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経営視点には欠かせない「管理会計」という魔法の書

「管理会計」という言葉を聞いたことがある人は多いと思う。

では管理会計をどのように理解しているだろうか。


・財務会計と違い、経営に用いる会計手法

・予算管理や原価管理をし、部門別損益で業績管理がしやすくなる

・経営感覚が身につく、など


この程度のことは少しググれば説明されている知識であり、多くの人が理解できているのではないだろうか。

また、中には顧問に任せ、管理会計を理解し導入した気になっている経営者もいるかもしれない。

でも、直接これまで多くの会社や経営者と接する機会の中で、管理会計を自ら設計し、活かしている経営者やマネジメント層は残念ながら少ない。

いわゆる「数字が読めない経営者やマネジメント層」は、驚くほど多い。


会社もしくは事業というのは紐解けば紐解くほどシンプルで、

収入と支出、そして利益

この3つで成り立っている。


これだけシンプルな構成にもかかわらず、事業を推進し、業績を拡大させ、従業員を増やせば増やすほど複雑さを増し、また順調に見える事業活動に対し多くの課題や問題をいつのまにか抱えることになり、顕在化した目の前の経営的な課題や問題を「どうするか?」に奔走するようになる。


方向性がわからないからビジョンを掲げよう、計画の未達成が続くから新規開拓に力を入れよう、より生産的な体制にし直そう、評価制度を見直してみよう、社員に主体性を持たせるため目標管理制度を導入してみよう、中長期戦略を考えてみよう...など。


こうして、顕在化された目の前の経営的課題や問題解決に務め、取り組み、満足する。

その後、取り組みがやがて形骸化し、さらに複雑さを増して課題や問題として降りかかる。

そうしてまた目の前の課題や問題に奔走し、満足し、また奔走し...。


文字にするとバカらしく見えるけれど、かなり「あるある」な実情であり、多くの従業員を疲弊させ、生産性を阻む大きな原因の1つとなっている。

理由は単純に"経営視点が欠如しているから"に過ぎないのだけれど、なぜそれでも通用したのか、なぜこうしたビジネス文化が育まれたのかは過去記事のリンクを貼っておくので、興味がある人は目を通してみて欲しい。


本題に戻すと、会社もしくは事業というのは、サービスを開発・提供し、収入を得て、かかった原価や経費を差し引き、利益を得るという本来とてもシンプルなもの。

業種やサービス内容、ターゲットの違いはあれど、これの繰り返しに過ぎなく、企業や事業活動の課題や問題は複雑に見えても、実は全て「収入・支出・利益」というシンプルさに帰結する。

そのため、企業や事業の課題や問題に対する原因やヒントはすべてが「収入・支出・利益」という構造と流れを中心として見つけることが可能となる。

「見つけることが可能」ということは「予測しやすくすることも可能」であり、「コントロールすることも可能」ということ。

企業や事業の問題や課題をリスクとするならば、それらリスクをマネジメントすることが可能ということになる。


そう、管理会計とは

数字を管理することではなく、マネジメントの設計書

に他ならない。


売上や原価、粗利や販管費、そして営業利益などにわかりやすく区分し管理している会社は当たり前のように多い中、なぜ目の前の課題や問題に奔走する会社が多いのか。

それは管理会計=マネジメントの中心、ということに気づかず、ただの数字管理という理解しかできていないから。


予測し、気づき、コントロールする


マネジメントを魔法とするならば、管理会計は魔法の書そのものということ。

そのため管理会計をしっかりと設計し、経営に活用しなければ、いくら場当たり的に戦略を立案しても、仕組みづくりを行っても、制度を見直してみても、根本的な解決はなされずに逆に無駄な時間やコストを生み出してしまう。

事業や組織戦略、人事制度や仕組みなどの中心には、必ず「収入・支出・利益」という非常にシンプルだけれど奥深い構造と流れの把握が必要となり、整合性をもって、はじめて根本的な解決が図られる。

今回は経営や事業運営の目線で説明をしたけれど、プロジェクトやチーム活動でも同じことのため、社会人として専門分野に加え経営視点を持ちたいならば、ぜひ「管理会計」という魔法の書を自ら設計することからはじめてみよう。


今回は以上です。

今後も経営視点に必要な考え方や知識などを無料記事で更新していきます。

その中で、経営視点を持つ/または持ちたいと思っている、そんな学生や社会人の方々とできる限り多く繋がりたいので、noteやTwitterでのいいねやフォローをいただけると嬉しいです。

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