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伝統芸能の世界を舞台にした小説、「国宝」吉田修一と「連舞」有吉佐和子が面白い!

本日のプレスリリース、歌舞伎の世界を舞台にした小説
「国宝」
が映画化されるというニュースには、驚かされました。

昭和の戦後復興の時代、長崎の仁侠の家に生まれた少年が、天性の美貌と己の芸の力を頼みに歌舞伎の世界で頂上を目指すというストーリー。
あらすじだけでも面白い!
朝日新聞で連載している当時から評判が高かったのを記憶しています。

映画化はもちろん大喜びですが、原作が大長編小説ですし、美貌の女形を演じきれる役者は誰なのか悩ましい。
でも、吉沢亮さんなら問題ないどころか、これ以上ないはまり役です。
容姿端麗なので顔立ちに目が行きますが、映画館の大スクリーンに負けない華があって芝居が上手。
根っから演技が好きな人なんだな、と感じます。
よい人をキャスティングできて本当によかった!
できることならチェン・カイコー監督の傑作「覇王別姫」を超える映画になってほしい。

伝統芸能の世界を舞台にした小説でおすすめなのは、これ!
有吉佐和子さんの「連舞」と「乱舞」。

昭和の終戦直後の混乱期を背景に、日本舞踊の師匠を母親に持つ姉妹の波乱の人生を描いた小説です。

日本舞踊を教えながら女手ひとつで娘達を育てる母と、父親違いの姉妹。
家元の血を引く妹は舞の天才で、将来は名人、家元の器だと期待され大作を舞うことを許されるのに、連れ子の秋子はいくら稽古に打ち込んでも
「不細工だね」
と酷評されてしまうのです。

生活の糧を得るため、GHQのアメリカ人将校が集まるキャバレーでダンサーとして働く秋子は、すらりとした長身と美脚でたちまち売れっ子に。
彼女の知名度と若い体を目当てに近寄ってきた、日本舞踊梶川流の家元に、処女をくれてやる代わりに家元夫人の肩書きを手に入れ、秋子は日本舞踊の世界からは遠ざかるのですが、夫の急死をきっかけに後継者争いに巻き込まれていく、というお話。

才能と賞賛に馴れて自分が主役だと信じて疑わない妹、娘を貶めて愛そうとはしない実母、次期家元のポジションを狙って暗躍する弟子達に、秋子は
「三代目梶川流家元」
を名乗り、自ら流派を守ることを宣言。
侮辱と誹謗中傷の渦巻く中、秋子は舞台で力量を見せつけることができるのでしょうか。

女のプライドと芸事に懸ける執念が火花を散らし、華やかな闘いの果てに秋子が手に入れたものとは。。。
そんな感じの日本舞踊バトル小説ですね笑
ガラスの仮面が好きな人はハマると思う!

有吉佐和子さんの小説は、「華岡青洲の妻」や「恍惚の人」が有名なのですが、自分の居場所を切り開くために戦うヒロインを描く「連舞」、江戸女と京女が花見の席で衣装を競う「真砂屋お峰」もおすすめです。

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