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「制作委員会方式」のおかげで、映画が「セリフ過多」に。もっと、「映像的」な映画を観たい。

オタキング岡田斗司夫の動画を観て、
驚いたのですが。


最近の映画。
「製作委員会」方式で制作するのが
多いのですが、
これが「脚本のセオリー」を崩してしまっているのだとか。


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「製作委員会」方式で映画をつくると、
シナリオが出来た段階で、
読み合わせをするらしい。
そこには、電通・博報堂などの広告代理店をはじめ、
各スポンサーの担当者や、
テレビ局の営業部員など、営業関係者がズラリと並ぶ。
そこで、恐ろしいことに、
「そこわかりにくいから、セリフで言わせて」
「そこもわかりにくいから、セリフにして」
と、なにもかもを、登場人物にセリフで言わせてしまうのだと。


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私は、シナリオライターになろうと思い、
東京に出ていった。
3箇所のシナリオ学校に行ったが、
どのシナリオ学校でも、


「映画はできるだけセリフで感情を言わせるな。
言わせる時は感情と反対のことを言わせろ。
たとえば、相手のことが好きなら、
『あんたなんか大嫌い!』と言わせて
そのあとの行動で相手が好きなことを表現しろ」


と教えられた。


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このセオリーをもとにつくった傑作のひとつが
北野武監督「あの夏、いちばん静かな海。」であろう。
主人公とその彼女は、ともに「聾唖者」。
なので、セリフをいっさい言わない。


松山善三監督「名もなく、貧しく、美しく」でさえも、
妻役の高峰秀子は後天的な熱病で耳だけ聞こえず
少しはしゃべることができる、という設定なので
「セリフ」はあった。


しかし、「あの夏、いちばん静かな海。」は、
主人公とその恋人は一言もしゃべることなく
映画は終わる。


淀川長治はこの映画を高く評価し、
「サイレント映画の良さを現代に甦らせたのよね。これこそ映画なのよ。テレビじゃないのよ」
と興奮した。

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いやほんと、映画では、できるだけ「セリフ」は削る。
セリフが多いのはテレビドラマでやれ。
というのが、シナリオのセオリーだったのだが。
「製作委員会」方式が、このセオリーを無茶苦茶にしてしまった。


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庵野秀明は、「製作委員会方式」を嫌って、
すべての資金を、自分の会社「カラー」で捻出した。


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逆に、「製作委員会方式」というと
湧いてくるのが、「山崎貴」である。
電通の言いなり、スポンサーの言いなり。
おかげで、「ドラえもん」や「ドラゴンクエスト」「宇宙戦艦ヤマト」を、無茶苦茶なクソ映画にしてしまった。


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わたしのサラリーマン時代の先輩で、
現在、シナリオライターとして活躍しているのが
尾崎将也さん。
彼が本格的にデビューする前に、氏の習作シナリオを読ませてもらったことがある。


私は、


「セリフが多いですね。テレビならいいと思いますが、映画のシナリオなら、もっとセリフを削るべきだと思います」


というメモを添えて返却したが、それ以来、
年賀状が来なくなった。



その後、尾崎氏は、主に「テレビドラマ」で活躍したので、それはそれで良かったと思う。


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でも、映画館の暗闇のなかで、大画面をじっと眺める映画は、できるだけ、「映像的」であってほしい。「セリフ過多」は勘弁してほしい。個人的には。


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アメリカみたいに、「地の部分を考えるストーリーテラー」と「セリフだけを考えるダイアローグライター」のふたりがコンピになってシナリオを創るのもいいかもしれないなあ。。。


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