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接しにくそうで接しやすいお店

①大怪店 日本で唯一の妖怪専門店

一見何の店なのか外観では判断しにくいその店は、高円寺にある。

入り口の魔界につながっているような怪しく狭い階段は人間界との境界線に思えた。

私は妖怪の専門家(仮)なのでむやみに危険な場所には立ち入らないようにしているが、この日はたまたま”そういう日”だったのだろう…。

恐る恐る階段を上がる。

中には客と思われる”そういう人”たちが数人いた。
みんなこの怪しい店に吸い込まれてきた連中だ。

中は所狭しと”妖怪”であふれていた。

軽く夢中で展示物やグッズに引き込まれていたら”陽の気”を放つ店主が話しかけてきた。
現実に引き戻された。危ないところだった。

「この店は日本で唯一の妖怪の専門店なんですよ〜」
「今日はなんできてくれたんですか?」

と、接しにくそうな店の雰囲気からは想像できない接しやすさだった。

陽の気を出している店主は一見、妖怪の店には似つかわしくないと思った。

しかし、またコアそう〜と思う別のお客さんと熱く鬼太郎のアニメの話をしているその空間が、気持ち良いと感じる空気が、
この店は
この店主の”陽の気”で守られていた。

すっかり私はこの店が気に入り、後日調べてみた。

この陽の店主は妖怪DJ高☆梵。さんという方らしい。

HPの中にあるインタビュー記事を読んでみるとなかなか面白いことをしているようだった。

妖怪好きには神様である水木しげる先生のイメージに縛られない妖怪の店を作ることにしているとのことだ。

妖怪が好きな狭い層だけではなく、もっと妖怪をキャッチーに。自由に。既存のイメージに縛られない。
本当の意味で妖怪という概念を解き放っている

そんな店主はまさに”陽怪”と言ってしまっても過言ではないのではないだろうか。と思う。


②中野ロープウェイ

地元ではサブカル代表⭐︎みたいな顔をしておきながら、あっさ〜〜〜〜い知識をうす〜〜く伸ばして下北沢で服を買うならココ‼️おすすめ古着屋5選❣️とかぬるボケたことをぬかしてここに来る事なく、およそ2年もの間東京に住んでいた。

中野ブロードウェイはくっさいくっさいオタクとお前さんはどこぞのモデルさんじゃいコラ!と思うほど美しいと同時にくっさいくっさいサブカル臭プンプンの女の子が入り混じるなんとも言えないカオス(無秩序)な空間だった。

私はいつもの高円寺から散歩のついでに迷い込んだ中野ブロードウェイという迷宮にここの甘くスパイスの効いたカレーを食べるかのような複雑なまろみにたまらなく夢中になった。

そのことをバイト先の友達に話し、タコシェという本屋の話で散々盛り上がった後に

「中野ロープウェイには行きましたか?」

と聞いてきた。

調べてみると、ツイッターで紹介されている商品はとても良い感じがした。
しかし、どうにも接しにくそうという予感も拭えなかった。

だいたいこういうサブカルな店だったり古着屋は店員がおしゃれで無愛想。と相場は決まっている。

お察しの通り、私はシーシャを吸っているような連中と馴染めるような器ではない。

東京に2年住んでいるとは言え、なんかずっとダサいのだ…。

なーんか知らんけどずっと垢抜けない。

まあ、私の話はさておき、

2回目の中野ブロードウェイでは少しずつだけどダンジョンを攻略し、

目当ての中野ロープウェイにきた。いや、シャッターが閉まっている。くそ。ここにきて。

まあいい。とデイリーチコの前にあるクレープ屋の生クリームプリンクレープを食べて帰ろうとしていたその時、閉じていたはずのシャッターが開いていた。かなりラッキーだった。

しかし先に女の子が二人入っていて狭い店内にはこれ以上踏み込むことはできない様子。

そして店員さん思ってた感じと違う人だな〜と軽く様子だけ伺って今度こそ帰ろうかな〜なんて欲しかったショートパンツを手に取りながら思っていたら

「ネットショップもやっていますよ〜」「よかったらどうぞ〜」

というなんともありがたい接客。すごくすごく接しやすかった。嬉しかった。

もしかしたらこの人もシーシャを吸ったことがあるかもしれない。

だけどシーシャを吸ったか吸わないかで人間決まらない。

私はこの店が好きだ。と思った。

この日目当てだったショートパンツを買うお金はカードキャプターさくらのガチャガチャに費やしたのでもうなかったがもうこの店のツイッターはフォローしている。大丈夫。


最後に

妹から「東京って楽しい?」とラインがきた。

私はコロナの影響があってもなくても怖いので夜の新宿は行ったことが無かった。

だけどまだまだ接しにくそうで接しやすいお店はこの東京のどこかには隠れているのかもしれない。

「東京は楽しいよ!」




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