不適切動画のニュースを見て思うこと

「……私自身、アルバイトからこの業界に入った身で、若い頃はやんちゃなことをしたものです。度が過ぎるいたずらをして先輩にぶん殴られたこともあった。今だったら体罰だ暴行だと騒ぎになるでしょうが、当時はそれが当たり前だったのです。私がいたずらをしたことも、私が殴られたことも、今こうして私の口から語ったことで皆さんの知るところになったわけで、当時の記録としてはどこにも残っていない。動画を撮るインフラも、それを公開するインフラも、私が若い頃はなかったのですから。インフラがなければ、いたずらを動画に撮って公開するということも思いつかない。だからひとつの店の閉じた範囲ですべてが完結し、大した問題にならなかったのです。

今、私たちは難しい時代を生きています。誰もが持っているスマートフォンひとつで簡単に動画を撮って世界中に拡散できてしまう。いたずらをしてもぶん殴ってもすぐに企業グループ全体を巻き込んだ大騒ぎになってしまう。インフラが発達し、情報を世界中に拡散することも、世界中の情報を獲得することも簡単にできるようになった。ところが人間の本質は昔と変わらないのです。若い頃はやんちゃなことをする、それは変わっていないし、人間とはそういうものだと私は思います。

若い芽を摘むのは簡単です。私が今ここで、騒ぎを起こした人を法律に沿って厳正に処分すると宣言すれば済むことで、ここにいらっしゃる方々も、そして世界中の方々も納得するでしょう。

でも、皆さんもお気づきと思いますが、私のような年寄りや、ここにいらっしゃる社会人の方々は、若い人に支えてもらわないと生きられないのです。それはこの国の年金という仕組みのことでもありますし、企業が世代を超えて生き続けることでもあります。

若い芽を摘むのは簡単です。しかし大勢の若い芽の中から問題がある芽を摘むことは、私を支えてくれる人たちを減らすことでもあります。ならば私は、問題がある芽を育てて一人前にすることで、私と企業とこの国を支えてくれることに賭けたい。

そこで今回起きた件については、騒ぎを起こした人を処分することはしません。今回の件を反省し、一人前になってもらえることを願います。」

という感じの記者会見をする企業の代表者が現れないかなと思う。このnoteを見ている社長や企業幹部の方々の参考になればと。

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