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短くて読みやすいけど傑作!【トニオ・クレエゲル】岩波文庫チャレンジ68/100冊目

トーマス・マンと言えば「魔の山」。いつか読みたいと思っているものの上下巻あるため手が出せないでいた。

本作が100ページちょっとしなく、短く読みやすそうだったので先に読んだ。

が。素晴らしかった〜!!自分好みだ。「魔の山」も絶対読もうと思うし、同じくトーマス・マンに躊躇している人には導入としておすすめ。

石原慎太郎との対談で、三島由紀夫がトーマス・マンを読んだ事などを明かしていた。それを知ってこの作家に興味を持ったのもあってか、作品全体に三島を感じた。訳が素晴らしいのもあると思うが、作風が三島由紀夫だと思えてならない。短いが傑作と思う。

本作はマンが28才の時に書いた自伝的小説という事だが、芸術家・天才肌の人たちは概して孤独を感じやすいものなのだろうか・・どこか皆との違いを感じているトニオ・クレエゲルが主人公の物語。

感情と言うものは陳腐で役に立たない。芸術的なのはただ、損なわれた焦燥と冷たい忘我だけ。

彼のように闊歩し得るためには、誰でも愚鈍でなければならない。そうすれば人に愛される。愛嬌がある。

主人公が哲学する場面も多い。こういう作品は好みなんだ。

ある人々は必然的に道に迷う。彼らにとっては、もともと本道というものがないのだから。

最も多く愛する者は、常に敗者であり、常に悩まねばならぬ

ただ一つ、下のセリフ、小説を読んでいると何かと出てくるセリフが本作にも出てきた。

幸福とは愛せられることではない。愛すること。

「愛されるより愛したい」これは果たして男性目線であろうか?自分はどっちだろうと何度か考えた事もあるが答えはまだない。

影響を受けやすい身としては最近読んだデヴィ夫人の著作もあって、「選ばれる女におなりなさい」が頭から離れないでいる(笑)。


岩波文庫100冊チャレンジ、残り32冊🌟

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