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懐かしい風

十月の薄青い空の日は
懐かしい風が吹く

僕は一人で昼ごはんを食べたあと
テーブルに置いたままの

君が飲み干した
アイスコーヒーのグラスを
何も言わず一緒に片づけた

昔なら
こんな所に置いておくなよと
余計な一言をこぼしていたと思う

窓から囁くように入って来た風が
こっそりと僕に耳打ちして
僕は従っただけだった

新しいグラスに
アイスコーヒーを注いで
吹き抜けの窓から差す陽を追うと

カウンターのアジアンタムの葉が
ゆらゆらと揺れていた


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