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【年齢のうた】My Hair is Bad その2●青春時代の恋の別れ、「18歳よ」

おばんです。

先日からは、AJICOの3年ぶりのツアーを観に行ったり、

会心のライヴ終演後の
野音の無人のステージです

東京ドームに巨人vs阪神戦を観に行ったり、

3/31の第3回戦、
森下選手の1号3ランが
阪神の今季初得点に。
5-0で快勝でした

取材のために、超ひさびさに阿佐ヶ谷に行ったりしていました。

あ、阿佐ヶ谷の写真が何もないな。
かわりに、その日に買った日清の旭川しょうゆラーメンの画を。

ずいぶん角張ったパッケージだな…
昨日おいしく食べました


それから、僕もたくさん原稿を書いた『TV Bros.特別編集 BPM ブロス・プラス・ミュージック』Vol.2、特集「俳優の音楽、女優の歌」の号が発売中です。

梶芽衣子と石橋凌のインタビュー、松下洸平のライヴレポ、菅田将暉の音楽の考察、俳優の歌60選、コラム5本を書いています。いやぁ、かなりの原稿の量だったので、本当に大変だった……ぜひ読んでください!

それからそれから、チバユウスケのインタビューを多数収めた『別冊 音楽と人 チバユウスケ』も発売されています。こちらには僕の原稿は2本収録。まあ、どちらも20年以上前のものですけど、なにしろ彼への初インタビューも掲載してますので。
この本でチバくんのことを思い出してください。


さて、マイヘアの2回目です。

「18歳よ」で綴られた恋の終わり


前回に続いて、マイヘアの曲について。
今回は「18歳よ」である。インディ時代のアルバム『narimi』に収録された曲だ。

ただ、実際のこの曲は、彼らが2014年の10月にこのアルバムを出す前の、同じ年の2月に発売したシングル「だまれ」の2曲目にすでに収録されていた。今からちょうど10年前に世に出た曲である。

インディ時代のアルバムとシングルだからなのか、2024年4月現在、この歌は、サブスクでも動画サイトでも聴ける状態にはない。

さて、シングル「だまれ」に収録されていることから、この歌は椎木が21歳頃に書いたものであると推察される(シングルの発売時は彼が22歳になる直前だ)。

「18歳よ」は、ザクザクとしたギターのカッティングが鳴り響く中、椎木知仁が叫ぶロック・ナンバーである。

歌詞を見ると、歌のシチュエーションとしての時季は秋から冬。そこに、18歳の目をしてた日々と、18歳の目をしてた君の甘い匂い、という表現が出てくる。
ふたりは別れの時を迎えたようだ。

18歳の目……をしてた、という言い方では、本当に18歳なのか、あくまで18歳のような目ということで、実年齢は違うのかどうかがわからない。
いずれにしても考えられるのは、この歌の当事者たち、つまり彼と彼女は青春期にある若者だということ。その子たちの別れを唄った歌だけに、ハードめのサウンドでありながら、椎木の歌にも、またメロディにも、せつなさと苦みが漂っている。
たぶん椎木の実体験を唄った曲なのだろう。

刹那の感情を唄うがゆえの、せつなさと苦み


この歌に限らず、マイヘアの楽曲は椎木のリアルな生き方が伝わってくる歌ばかりだ。彼には、その時々の自分の心理をストレートに曲に書き、それを唄ってきている印象が一貫してある。その意味ではフォークソング的である。
とくにこのアルバム『narimi』には、若い時分の恋愛模様が色濃く描かれている。マイヘアはこうしたリアルな作風によって注目されたバンドだったと言っていい。

『narimi』のリリース時、つまり10年前になるが、その頃の彼らへのインタビュー記事があった。下記はそこからの抜粋。椎木は、自分の思いを包み隠さずに話している。

-12曲通して伝えたい事とかってあるんですか?

椎木:「narimi」というこのアルバムに関しては、22歳~23歳までの自分くらいの若者の為のというか、偉そうですけど若い時期じゃなきゃ書けなくなっちゃうだろうなって事を書こうって思って書いたりしてみました。これがあんまり良くないねとかって言われるような事があれば、多分20代のうちに俺が評価されることはないんだろうなって思いますね。20代前半とか高校上がった瞬間とか、そういうのを全部詰め込められればいいなって思って作りました。

-そういう言葉で話されると、1回別の人生経験したの?って聞きたくなるわ(笑)。

椎木:あははは。そうですよね(笑)。

-言っても、自分が今22歳とかでしょ?人生2回目なの?って思っちゃうわ。

椎木:なんか女の子と遊ぶ感覚とかもそうなんですけど、今やっておかなきゃ出来ない事とかを30歳近くになってやってたくないんですよね。何て言うんですかね、30歳になってチャラチャラしてたくないというか、そういう年齢になったら大切な人見つけて幸せに暮らしてたいんですよ。じゃあいつ女の子と遊ぶかって考えたら今しかない!みたいな。そういう感覚というか。今だから出来ること、言える事という感覚に近いんですよね。


話しぶりにまだ無邪気さがあるものの、ここで語っていることは本心だろう。その時々の自分自身に正直に生きたいという気持ちが感じられる。

僕としてはこの中の「30歳になってチャラチャラしてたくないというか、そういう年齢になったら大切な人見つけて幸せに暮らしてたいんですよ」というひとことに、とくに感じ入るものがあった。まあ今の彼は32歳になっているわけで、では大切な人を見つけて幸せに暮らせているの?とツッコミたいところもあるが、本題はそこではない。
22歳の時点で、椎木は年齢への強い意識を持っていたということだ。

それは前回の「花びらの中に」で紹介した、20代が終わることへの思いとつながってくる。

歳をとること、加齢というやつは、どんな人にも公平に訪れる。それを、たとえば「いい歳のとり方をしている」「カッコいい大人になった」みたいな言い方があるように、前向きに捉えることもある。かたや、若さを失うこと、老いていくことを、悲しい、残酷な事実だと捉えることもできる。
このどちらも、間違っていないと思う。そして人間たるもの、こうしたことで感情が揺れ動いたりするのも、当然だろう。

刹那ごとの感情を描いてきたマイヘアの歌は、そうであるゆえに美しく、またそうであるがゆえに、せつなさと苦みと、時には痛みも残す。
「18歳よ」を聴きながら、僕はそんなことを感じた。


近所で買った佐世保(風)バーガー。
たまに食べます♪

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