉を知っているだろうか? 実は、検索窓に「ロマンティックラブイデオロギー」と入力すれば、学生たちの書いた多くの論文がヒットする。 なぜ今、学生たちはこのテーマを研究対象に選ぶのか? 今日はそんな話。 ■恋愛トークの3点セットロマンティック・ラブ・イデオロギーとは何なのか? 詳しくは論文に書いてあるのだが、論文を読むには体力も時間も、基礎知識もいる。 そこで、本を読むのが苦手(論文はもっと苦手)な僕が、自分

嫉妬を構造化したら、だいぶ生きやすくなった。

僕には転機になった記事がいくつかある。 その1つがこちら。 この記事が「note編集部のおすすめ」になり「パワーポイント×ポリアモリー」というスタイルが定着。今では日経COMEMOでも連載もするようになった。 嫉妬はプライベートでも、ビジネスでも起こりうる感情だ。 そんな「嫉妬」という感情の構造化には、人を振り向かせる力があった。 そして最近、プライベートで「また別の角度から嫉妬を構造化してみたい」と思う機会に遭遇した。 今日はそんな話。 ポリアモリーとは、合意

ポリアモリーへの批判を真摯に受け止めてみた。〜その3〜

先月、フジテレビの「とくダネ」という番組でポリアモリー特集があった。 ポリアモリーとは、合意を得た上で複数の人と同時に恋人的な関係を持つ恋愛スタイル。これまで僕がポリアモリーについて書いたシリーズはこちら。 この放送に対しては批判の声が多かった。 当事者として、これらの批判を真摯に受け止めてみるこのシリーズもこれで最終回。 今日は 💢批判4:子供の気持ち考えた?かわいそう 💢批判5:美男美女ならわかるけどブスばっかじゃん について。 主に「子供」に関

ポリアモリーな5年間で考えたことを振り返る。

ポリアモリーという生き方がある。 ・両者合意の上で ・複数の人と ・同時に ・恋人的な関係を持つ ・ライフスタイル のこと。 一般的な認知率は5%。 僕がそのライフスタイルを取り入れたのは5年前。 ポリアモリーをはじめて考えたこと、悩んだことは、その都度 note のマガジン「誠実なクズとしてのポリアモリー」にまとめてきた。 最初はもちろん恋愛にまつわる考えや悩みだったが、議題は徐々に変化。 ・ジェンダーの話 ・関係性の話 ・世界の話 ・歴史の話 ・政治の話 ・

会えない時間に愛を育てない勇気。

会えない時間が愛を育てる。 という説がある。 年末年始のこの時期、帰省などの影響で恋人や想いを寄せる相手に会えない人は多いだろう。そんな会えない時間、相手を思う時間にこそ愛が育まれるという一説。 今日はそんな説を少し違う角度から考えてみた。 ■会えない時間に育つ3つの感情突然だが、僕はポリアモリーという恋愛スタイルを選択している。 ポリアモリーとは、合意を得た上で複数の人と同時に恋人的な関係を持つ恋愛スタイル。「相手を縛らない」という意味ではfacebookのステー

「本当の好き」はどこにあるのか、パワポで探してみた。

「それは本当に好きなわけじゃないんだよ」 なんて言われたこと、言ったことはあるだろうか? ポリアモリーを実践している僕はよく言われるが「本当の好き」という概念自体はいわゆる恋愛トークでも頻出ワードだ。 ポリアモリーとは、合意を得た上で複数の人と同時に恋人的な関係を持つ恋愛スタイル。これまでポリアモリーについて書いたシリーズはこちら。 「本当の好き」とは一体なんなのか。 36歳にもなって、今更分からなくわからなくなってきたので、一旦パワポで整理してみた。 今

恋バナにダイバーシティが足りない。

こんな自由に恋バナをできる場所があったんですね。 今日は本当にありがとうございました。 これは昨年、主催したイベントで参加者のAさんから言われた言葉だ。 そのイベントとは「ポリーラウンジ」 ポリーラウンジとは、現在世界各国で開催されているイベント。「ポリアモリー」と呼ばれる恋愛スタイルに関心がある人たちによる座談会のことだ。 ポリアモリーとは、合意を得た上で複数の人と同時に恋人的な関係を持つ恋愛スタイル。これまでポリアモリーについて書いたシリーズはこちら。 僕はAさ

「○○ちゃんパパ」と呼ばれて、自分が薄まっていく感覚の話。

先日、例の岡村さんラジオの風俗嬢発言に関する記事を書いた。 反響は大きく、僕の意見には賛否両論の声が挙がった。 もちろん色んな意見があって然るべき記事だったが、とある批判コメントが目に留まった。それは「小島さんの記事は、いかにも男性的な考え方だ」という批判だ。 このコメントに触れて、僕は息子を保育園に送り迎えしていた頃のあるシーンを思い出した。 今日はそんな話。 ■父親というレンズそのシーンとは数年前、僕が息子を保育園に迎えにいく際のこと。保育園の扉を開け「小島です

契約結婚と注文住宅の関係性について。

先日、こんな記事がYahooニュースに出ていた。 そして案の定、コメント欄は荒れていた。 性的な独占はせず、財産も別で管理。 お互い自立して同居する2人の「契約結婚」というスタイルを紹介した記事に書き込まれたコメントは約5,000件。 その多くは批判的な内容で、一言にすれば 「そんなの結婚じゃない」 というもの。例えばこんなコメント。 このコメントからは「こんなわがままが、まかり通ってたまるか」という意気込みが感じられる。おそらくコメント主は苦労をして、我慢をして

自己肯定感の低さから生まれるやさしさ。「メサイアコンプレックス」を知っていますか?

ポリアモリーというライフスタイルを知ったのは5年前。 実践しはじめたのは3年前。 この3年間で変わったことは山ほどあるが、その1つに世の中の「生きづらさ」に敏感になったこと、がある。 ポリアモリーとは、合意を得た上で複数の人と同時に恋人的な関係を持つ恋愛スタイル。これまでのシリーズはこちら。 恋人は1人とか、男らしさとか、結婚の適齢期とか、それまで当たり前だと思っていたことが、誰か(自分)にとっては生きづらさだったことを知った。 そんな中で、新しい言葉ともたくさん出会

オーロラを見ても人生は変わらなかった「期待値コントロール」の話。

10年前の冬、ノルウェー、 人生で初めてオーロラを見た日。 僕の感想は「なんだ、人生観は変わらないな」だった。 もちろん、オーロラはきれいだった。 今でも鮮明に思い出すことができる。 それはもう美しくて、感動的な自然現象だった。 でも僕は、少しガッカリしてしまった。 テレビや雑誌で「オーロラを見たら人生観が変わる!」なんて話を聞いて、期待をして、お金を貯めて、ようやくたどり着いたオーロラだったから。 この現象の名前は、数年後に判明する。 「期待値コントロール」だ。